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作品一覧 2022/07/29更新 ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する 試し読み フォロー 1~1件目 / 1件<<<1・・・・・・・・・>>> ジョナサン・ゴットシャルの作品をすべて見る
ユーザーレビュー ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する ジョナサン・ゴットシャル / 月谷真紀 「物語」をテーマにした本.銃乱射事件,反ワク,テロ,ホロコースト,宗教,芸術…これら全部に「物語」が関わっている. 物語は人間は互いに意思を疎通し協力し合うための強力なツール.物語は複雑な現実を単純化する.結果,人々は各々の限られた認知能力の中で誰が敵で味方かと言った世界観を共有することができる.だ...続きを読むからこそ地球の覇者になれた. しかし昨今では物語が災いを招く事が往々にして起きている.陰謀論に取り憑かれ悪を懲らしめる正義というナラティブに侵された殺人犯による銃乱射事件.反ユダヤ主義を掲げたホロコーストなど. 2024年1月,世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書は「誤情報」を最大のリスクとして報告した. これも”物語”がもたらす負の側面が与える影響を憂いてのことだろう. 情報通信技術は物語を世界中に伝播するコストをほぼゼロにした.ポピュリズムの台頭,民族衝突,侵略戦争,感染症の世界的な流行,急進的技術革新など,人々を分断に陥れうる物語を生むさまざまな要因が今日散見される.また,この状況の中で自らの目的の達成を企む個人や組織,国家もいる. 人間の認知空間は陸海空,宇宙,サイバー空間に変わる新たな戦場だという主張を読んだことがある.これはまさに物語を駆使する戦争. 「誤情報」を無視できないリスクとせざるを得ない土壌が出来上がっているのは明らか. 今に始まった事ではないが物語を語る者に全幅の信頼をおかず, また耳に入る物語を逐次疑い,批判する心構えがより一層必要となる. ただその検証は物語を語る自分自身にも当てはめないといけないし,あらゆる物語全てを疑うことは大変な知的体力を必要とする.簡単なことではない. また,似非科学信奉者やカルト宗教信奉者といった 自分にとっては不可解な人がどうしていなくならないだろうかという 疑問の答えも得ることができた. ・物語は人類にとって必要不可欠である ・宗教や似非科学は物語の一種である. ・ゆえに宗教や似非科学は人類に必要不可欠である ということなんだろう. 「宗教や似非科学に類されない物語」だけを人類が受け入れる事ができれば, 3点目は成立しないことになるが,それは現実されていないし,これは 筆者が述べている「物語から毒性だけを抜くことはできないのか」という問いと, それは不可能だろうという答えとも一致する. 現実の複雑さや退屈さ不合理さに対する許容度が高いか低いかは個人差(性格,知能力)があり, この許容度が低い人ほど,上述の物語に溺れてしまうんだろう. そうなってしまうと客観的エビデンスを伴った主張すら聞く耳を持たない状態になってしまい, 真実かどうかであることより,自分が信じる観念的世界に対して耳触りが良いかどうかの方を優先してしまう. 因果関係のないAとBを無理くり繋げて痛快で腹落ちする物語として認識してしまう.そうして世界の認識がさらに歪む. 無論,自分自分もある分野に対してはそういう傾向があるはずであるという謙虚さはもたねばならない. 全ての結果には,筋の通った原因がある 悪は必ず懲らしめられる. xxxxは悪で,xxxxは正義である. 努力は絶対に報われる 自分が報われないのは,誰かの陰謀のせい これら公平世界仮説も人間の物語によって生み出された産物であり,現実世界とは一切関係がないものと割り切らないといけない. あと自分は美術館に行くのが好きだが,この本を読んで,「ああ自分はある種の物語を接種したいだけなんだな」ということに気づいてしまった.ちょっと覚めた. ========================================= 漫画家や映画監督,映像ディレクター,そしてスポーツ選手も「物語をつくる」ことで莫大な対価を得ている. 物語=あらゆる情報を保存し伝承する手段 ナラティブの最大の秘術として混乱を秩序に,狂気を意味に変える物語 →一見筋の通った物語(ナラティブ)は本来あるはずの混乱や秩序が隠されている ”私たちが音楽,彫刻,絵画,舞踏を愛するのはストーリーテリングへの熱中が形を変えたものと言っていい” →美術館に赴きたい気持ちを抱くのは物語を欲しているから ”ストーリーテリングは人類にとって必要不可欠な毒” ”現実よりも痛快でわかりやすく描かれた物語に入り込み,退屈で道徳的にあいまいな現実世界より仮想現実の方が暮らしやすいからという理由でそこから出ようとしない,体験型ゲームに耽溺しやすい人間というものの性向を.