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強力な統率力と強靭な抵抗精神でイギリス国民を指導し、第二次世界大戦を勝利に導いた歴史的な政治家チャーチル。本書は、歴史の舞台に直接参加した彼の手による、最も信頼すべき最高の第二次世界大戦の記録だ。深い歴史観に基づく著作活動によってノーベル文学賞を受賞した彼の歴史物語を堪能できる。第1巻は、一九一九年から第二次世界大戦勃発の翌年までを描く。
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Posted by ブクログ
素晴らしく格調高い名文。彼が有名作家のタレント議員として国会議員になれたのも当然かと思う。でも、これが知的障害で、まともな文章も書けなくて、まともな高校にも入学できなかったというのだから、ほんとに信じられない。
第二次世界大戦を前史から丁寧に掘り起こしチャーチル自身の危機感を記述しついには第二次世界大戦が始まりチャーチルに組閣の大命が下るまでをこの巻で描いている。やや回りくどい表現も多いが極度に難解でもなく歴史を大局から必要十分な情報量で書いています。良書。
[世界を決めた男の言]第二次世界大戦中のほとんどを英国の首相として過ごし、卓越したリーダーシップと戦略眼で連合国を勝利に導いたウィンストン・チャーチル。その激動に次ぐ激動の大戦期を自ら振り返った作品です。当時の国際情勢を知る上での超一級的著作であると同時に、チャーチルの人間像がくっきりと浮かび上がる...続きを読む一冊でもあります。訳者は、日本翻訳家協会会長を務められた佐藤亮一。原題は、『The Second World War』。 どんな時代に読んでも、様々な角度からの考査に耐え、同時に読者に対して有意義な教えだけでなく、読書の楽しみまでをも教えてくれる作品が古典と呼ばれるに足るものと考えているのですが、本作はまさにその条件を軽々と満たしているように思います。読み終えたあとに、「やっぱりチャーチルはとんでもない......」と感動の内に嘆息してしまうこと間違いなしの一作です。本書が持つ魅力は、何がすごいかを評するまでもなく、とりあえず読んでみてくださいとつい言いたくなってしまうほど。 チャーチルの当時の心情が余すところなく描かれているのも本書をして他の作品の追随を許さないものにしている理由の一つかと。もう引用したい箇所が多くてどれをここで紹介しようか迷いに迷ったのですが、やはり組閣命令を受けた晩のチャーチルの心境を物語る下記の一節を読んだ際には震えを覚えました。危機の時代においてここまで言い切ることができるチャーチルという人に改めて敬意と興味を抱くことになった読書体験でした。 〜私はあたかも運命とともに歩いているように感じた。そしてすべての私の過去の生活は、ただこの時、この試練のための準備にすぎなかったように感じた。〜 読んでよかったと心から思える作品に☆5つ (注:本レビューは全4巻を通してのものです。)
イギリス首相を退いたチャーチルが唯一要求したものは大戦中を含む公文書を自由に見られることだけだった。そのチャーチルが書き残した「第二次世界大戦」全6巻を改変したのが本書で、第1巻は第一次大戦後の軍縮が進む中、ヒトラーが政権を握り軍備を拡張し戦争を始める間の英仏両国の動きを描いている。そして政界に復帰...続きを読むしたチャーチルがついに戦時内閣の首相に任命される。チャーチルの見方に立てばこの戦争は容易に避けることが出来た。しかし平和主義が英仏両国の軍備拡張を拒んだがために、領土拡大の野心を見せ挑戦するヒトラーを牽制出来ず勢い付かせてしまった。 ドイツに対する賠償支払いの要求は1ポンド43兆マルクと言う強烈なインフレを呼び自然と国家社会主義へと集まる下地が出来た。帝国主義に変わる勢力としてロシアの革命による共産主義とその影とも言えるファシズムが力をつけ始めていた。しかし国際連盟は創設され1934年まではドイツの武装勢力はまだ国連に歯向かえるほどの力はつけていなかった。 1918年にまだ無名の伍長だったヒトラーは19年9月にドイツ労働者党に加わり翌年2月の第一回大衆大会では議事を取り仕切り党の綱領を説明した。この頃からゲーリング、ヘスなどのヒトラー派が党内で力を持つ。1924年に収監されたヒトラーは「わが闘争」を練り上げた。ヒトラーとナチ党の勢力拡大にこの頃の戦勝国側は気がついていなかったが、1928年にはわずか12議席だったのが、30年に107、32年に230となりユダヤ人に対する迫害は激しくなっていく。 ヒトラーは権力闘争に勝ち残り、大恐慌が生んだ大量の失業者はヒトラー支持にまわった。33年ヒトラーのナチは過半数の支持を取り付け3月の第三帝国第一回国会は向こう4年間ヒトラーに非常時大権を与えることを決めた。粛清により軍の実権を握ったヒトラーは着々と軍備を拡張し、それを支える工業力をフル稼働させていく。一方で平和を望むイギリスはチャーチルが求めた空軍の増強を却下した。大戦開始時にはイギリス空軍は性能ではドイツを上回っていたが数では半数に過ぎなくなってしまったのだ。 35年の再軍備宣言は明らかな条約違反だったがイギリスはドイツの艦艇数をイギリスの1/3にするという新たな協定を同盟国のフランスや国連にも無断で結んだ。一見するとドイツ海軍の増強を制限する協定だがここで認められた艦艇数はドイツの工業力を超えたものであり、さらにUーボートの製造は含まれないなど実質的にはドイツを制限するものではなかった。 1936年ヒトラーはついに非武装地帯のラインラントに進撃した。