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なぜ私たちはあの人の論破にだまされるのか。
事実と物語は混ぜるな危険!
陰謀論とフェイクが溢れる世界で生き抜く「武器としての思考法」。
文明を築くのに一役を買ったストーリーテリング。その伝統あるストーリーテリングが近い将来文明を破壊するかもしれない。
ストーリーテリングアニマルである私たち人間の文明にとって、ストーリーは必要不可欠な道具であり、数え切れない書物がストーリーの長所を賛美する。
ところが本書の著者ジョナサン・ゴットシャルは、ストーリーテリングにはもはや無視できない悪しき側面があると主張する。
主人公と主人公に対立する存在、善と悪という対立を描きがちなストーリー。短絡な合理的思考を促しがちなストーリー。社会が成功するか失敗するかはそうしたストーリーの悪しき側面をどう扱うかにかかっている。
陰謀論、フェイクニュースなど、SNSのような新しいテクノロジーがストーリーを拡散させ、事実と作り話を区別することはほとんど不可能になった。人間にとって大切な財産であるストーリーが最大の脅威でもあるのはなぜなのか、著者は説得力をもって明らかにする。
「ストーリーで世界を変えるにはどうしたらいいか」という問いかけをやめ、「ストーリーから世界を救うにはどうしたらいいか」と問いかける書。
スティーブン・ピンカー、ダニエル・ピンク絶賛!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
「物語」をテーマにした本.銃乱射事件,反ワク,テロ,ホロコースト,宗教,芸術…これら全部に「物語」が関わっている.
物語は人間は互いに意思を疎通し協力し合うための強力なツール.物語は複雑な現実を単純化する.結果,人々は各々の限られた認知能力の中で誰が敵で味方かと言った世界観を共有することができる.だからこそ地球の覇者になれた.
しかし昨今では物語が災いを招く事が往々にして起きている.陰謀論に取り憑かれ悪を懲らしめる正義というナラティブに侵された殺人犯による銃乱射事件.反ユダヤ主義を掲げたホロコーストなど.
2024年1月,世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書は「誤情報」を最大のリスクとして報告した.
これも”物語”がもたらす負の側面が与える影響を憂いてのことだろう.
情報通信技術は物語を世界中に伝播するコストをほぼゼロにした.ポピュリズムの台頭,民族衝突,侵略戦争,感染症の世界的な流行,急進的技術革新など,人々を分断に陥れうる物語を生むさまざまな要因が今日散見される.また,この状況の中で自らの目的の達成を企む個人や組織,国家もいる.
人間の認知空間は陸海空,宇宙,サイバー空間に変わる新たな戦場だという主張を読んだことがある.これはまさに物語を駆使する戦争.
「誤情報」を無視できないリスクとせざるを得ない土壌が出来上がっているのは明らか.
今に始まった事ではないが物語を語る者に全幅の信頼をおかず,
また耳に入る物語を逐次疑い,批判する心構えがより一層必要となる.
ただその検証は物語を語る自分自身にも当てはめないといけないし,あらゆる物語全てを疑うことは大変な知的体力を必要とする.簡単なことではない.
また,似非科学信奉者やカルト宗教信奉者といった
自分にとっては不可解な人がどうしていなくならないだろうかという
疑問の答えも得ることができた.
・物語は人類にとって必要不可欠である
・宗教や似非科学は物語の一種である.
・ゆえに宗教や似非科学は人類に必要不可欠である
ということなんだろう.
「宗教や似非科学に類されない物語」だけを人類が受け入れる事ができれば,
3点目は成立しないことになるが,それは現実されていないし,これは
筆者が述べている「物語から毒性だけを抜くことはできないのか」という問いと,
それは不可能だろうという答えとも一致する.
現実の複雑さや退屈さ不合理さに対する許容度が高いか低いかは個人差(性格,知能力)があり,
この許容度が低い人ほど,上述の物語に溺れてしまうんだろう.
そうなってしまうと客観的エビデンスを伴った主張すら聞く耳を持たない状態になってしまい,
真実かどうかであることより,自分が信じる観念的世界に対して耳触りが良いかどうかの方を優先してしまう.
