無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
日本の荘園図の検討から、当時の社会の実像をとき、さらに中国やローマの古代地図との比較によって各地域の古代社会の構造の違いを明示する。
現代の衛星すら使用した精確な地図にみなれた現在の人間には、東西を問わず古代の地図はとてもいびつなものにみえる。しかし、金田氏によれば現存する荘園図をそこに描かれた実地でひもときながめると、正確無比な現代の地図よりも感覚的にはしっくりくることすらあるという。
これは古地図が、その作製の際、あくまで人間生身の感覚が付されているからであろう。
もちろん、やはり古地図には歪な点が多々あるのだが、しかし、それはその地図が表現しようとする内容が現代の精緻な地図とは異なっているからであるという。
それは、ちょうど子供に描かせた地図や、チラシに描かれる店舗案内のための略図のほうが詳細きわまりない地図よりも却ってみやすいことと同じであるのだろう。
つまり、荘園図ならば、徴税のための土地管理の道具であり、当時の土地管理方法にしたがって描いた結果が、現代からみると歪にみえるだけなのであるとしれる。
--
上記のような荘園図の検討も大変興味深い本書であるが、地図というものについてもいままで気づかなかった点がいろいろと学ぶことができる。
たとえば、絵図は、絵画的な要素が強いものだとおもわれていることが多いとおもわれるが、古地図における地図と絵図は明確に異なるという。
律令制度下において土地管理のために国家によって作成されたのが地図・図あるいは証図であり、絵図とは官製地図の写しや私的に作成されたものであったという。さらに、絵図という語自体が地図よりも新しいもので、初出は10世紀だという。
また、日本の荘園図のような大縮尺の地図は古代ローマにもみることができるそうだが、驚くことに日本が地図を全国的な地図作製をすることになった要因である律令制の大元である同時期の中国においては、ほとんどみることができず、地図といえばせいぜい現代でいう県別レベルのものしかないという。
教科書的な日本史では隋唐の律令に倣って古代日本は国制を整えたことになっていたはずだが、同時期の地図を比較するとき、そもそも国家経営の基層のひとつである土地管理方法自体が異なっていた可能性がみえてくる点が、とても興味深いだろう。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
ビジネス・実用
試し読み
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用