弱き者の生き方

弱き者の生き方

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4.7

おのれの悪を凝視し、絶望的体験の地底から恐るべき記憶と無類のユーモアを武器に、
日本人再生の希望を掘り起こす、迫真のライブトーク。

文学と考古学という各フィールドにおいて名声高き重鎮の二人。
しかし、彼らがこれまでの命がけで歩いてきた道のりを知れば、
人を「勝ち組」「負け組」などという言葉で片付けてしまうことが、いかに無意味なとこかがわかる。

「平和な時代に改めて戦争の話を持ち出しても野暮だと言われることを承知の上で」、
二人は重い記憶を掘り起こし、現代の私たちに問う。

年間3万人もの自殺者がいて、子殺し、親殺しが跋扈する。
戦争でもないのになぜ人の命はこんなにも軽くなってしまったのか。
人は誰もが本質的に弱い存在である。
だから自分も他人も大切にしよう、
一日一日を大事に生きようと一人一人が自覚して生きていく、
この自覚こそが「弱き者の生き方」なのだ。

弱き者の生き方【目次】

第1章 弱き者、汝の名は人間なり
人は弱し、されど強し
虎屋の羊羹、銀座のネオンで殴られる
ジェノサイド(集団殺戮)そのものの東京大空襲
生き地獄―戦友を蹴落として生き延びる
悪を抱えて生きること
語りえなかった引き揚げの真実

第2章 善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや
極限状態で交錯する善と悪
二度目の撃沈と敗戦
涙の漫才修行―人生に無駄はない
日本の植民地支配の爪あと
語られない引揚者の悲劇―残留孤児と不法妊娠
右へ左へ揺さぶられ続けるのが人生

第3章 心の貧しさと、ほんとうの豊かさ
肉親の死を身近に感じる大切さ
お金という魔物
学内闘争でつるし上げられる
わが青春の登呂遺跡発掘
人は泣きながら生まれ、時に優しさに出あう
経済的貧困と貧しさとの違い
金では買えない「誇り」を抱いて

第4章 人身受け難し、いますでに受く
人生の峠道でたたずむ
人間性と謙虚さ―前田青邨先生の教え
斜陽館での一夜―師匠と弟子の『人生劇場』
赤線とドジョウすくい
想像力の欠如と「心の教育」
人間として生まれた奇跡と幸運
なぜ人を殺してはいけないのか

第5章 人間は、ひとくきの葦である
「負け組」などいない
辛いことも直視する勇気をもちたい
時には黙ってただ寄り添うことも大事
潔癖すぎる現代社会
だれにでもある不安やコンプレックス
弱き者たちへ ―人は皆、それぞれの生を生きる

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弱き者の生き方 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2012年02月26日

    経験者の言葉ほど重いものはない。
    私はどこの地に立っても、足元の土を感じながら、あの頃何があったのか、どれだけの人が命を落としたか、どんなに無念だったか、考えずにいられない。
    その命と犠牲の柱の上に私たちは生きてるわけでしょ。
    ならば、やっぱり今の時代をガンガン切り開いてアドレナリン出しながら生きて...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2009年10月04日

    五木寛之と考古学者である大塚初重との対談本。戦中・戦後の悲惨な体験が、糧というよりは重荷となりながらも生きてきた二人の話は、やはり深い。考えさせられる一冊。2007/10/08

    0
    ネタバレ

    Posted by ブクログ 2023年08月15日

     考古学者の大塚初重さん、18歳、輸送船に魚雷が。ワイヤロープにつかまり上に上がるとき、脚にしがみついてくる2~3人を、両脚で、燃えてる舟底に蹴落とした。まさに、蜘蛛の糸の世界。五木寛之さん、12歳、ピョンヤンで終戦。ロシア兵が病気で寝ている母を軍靴で踏みつけ、布団ごと庭に放り投げた。ガンジス川で、...続きを読む

    0

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