因果関係のないAとBを無理くり繋げて痛快で腹落ちする物語として認識してしまう.そうして世界の認識がさらに歪む.
無論,自分自分もある分野に対してはそういう傾向があるはずであるという謙虚さはもたねばならない.
全ての結果には,筋の通った原因がある
悪は必ず懲らしめられる.
xxxxは悪で,xxxxは正義である.
努力は絶対に報われる
自分が報われないのは,誰かの陰謀のせい
これら公平世界仮説も人間の物語によって生み出された産物であり,現実世界とは一切関係がないものと割り切らないといけない.
あと自分は美術館に行くのが好きだが,この本を読んで,「ああ自分はある種の物語を接種したいだけなんだな」ということに気づいてしまった.ちょっと覚めた.
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漫画家や映画監督,映像ディレクター,そしてスポーツ選手も「物語をつくる」ことで莫大な対価を得ている.
物語=あらゆる情報を保存し伝承する手段
ナラティブの最大の秘術として混乱を秩序に,狂気を意味に変える物語
→一見筋の通った物語(ナラティブ)は本来あるはずの混乱や秩序が隠されている
”私たちが音楽,彫刻,絵画,舞踏を愛するのはストーリーテリングへの熱中が形を変えたものと言っていい”
→美術館に赴きたい気持ちを抱くのは物語を欲しているから
”ストーリーテリングは人類にとって必要不可欠な毒”
”現実よりも痛快でわかりやすく描かれた物語に入り込み,退屈で道徳的にあいまいな現実世界より仮想現実の方が暮らしやすいからという理由でそこから出ようとしない,体験型ゲームに耽溺しやすい人間というものの性向を.私たちは個人レベルでもっと自覚する必要がある”
ナラティブ…事実とフィクションの間に横たわる得体の知れない谷
シオン賢者の議定書
→筆者曰く「世界中の悪いこと全てをユダヤ人のせいにする陰謀論の書」らしい
→そんなものあるんか...
”人間は物語を語る動物である”
”物語は古くから人類にとって恵みであり,災でもあった.
物語への没頭→フロー状態,ゾーンに入る→自分自身をも含めた現実からの忘却
→現実がうまくいかない人ほど,物語に没頭するということか…
中国のグレートファイアウォール,情報統制,弾圧=マトリックスの世界
Posted by ブクログ
日頃SNSに耽溺しがちな人間が読むと、納得と納得と納得しかない本。読みながら、いろいろな集団のことが頭をよぎる(し、著者が指摘する通り自分のことはそこに入れて考えたりしないもの!)。頭が悪いから、同じようなことを言う人に囲まれているから、そうしないと保てない惨めさがあるから、etcの自分ではない集団への「分析」を目にするけれど、そもそも人間はそうやって物語を必要として、物語を作りながら、生きてきたよね。SNSでは負の力ばかり見て取れるし(なぜなら読みながらストーリーに閉じ込められたSNS上の特定集団を思い浮かべているから)、実際ものすごく悪さをしている、のがどんどん顕著になっているけれど、「じゃあなくそうよ」というほど単純な話では全くない…。終章で著者が言うように、自分のそういったベクトルを自覚して生きていくのが必要なのだろうけど。世界はどうなるんだろうな。
Posted by ブクログ
ストーリー(物語)に、なびきやすい脳を持つ人類たちのためのワクチン的な一冊。
人類はストーリーなしでは生きられない。
この世界はストーリーで溢れている。
本や映画やドラマはもとより、宗教や歴史、ニュース、あとは、広告、会社の同僚のおしゃべりまでストーリーだと思う。
外から自分の中に侵入するようにやってくるストーリーに影響されたりされなかったりして人間は日々生活しているのだ。
ただ、人間には脳の癖があって、自分を善人、対立するものを悪人として組み上げるストーリーに耽溺しやすい気がする。
世界中で頻発している対立も、そのせいに思う。
私自身も、うっかりすると、そういう構造に飲み込まれて世界を認識してしまう。
物事をフラットに見るって、実は人間には難しいのかもしれない。
タイトルは煽情的だが、翻訳本らしく、ユーモアとペーソスが散りばめられていて面白かった。
