売れ残るリスクを抱えてまで在庫を持つべきか、それとも売り逃すリスクがあっても在庫を減らすべきか。「在庫を大幅に減らしながら、利益を上げる」――常に市場の変化にさらされ、競争の激しい小売ビジネスの“限界なき可能性”を示す。『ザ・ゴール』が世界のものづくりの世界を変えてしまったとするなら、本書『ザ・クリスタルボール』は、小売業のあり方を変えてしまったと後世語られることになるだろう。売上げ不振に悩む店長のポール。ついに地域のチェーン10店舗のうち、利益率で8位にまでランクを下げてしまった。売れ残るリスクを抱えてまで在庫を持つべきか、それとも売上げが落ちるリスクがあっても在庫を減らすべきか――いつも、このジレンマが彼を悩ませている。儲からないのも無理はない。客が何を買うのか、どんな商品を用意して置いたらいいのか。それを教えてくれる魔法のクリスタルボール(水晶玉)があったら、どんなに助かることだろう。そんなさなか、ショッピングモールの水道管が破裂。モールの地下倉庫は水浸しになり使えなくなってしまった。わずか20日分の商品だけを残し、残りの在庫はすべて地域倉庫に戻さざるを得なくなった。たったそれだけの在庫で、はたして店舗は続けていけるのか。
目次
I 魔法のクリスタルボール
II 緊急事態発生
III 予期せぬ知らせ
IV 渦巻く疑念
V 説得工作
VI 次なる戦略
エピローグ