Posted by ブクログ
2010年12月24日
2010.12
『ファージョンにとっては、空想は現実で、
現実もまた空想で、その境は本当に曖昧で、
息をするくらい自在に、楽々と、行き来できるものだったんじゃないかしら。』
遠子先輩は花のように笑いそう言った。
きっと遠子先輩にとっての物語の世界に浸ることもまた自在なことなのだろう。何事にも一生懸...続きを読む命な彼女だから…
ある朝、ふと顔を上げると彼女はリボンを片手に木にしがみついていた。
誰にも見られず校内の木にリボンを結ぶと願いが叶うらしい。最近噂になっているおまじないだ。この現状をあんなしどろもどろな言い訳で誤魔化そうとしているらしい。まったく…
今日も僕は先輩のためにおやつを書いている。
先輩は行儀の悪い座り方でいつも通り暢気に読書にふけっている。
先輩にも叶えたい願いがあるのだろうか。
先輩はあのリボンにどんな願いを込めていたのだろうか。
そして、僕は…
今日のおやつ『ムギと王さま』より
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文学少女の短編集 第1弾。
心葉以外の視点から見るあの物語。
過ぎていく遠子と心葉の日々の裏で起こる日常のささいな出来事。
キャラクターの裏側が垣間見える。
そして、やはりみんな魅力的だと実感する。