Posted by ブクログ
2017年08月15日
いろんなところで話題になっているから読んでみた。
一族経営の会社で、顧客や取引先のことなど考えず、常に会長、社長とその取り巻きの意向に戦々恐々としながらも、その意を汲むことに仕事の意義を見出す従業員たち。顧客や取引先からは血も涙もない悪魔、卑劣な極道、と罵られても平気の平左、上層部の意向に沿っ...続きを読むていれば身分は安泰だから「愛い奴じゃ、取り立てて進ぜよう」という言葉がかかるのをひたすら待つ。
逆に「これでは顧客のためにもならないし、引いてはわが社の信頼にも関わるのでないでしょうか」なんて意見を言おうものなら、「ふむ、そんな考え方もあるかもしれんな。それじゃ君、その考え方を広めてきてはどうかね、ここではないどこか遠くで」とのお言葉を頂戴し、左遷させられる。
多少の良心を持ち合わせていた若手社員も、正論が通じないことと、報復人事を目の当たりにして、黙ったまま時を過ごす。そして、いつの間にかその意に染まる。染まりきれずに良心の呵責に耐えられないものは辞めていくか精神を病む。
いや〜、ひどい会社だ。こういうモラルハザードを起こした会社は遅かれ早かれ信頼を無くし、倒産するのは間違いない。それが市場原理というものさ、あははははっ!
と、笑っている場合ではない。
これは会社を例にとった最高裁を頂点とする裁判所の話だからだ。
だから残念ながら倒産しない。
日本の司法は最高裁判所裁判官会議(これがいうなれば会長社長の一族)と事務総局(その腰巾着みたいな組織)によって支配されている。
最高裁の裁判官になれるかどうかは実力ではなく、前任者たちにいかにうまく取り入ったかで決まる。(昔の派閥政治みたいなもので、派閥のボスに可愛がられたものが大臣に就ける。ただし、派閥が乱立しているわけではないので、破れた派閥は共産圏の権力闘争みたいにほぼ抹殺となり、一人勝ちの状態になる)
事務総局は最高裁の意向を下々に通達する機関。「おまえら親分の言う事が聞けないってのか」とすごむ若頭的な役割。
がっちがちの上意下達の組織だ。
そんな中でも良識を持って、公明正大に頑張っている裁判官もいるんじゃないか、と思われる方いるでしょう。
安心してください。確かにいます。割合としては5%くらいらしいですが。
最高裁にはいない。上記のような理由で。東京大阪の大都市にある高裁にもいないらしい。
地方の地裁、高裁などで、定年間近のおじいさん裁判官などは、もう出世にも興味がないので、気骨のある態度で裁判に臨む方がたまにおられるようだ。
そういう裁判官に担当してもらえたらラッキーだが、上告されたら最高裁で、「なんだ、あのじじいの高裁判決か、癪に障る、覆してしまえ」と量刑が加算されるかもしれない。
裁判官に嫌気がさして、弁護士になる人が年々増加しているとか。
絶望の裁判所とはよく言ったものだ。
マスコミはもっと叩かないといけないと思う。政治腐敗の記事はそれこそ腐るほどあるけど、司法の腐敗を追及した記事はほとんど見かけない。判決うんぬんの記事は見かけるが、不可解な判決、常識と乖離した判決がなぜ出されるのか、司法構造の悪弊に目を向けた記事を書いてくれないと、表層の解説記事になってしまう。
どうにかなんないのか!
なんだかイライラする。
**お断わり**
本文はめちゃくちゃ硬い文章です。元裁判官の文章だから仕方ありません。こちらで勝手に意訳したレポなので、思い込みの部分はあります。悪しからず。
(ブクレポのタイトルは本に巻いてある帯からの借用)