私たちは個人レベルでもっと自覚する必要がある” ナラティブ…事実とフィクションの間に横たわる得体の知れない谷 シオン賢者の議定書 →筆者曰く「世界中の悪いこと全てをユダヤ人のせいにする陰謀論の書」らしい →そんなものあるんか... ”人間は物語を語る動物である” ”物語は古くから人類にとって恵みであり,災でもあった. 物語への没頭→フロー状態,ゾーンに入る→自分自身をも含めた現実からの忘却 →現実がうまくいかない人ほど,物語に没頭するということか… 中国のグレートファイアウォール,情報統制,弾圧=マトリックスの世界 Posted by ブクログ ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する ジョナサン・ゴットシャル / 月谷真紀 日頃SNSに耽溺しがちな人間が読むと、納得と納得と納得しかない本。読みながら、いろいろな集団のことが頭をよぎる(し、著者が指摘する通り自分のことはそこに入れて考えたりしないもの!)。頭が悪いから、同じようなことを言う人に囲まれているから、そうしないと保てない惨めさがあるから、etcの自分ではない集団...続きを読むへの「分析」を目にするけれど、そもそも人間はそうやって物語を必要として、物語を作りながら、生きてきたよね。SNSでは負の力ばかり見て取れるし(なぜなら読みながらストーリーに閉じ込められたSNS上の特定集団を思い浮かべているから)、実際ものすごく悪さをしている、のがどんどん顕著になっているけれど、「じゃあなくそうよ」というほど単純な話では全くない…。終章で著者が言うように、自分のそういったベクトルを自覚して生きていくのが必要なのだろうけど。世界はどうなるんだろうな。 Posted by ブクログ ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する ジョナサン・ゴットシャル / 月谷真紀 全てに意味づけをして物語性を求めてしまう人間の性が、いかに世界を分断しているか。 「物語」のダークサイド。 ハラリのサピエンス全史やダイヤモンドの銃・病原菌・鉄のような名著(と思っていたもの)すらも相対化される。 ストーリーテラーを信用するな。 しかし、憎むな。 Posted by ブクログ ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する ジョナサン・ゴットシャル / 月谷真紀 ストーリー(物語)に、なびきやすい脳を持つ人類たちのためのワクチン的な一冊。 人類はストーリーなしでは生きられない。 この世界はストーリーで溢れている。 本や映画やドラマはもとより、宗教や歴史、ニュース、あとは、広告、会社の同僚のおしゃべりまでストーリーだと思う。 外から自分の中に侵入するようにやっ...続きを読むてくるストーリーに影響されたりされなかったりして人間は日々生活しているのだ。 ただ、人間には脳の癖があって、自分を善人、対立するものを悪人として組み上げるストーリーに耽溺しやすい気がする。 世界中で頻発している対立も、そのせいに思う。 私自身も、うっかりすると、そういう構造に飲み込まれて世界を認識してしまう。 物事をフラットに見るって、実は人間には難しいのかもしれない。 タイトルは煽情的だが、翻訳本らしく、ユーモアとペーソスが散りばめられていて面白かった。 【ストーリーテラーを決して信用するな】 語る人には本人が意識してようとしていまいと意図がある。 自分ができることは、歪んだ世界を見ていることを常に意識すること。 自分の中の歪みにも気づくよう努力すること。 自分自身もストーリーテラーである。 この本で学んだことと雑感が混じっちゃってます。 Posted by ブクログ ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する ジョナサン・ゴットシャル / 月谷真紀 人間は物語が大好きという事を、その大好きな物語の形式面やストーリーの種類を特定した点が秀逸と思いました。 何と、ほぼ全ての超人気ストーリーには、多様なものがあるのではなく、ある同じ共通の建て付けはあるという衝撃の分析。 他方でそのストーリーにのらない方法の語りで、いかに重要なものとか事実を力説しても...続きを読む、聞き手の人間は興味を持たずに、伝播することもないという事実も指摘されています。 これは人間の特徴でもあり、人間による認知というものの限界を示していると思いました。 生成AIが爆発的な人気が出ていますが、AIであれば人間が興味を持たない重要な事実やストーリーも根気よく分析してくれるのであれば、様々な新たな発見が多く生まれる気がします。楽しみです。 Posted by ブクログ ジョナサン・ゴットシャルのレビューをもっと見る