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Posted by ブクログ
女優・杏さんの『杏のふむふむ』で紹介されていたので、興味を持ち、購入し、読む。
大変不思議なノンフィクションである。
筆者がある女性から「あなたはデジデリオという男の生まれ変わりだ」と告げられることで、この物語は始まる。
筆者は懐疑的になりつつも、「知りたい」という欲求を抑えきれず、長い迷いの果てに「デジデリオ探索の旅」に出るのである。
前世を透視(?)した女性の言葉と、数々重なるできごと。
そして、「前世をめぐる旅」の道中で起こる不思議な偶然。
作者自身は前世、つまり輪廻転生や、前世が見えるという女性の言葉に対して完全に信じているわけではない。
それでも信じざるを得ないような出来事が次々と起こり、当惑したり、驚愕したり、また喜んだり、そして報われたりもする。
少し結末を明かすことになるが、最後の最後まで、この輪廻転生の正当性が証明されるわけでもない。
したがってこの「前世が見えるという女性」の正当性も証明されるわけではない。
その点に関する著者の視点、記述がよい。
このノンフィクション(あるいはルポルタージュ)は、読んでいてスリリングであり、ミステリアスであり、感動的である。
Posted by ブクログ
前世を言い当てられるという女性に「あなたはイタリア、ルネサンス期に活躍し夭折した美貌の彫刻家デジデリオの生まれ変わりだ」と伝えられたルポ作家が、その真偽を確認しようと徹底的に調べ上げ、ついには、イタリア、ポルトガルまで飛んで その謎に迫るという内容の本だ。日本人が自分の前世についてこれほど徹底的に追求したノンフィクションがあったのとは迂闊にも知らなかった。読み出すと結局最後まで止まらなくなる。わくわくするような謎解きの面白さだ。私も、他の仕事そ っちのけで一気に読んだ。
京都在住の霊能者である主婦が語った著者・森下氏の前世、つまりデジデリオの人生は、その生まれ、同性愛者としての数奇な人生、残された作品の秘密にいたる まで細部にわたり、専門的な知識も欧米語の知識もない主婦が文献で調べあげられるような内容ではない。日本語の文献で必死になって調べても、分かるのはせいぜ い、百科事典的な生涯の記述などごく限られた情報でしかない。欧米の文献でも事情はそれほど変らないらしい。
しかし、イタリアに飛んだ森下氏が、徹底的に調べれば調べるほど、京都の女性 が見たデジデリオの人生のビジョンの正確さが裏付けられていく。そのスリリング な調査のプロセスにこの作品の面白さがある。一例を挙げると、通説では、デジデ リオの友人ロッセリーノの作とされる彫刻があった。実はその顔の部分がデジデリオの作であった決定的な証拠が、偶然に見つけたポルトガル語の文献から確かめられる。京都の女性が語っていたことが正しかったのだ。こうしたいくつかの例から、 京都の女性が見たビジョンはかなり信憑性があると、誰もが思う。
一方で読後に若干の物足りなさを感じる。確かに京都の女性が見たビジョンは、 現地でかなり確かめられていく。しかし、それが森下氏の前世だと主張しうる根拠 は何もない。森下氏が愛用するベネチアグラスの小さなガラス瓶を手に持ちながら 京都の女性が見たのは、たまたま浮かんできたデジデリオの生涯であり、森下氏の人生とは何も関係ないかも知れない。それは、ただ京都の女性の透視力が確認されたに過ぎないのではないか。そういわれても反論できない。森下氏とデジデリオに 説得力のある共通点があるわけでもなく、デジデリオゆかりの場所で、彼女が何か強烈なインパクトを受けるわけでもないのだ。
それにしても、これまで精神世界とは無縁の仕事をしてきたルポルタージュ作家が、懐疑を捨てきれぬままに霊能者の見たビジョンにしたがって徹底的に調べ上げ、 ついに通説を超えたデジデリオの真実に迫ったという事実は、高く評価されていい。
この作品は、ぜひともその続編が書かれるべきだと思った。霊能者の女性によれ ば、デジデリオと変らぬ愛を誓いあった同性愛の相手が、今日本に生まれ変わって、 彼女と同じライターの仕事をしているという。その人物については、もちろん何も 手がかりがないのだが、もしその人物との出会いが語られるならば、この作品は見事に完結するだろう。デジデリオを調査する過程で起こった数々のシンクロニシテ ィを思えば、そういう結末があっても不思議ではない。
Posted by ブクログ
ネットで紹介されていて気になって手に取った本。
著者の森下さんが、前世が見える女性から森下さんの前世だと告げられたイタリアの彫刻家について調べるためにフィレンツェとポルトを旅した冒険記。
森下さんというと、「日日是好日」で長く茶道をされている方というイメージだったので、イタリアのこともお好きで暮らしたいとまで思われていたのかとまず驚く。
そして、とにかく森下さんの行動力がすごい。
スピリチュアルを全て否定はしないけど、前世には懐疑的な私だけれど、引き込まれて一気読みしてしまった。
日本の片隅の六畳間の和室で読みながら、ルネサンス期のフィレンツェとポルトに旅をした気分。
前世の真偽はさておき、森下さんの引き寄せ力が凄まじい。
よくぞ500年前の異国の人物についてここまで調べ上げられたと驚く。
ルネサンスというと華やかなイメージだったけど、その時代の背景や「メメントモリ」の言葉の意味を知り、勉強になった。
この体験は、森下さんにとって一生の宝物になったのでは、と思う。
しかし、5度目の生で、デジの他にも鑑真和上の弟子だったこともある森下さんがすごすぎ。
そういえば、私も若い頃ってわりと頻繁にデジャヴを感じていた気がするけど、最近全くないな。
Posted by ブクログ
タイトルを見て怪しい本…と思ったが、著者を見ると森下典子氏。やはり怪しくはなかった。むしろ終始「こんなこと調べて怪しい人と思われたくない」という思いが綴られているのがおもしろい。
※ちなみに、本書は単行本では「デジデリオラビリンス」、文庫版も以前は「デジデリオ」というタイトルだったそうだ。
ある女性に「あなたの前世はルネサンスの彫刻家」と言われた著者は、事実を確認するためイタリアに向かう。仕事で依頼されたわけでもなく、あくまで「個人的に気になるから調べるわ」というぐらいのスタンスなのだが、紹介状を偽造してまで歴史的美術品や機密文書を見せてもらうなど、わりとガチなルポであった。
Posted by ブクログ
著者はフリーのルポライター。女性だが、占いのような非科学的なものは全く信じない性格。ところが、あるとき行きがかりで占い師の取材をすることになり、そこで「あなたの前世は中世ルネサンスの彫刻家デジデリオ」と告げられる。聞いたこともない名前だったが、その話があまりにも微細に渡っていたので調べてみると、確かに史実と一致した。しかし、日本語の文献だけでは載っていない部分もあり、にわか仕込みにしては手が込みすぎている…気になり出して調査を続けるうち、ついに著者は仕事を投げ出してイタリアへ飛ぶ。
「前世」というスピリチュアルな内容だが、いわゆる「スピ本」ではなく、普通の視点で書かれている。それだけに神秘性がいっそう際立ち、ミステリアスな印象を与える。「そんなことがあるものだろうか」と思っているうちに、ぐいぐい引き込まれてしまう。なまじ前世というものを信じている人より、著者同様信じていない人の方が楽しめるかもしれない。
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小説・文芸
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