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一九四八年、日本の植民地から米国の占領を経て、建国した大韓民国。六〇年の間に、独裁国家から民主国家、途上国から先進国へと大きく変貌した。本書は、歴代大統領の「眼」と「体験」を通し、激変した韓国を描くものである。「建国の父」李承晩、軍事クーデタで政権を奪った朴正煕、民主化に大きな役割を果たした金泳三、金大中、そして「ポスト民主化」時代の盧武鉉、李明博。大統領たちの証言で織りなす現代史の意欲作。
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Posted by ブクログ
韓国が好きで興味・関心がある身として、かの国の歴史、とりわけ激動の近現代史をひととおり知っておきたいと思っている。何冊か関連した本も読んだけど、なかなか頭のなかで年表や出来事の相関図が描けずにいた。そんな折にふと手に取り読んでみたこの本、1945年以後の韓国現代史を李承晩から李明博までの歴代の大統領を軸に紹介していく。大統領として何をしたかというだけでなく、たとえば朴正煕が大統領だったとき、李明博青年はどうしていたかといった感じ。各人の色合いが強く出るかと思いきや、無個性に通史を並べた本よりも出来事と出来事の関係性が結びつけやすく、将来大統領になる人物が何をしていたかという、いわばサイドストーリーと併せて知ることで各時代の状況がよく見えてくる。著者のアイデアか編集者のアイデアか知らないけど、この切り口はすぐれもの。
特に面白かったのが、歴代の大統領の治世下でもずーっとその活動の流れを追っていける金大中と金泳三の対比。同じ民主化を目指しながらなぜかたいてい違う立場で共闘することなく、しかも(生まれた家からして)うまく表舞台に立ち続けることができた金泳三に対し、過酷な状況におかれることの多かった金大中。日本ではどちらかというと金大中のほうが知名度、親近感がある感じがするんだけど、金泳三のほうが少なくとも大統領になるまでは実力を買われていた様子がわかった。だから先に大統領になったわけか。
韓国の民主化が、少なくとも軍政からの移行においてはスムーズにいったという見方もなるほどと思ったところ。光州事変やソウルの春などの過程は確かに相当大変なものだったけど、本書によれば、①権威主義政権側が、自らが極端に追い込まれる前に、「六・二九宣言」を出して、民主化勢力の要求を飲んだこと、②野党側の失策もあり、「新軍部」の流れを汲む盧泰愚が、「第六共和国」初代大統領に当選し、かつての「新軍部」勢力は、全斗煥前大統領に近い一部の勢力が、「第五共和国」時代の政治腐敗と光州事件の責任を取って排除される一方で、多くが政権にとどまることができた、③民主自由党の結成とその後の同党内での主導権争いの結果、金泳三の政治的覇権が確立し、これにより、政権・与党内部に残っていた「新軍部」勢力は、国会内の与野党対立や、激しい街頭活動によってではなく、民主自由党の勢力争いにおいて金泳三に各個撃破されるかたちで排除されていった――ということ。確かにソウルオリンピックがあった1988年に盧泰愚政権がスタートしたこととその後の変化を思えば、相当早くスムーズにその後の民主化が進んだことがわかる。それがあってこその今日の韓国なわけで、過酷な歴史の連続のなかのわずかな好事という印象。
とにかく大統領になる人物を柱に韓国現代史を紹介するという趣向の勝利。著者の筆力の冴えもあってかぐんぐん読み進めることができる。
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