【ストーリーテラーを決して信用するな】
語る人には本人が意識してようとしていまいと意図がある。
自分ができることは、歪んだ世界を見ていることを常に意識すること。
自分の中の歪みにも気づくよう努力すること。
自分自身もストーリーテラーである。
この本で学んだことと雑感が混じっちゃってます。
Posted by ブクログ
人間は物語が大好きという事を、その大好きな物語の形式面やストーリーの種類を特定した点が秀逸と思いました。
何と、ほぼ全ての超人気ストーリーには、多様なものがあるのではなく、ある同じ共通の建て付けはあるという衝撃の分析。
他方でそのストーリーにのらない方法の語りで、いかに重要なものとか事実を力説しても、聞き手の人間は興味を持たずに、伝播することもないという事実も指摘されています。
これは人間の特徴でもあり、人間による認知というものの限界を示していると思いました。
生成AIが爆発的な人気が出ていますが、AIであれば人間が興味を持たない重要な事実やストーリーも根気よく分析してくれるのであれば、様々な新たな発見が多く生まれる気がします。楽しみです。
Posted by ブクログ
大変面白かった。強い国家や宗教思想を広めるため不可欠な共同幻想を民衆に抱かせ、文明を築くのに不可欠な道具であったストーリーテリング(物語化)。良い面ばかりに注目されがちだが、ここではフェイクニュースや陰謀論に同じ力が働いている現代の問題に注目する。
物語の力をスター・ウォーズの「フォース」に例えて説明しているのも(私にとっては)とても分かりやすかったし信頼できるな、と共感・納得したら著者の語る「物語」がストンと入ってきてしまうようになった。脳が操作されてる!
「善をもたらす強力な物語の力を真のジェダイが操るのであれば、すばらしい。しかし人をなびかせる物語の力は、ダークサイドにも使われる。
『スター・ウォーズ』で善悪の両面を持っていたフォースと同じく、ストーリーテリングが諸刃の剣であることを、物語の科学は明らかにしている。ストーリーテリングを良薬たらしめている要素こそがまさしく、ストーリーテリングの劇薬たる部分だ。」p26
物語戦争、というとファンタジックにも聞こえるが、それは相手のナラティブ対自分のナラティブの闘いであり、それが物理で殴り合うのと同じくらいハードなものであるのは毎日Twitter見てれば分かること。結局道徳的な正しさや科学的な正確さよりもいかに不安を煽り面白いかが勝ってしまうことも。
そういう世界で科学をはじめとする実証主義が権威を取り戻すには、という話になるんだけど某大統領(でかメガホン笑)の例や学術分野の思想の偏りがもたらす害などの例も挙げながら、相手を悪魔化しない事、自分も状況が違えば彼らと同じだったかもしれないと想像する事が大事、というのはほんとそう。
「正しさ」が陰謀論やフェイクニュース、分断を煽る物語に勝つにはそれなりに面白くならないといけない、というシビアな現実があるのも凄く納得するんだよね。
正しい側が同じような考えの人ばかりで集まり、相容れない人達を攻撃・排斥するムードがそっちの「物語」を民衆が嫌う流れを加速させる…というの。
私達が界隈の隅っこで私達にしかわからない言葉で正確さを求めても、「キャスリーン・ケネディ社長が全部悪い!あれもこれもあいつのせいだなぜなら…」みたいな話の方が面白いし拡散するのはそういう事なんだよな、とか思った。(SWの話)
自分が今魔女とかそっち方面に興味があるのは、陰謀論とかあっち側の「面白さ」をまたうまいこと使って真面目な科学的な正確さとかともまた違う方向で「良き事」ができる可能性があるんではないかというのがあって。変な事やりながら世の中を良い流れに持ってくヒントになるのでは、とか。
政治の側にはいつもなんらかの「魔術師」がいるように、民衆のそばにも魔女や魔術師の力は必要なんだよねーとか思ったり。
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ビジネス・実用
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