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Posted by ブクログ
ラニスター家ではただひとり〈小鬼〉ティリオンが最初から視点人物となっている。彼は発育不良の小人症で、次男のために家督を継ぐ権利はなく、父親の寵愛も、剣士としての肉体もないことを、重々わきまえており、状況を斜めに見ながら、金と口先と知恵で人生を切り開いていく痛快な人物だ。
宮廷での権力を確保したラニスター家では、長男(そして皇太后の双子のきょうだいの)ジェイミーがスターク家の捕虜となってしまったため、当主タイウィンの命でティリオンが〈王の手〉として宮廷に乗り込む。少年王ジョフリーは決定的に王者としての資質を欠き、太后サーセイは子どもへの愛から盲目となっている中で、ティリオンは統治者としての才能を大いに発揮して、混沌とした宮廷の中、一陣の涼風のように活躍する。
少年王ジョフリーの叔父スタニスは邪教の魔力を得て、宮廷のあるキングズ・ランディングに攻め入ってくる。ティリオンは軍師としての力を発揮するが、恐らくサーセイの陰謀により負傷してしまう。
さて、本シリーズのテーマは何なのか、愛と名誉であろうか。大局的には、王の代行者である〈王の手〉となったスターク家と、王妃を出し、王室に力を及ぼしているラニスター家の対立がひとつの軸であり、読者はおおむねスターク家に感情移入しつつ読むように仕向けられている。
愛を体現するのはラニスター家である。たとえ義がなくとも一族を大切にするのがラニスター家の流儀だ。権力欲も一族繁栄のために、言い方を代えれば「血」のために出てくるといえる。対して、スターク家は名誉を重んじ、正当なことを貫こうとして、窮地に陥り、スターク家の子どもたちは辛酸を舐める。愛が勝つのか義が勝つのか、それとも……
他方、ゾンビの如き〈異形〉が台頭はじめた北部の〈壁〉では、スターク家の私生児ジョン・スノウの活躍が描かれる。こちらは名誉の世界。
海の向こうではかつての王家ターガリエン家の末裔デナーリスの王位奪還への遅々とした道程が描かれるが、こちらのテーマは愛か。デナーリスはあたかも身を売られたかのように騎馬民族ドラスク人の王妃となるが、夫は死んでしまい、おなかの子も死んでしまう。しかし、喪われて久しいドラゴンの卵を孵化させ、3頭の「ドラゴンの母」となる。
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