この時ドイツ軍の将軍たちは消極的だったがヒトラーは賭けに勝ち以降軍はヒトラーに逆らえなくなっていく。イギリス首相は戦争の危険を冒すことはできないと実力行使には否定的で内部に強力な共産主義勢力を抱えるフランスもイギリスの後押しが無ければ国論を統一できない。そしてヒトラーの行動を制限する最大のチャンスは失われドイツはさらなる戦争に突き進む。 ラインラントの防壁がオーストラリア併合と続くチェコ侵攻を助け、ヒトラーはチェコとともに同時期のイギリスの兵器生産量に並ぶスコダ工場を手に入れた。領土は拡大し、工業力と1千万人の人口を手に入れとうとう独仏の戦力は逆転する。35年ならフランスは単独でドイツを再占領できたかもしれない。そしてのちのドイツ側の発表によると38年でもまだフランス側が優勢だった。 1939年9月1日ドイツはポーランドに侵攻し、3日イギリスは最後通牒を送り第二次世界大戦が開始された。チャーチルは戦時内閣の海相として入閣したようやくチャーチルが自分の力を発揮できる地位が与えられたのだが、もしもっと早くドイツに対する制裁を始めていれば第二次世界大戦は違った進行をしていたのだろう。アメリカの様にどこにでも乗り込んで行くのが平和につながるとは思わない。しかし、平和主義で有れば戦争を避けられるというわけでもない様なのだ。
思わず「平和とは何か」を考えてしまいました。 平和を享受しようと現実を直視せずただひたすら衝突を回避しようとする英国の姿勢、これは今の日本に通じるものがないか? そして戦後の国連やその安全保障理事会は、第2次世界大戦への道筋を二度とたどるまいという、人類の反省のもとに創設されたことが現実的なものと...続きを読むして理解できます。 訳された文章は皆さんの評通り日本語としてはいまいちですが、原文が名文であるだろうことを推測させます。
驚くべき記憶力と文章力。 第二次世界大戦の中心にいた政治家の語る生の歴史。家のは全4巻 文庫版 データなし。
第一次世界大戦が終わり、ヒトラーが台頭し、オーストリア併合、チェコへの進出、ポーランドに侵略し、チャーチルが首相になるまで。ヨーロッパ側から見る第二次世界大戦に関する本を読むのは初めて。確かに翻訳は気になるが、全体的な流れが分かって良い。チャーチルは貴族なんだね。ノブリスオブリージュなんだね。そう言...続きを読むう気構えを持って生きて来た人じゃないと対処出来ないのかな。でもアメリカは違うか。ヒトラーの野望やスターリンとの融和。ムッソリーニなどが出てくるすごい時代。これに日本とアメリカが絡んでくるんだね。本当に世界大戦だ。
第二次世界大戦において大きな役割を果たした英国首相ウィンストン・チャーチルが後年当時の情勢を振り返って書いた伝記。第1巻は開戦前からチャーチルが首相の任に着くまでが記されている。 あくまでチャーチルの主観で書かれているものであるものの、第二次世界大戦が起こる経緯が、関係する諸国の政治家との交流の記録...続きを読むとともに説明されている。なぜ開戦にまで至ってしまったのか。防ぐ道はなかったのか。何が失敗だったのか。あとからなら何とでもいえる、と思うかもしれない。しかし、政治家の判断、国民の世論、他国に対する交渉と妥協点、防衛力と平和希求の関係性と様々な視野から語り出されており、当時の感覚を論拠としている以上、疑いなく重要な見解ではなかろうか。 軍縮や圧力をかけすぎない方向性の、開戦前のイギリスの国民の世論と、ネヴィル・チェンバレンの平和の求め方が、どこか日本的であると感じるのは私だけだろうか。現代は当時とは事情が違えど、安全保障問題を考えるうえで、最も現代に近い時代の大戦について知っておくことは不可欠なのではないか、と思わされる一冊であった。 チャーチルの文章は軽快なので比較的読みやすいものの、地名・人名がピンと来ない部分や、非常に詳細に記している点でやや読みにくい部分もある。第二次世界大戦前後の状況について、他書で概要を先に確認しておいた方が良いかもしれない。
かなりのボリューム なかなか人物名とかヨーロッパの地理が頭に落としきれてないので理解できてない部分もあるが、そもそもこんな詳細な描写ができるのが凄すぎる。(何かで退任時に資料を全部もらったとか読んだ気も) 最後の首相になる部分は熱くなる
第二次世界大戦を英国首相として闘ったチャーチル。時局を的確に把握する眼力に秀でていたのでしょうか。第一次世界大戦敗戦後に課せられた過酷な賠償により疲弊したドイツから勃興するナチス主義、ヒットラーの本質を早くから見抜いていたことが、第一巻に記されています。ドイツに対する宥和政策の気分が高まっていた英国...続きを読むにあって、時局に対する危惧を正しく主張していたチャーチルの勇気と気力には感心させられました。 ドイツがヒトラーのもと軍備を拡大する中、対抗する欧州の大国たる英仏が何ら実効性のある対策を講じなかった結果として、チェコスロバキア、ポーランド、北欧諸国が次々と攻略されてしまったことに、事態を傍観して相手を利する結果となることの危険性が良く描かれています。 本書では、英国首相チェンバレンや、スターリンの懐刀であったモロトフなどの人物像も詳しく触れられています。チャーチル自身については、時局の急転下であっても絵を描きに旅行に出かけたりと、精神の余裕を感じさせる一面を知ることができました。首相として戦時内閣を組閣後は、昼寝をして深夜までの激務に耐えていたといい、長寿であった彼の健康法を垣間見た気がしました。
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