裁判官が見た人間の本性

裁判官が見た人間の本性

ビジネス・実用
990円 (税込)

4pt

3.7

裁判官は、法廷で、人間の「必死の姿、裸にされた姿」と対峙する。訴訟という泥まみれの戦場においては、人間性の深淵を覗かざるをえない場合があり、特に、その隠された側面、表立っては語られにくい側面にふれることは多い。法壇から、また時にはいわば神の視点から、紛争や当事者を、さらには自分自身を見据える仕事を33年間務めた著者が、古今東西の書物・作品をも渉猟しつつ、人間の本性とそれを取り巻く世界の種々相を、縦横無尽に、かつ生々しく活写する。

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裁判官が見た人間の本性 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    驚いたのは引用される文献や映画の数量だ.著者は個人主義・自由主義を標榜しており、左翼系思想の問題点を指摘している.あまり聞き慣れない用語が満載で、それぞれ別個に調べて対応した.キャンセルカルチャー、イノセンスなどなど.著者の考え方を如実に示している表現は、「まずは自己の利益があり、そのことを前提とした上で他の利益を考え、利害の対立があれば議論を行って調整する.その上で、合意を結んだらそれに従う.」だと感じた.日本社会の問題点として、「自分自身は正義と善の立場に立って、安全な地点からそれを断罪するにとどまる例がきわめて多い.」という指摘も当を得ていると思った.

    0
    2026年08月06日

    Posted by ブクログ

    タイトルからすると、裁判官として現場での経験から得た人間観のようなものが想定されるが、読み味としては一職業人の経験を踏まえたよしなしごとのエッセイ。個人的に筆者への関心がより深まったといえるが、実際のところ法廷での観察を普遍的な定理のように語ろうとするとどこか胡散臭くもあろうし、これくらいでいいと思うものの期待と違うと思う人もいそう。

    0
    2026年04月17日

    Posted by ブクログ

    裁判官→学者という経歴をもつ著者が、自身の経験や師との対話、幾多の書物、芸術作品からの引用などを再構築しながら、人間の本性を整理していく。

    本性は「ほんせい」と読み、タイトルから想起されるような、法廷というある意味極限の環境下で垣間見える人間の本性(ほんしょう)に世俗的な興味を持った私のような読者には、やや肩透かしを食らったような内容であったことは否めない。

    ただ、法学はもちろん政治学から宇宙論に至るまで、幅広い知識や教養、経験を総動員して辿り着いた人間の本性の数々は大変勉強になり、また一部では普段自分が漠然と考えていること(例えば、自分と他人とを比べて幸福感を求めることは良くない、等)と一致する点もあり、納得感を強めることができた点は良かった。

    0
    2026年05月30日

    Posted by ブクログ

    映画や本など引用しながらから筆者の考えが述べられていく。インプットの質と量に感服した。
    裁判については言及は比較的少ない。
    第三章を中心とした自己の認識についてのところが興味深く感じられた。

    0
    2026年05月03日

    Posted by ブクログ

    元裁判官の経験を生かしてのエッセイのようなもの。裁判例や読書映画などからの考察は面白くないこともないが、一段高みから見下ろすような臭みを感じた。
    裁判官という立場が長かったからなのかもしれないが、更に自分は易々諾々とした裁判官ではないと言うプライドが面倒くささを感じる。
    鋭い着眼点や論理的な内容と思うが、何十年も勤めた職場や同僚を悪様に言う人にあまり好感は持ちにくい。
    また、個人の尊厳や人権などの無条件の信仰はヨーロッパ由来の法学を信奉した真面目な裁判官だからではないか。
    人間社会はもっと泥に塗れたもののような気がする。
    貶すことが多くなったが、読んで得るもののある本。著者の本は初めて読んだが、もう少し読んでみたい。

    0
    2026年04月16日

    Posted by ブクログ

    「裁判官が見た」とタイトルにあったので、実際の裁判の例とか出てくるのかな?と思ったらそうでもない。
    どちらかというと、哲学的なエッセイみたいな感じ。
    「裁判官が考えた」人間の本性だったかも。


    以下メモ
    ・愛
    愛という概念は純粋にキリスト教的なものであり。一神教の神という絶対者を設定して初めて生まれる「他者を自己と同様に愛せよ」との要請に基礎を置く。
    そのような愛は日本人にはおよそ無縁なものなのに、明治時代にそれを輸入したことから種々の混乱が生じた。


    ・悪
    悪は私たちの内側に、日常的にある。日本人はその悪を見ようとしない。悪を見る場合に、「自分自身は正義と善の立場に立って、安全な地点からそれを断罪するにとどまる例がきわめて多い」
    日本社会は悪に対する耐性の乏しい人々、社会なのである。


    ・プライバシー
    プライバシーの根源にある動機の一つは、動物と人間を区別する指標、人間が自己を他の動物から区別する指標としてそれが必要だということ。
    性交や排せつなど、「動物としての人間」という側面はできるだけ伏せておきましょう、という黙契。


    ・権利
    権利は法が各人に割り当てた「正義の割当分、配当分」なのである。権利主張は単に自分のためだけに行うものではなく、いつか同じ立場にたつあらゆる人々のために、つまり「正義」のために行われるべきものである。
    しかし日本では、「権利」の主張は「義務」との対比において、つまり単なるわがままな自己主張としてのみとらえられる傾向があるのではないか。

    0
    2026年03月31日

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