Posted by ブクログ
2021年10月23日
藤子・F・不二雄大全集「SF・異色短編1」。
自分たちが常識と感じているものが、通じない世界になったらどうなるの?というテイストの作品。日常に潜み、少しずつ侵食している不穏さを描くテイストの作品。大きく分けるとこの二つの柱かな。
あと、行きすぎた思想というか、考え方についてのもあるか。
なんとい...続きを読むうか、終末観というか、救いのない話が多いような。「定年退食」「間引き」がそれ。
「ノスタル爺」は救いがありそうな感じはするけど、ループから抜け出せるという可能性が見えているだけで、悲しみの話なんだよなぁ。
爽快感はないね。だからこその異色短編なんでしょうけども。
解説でSFの黄金時代はいつか?という問いに対して12才だ、という答えが紹介されています。12才か。子供と大人の間で、どちらの感情に対しても反応できる年齢だからかな。子供心から抜け出しつつあるけど、その楽しみを忘れてなく、大人心に憧れ背伸びして経験したがるけど、不潔さを感じることのできる年齢か。
現在では、子供心の部分だけがクローズアップされて、中二病なんて揶揄されてしまいますが、素敵な年代だと思います。
12才。子供心にも大人心にも、素直に反応できる稀有な時期。二度と訪れない時期だから、黄金時代というのでしょう。