恩地三保子の作品一覧
「恩地三保子」の「杉の柩」「満潮に乗って」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
「恩地三保子」の「杉の柩」「満潮に乗って」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
“心に描いただけの殺人はなんらの害を及ぼしません”
ロード医師のことばが、クリスティー読者を安心させる。クリスティー自身への弁護にもなろう。
“人は、長いこと殺人を心にあたためていると、かならず突然その暗黒の想いから脱け出し、何もかもが、なんかばかげていたような気になるものなんです”
当時はクリスティーのことを「読者を殺人に駆り立てる可能性がある」と批評する声があったかもしれないし、クリスティー作品を読んでいると「人殺しの本ばかり読んで」と眉をしかめられたのかもしれない。それでなくとも、誰かのことを憎み、あの人がいなければいいのにと夢想することは、誰しも一度はあるんじゃなかろうか。そんな我々の後ろめたさを、ロード医師の言葉が肯定してくれるかのよう。確かに殺人のことを考えている方が、相手への憎悪を無理に押し込めておこうとするより健全な気がする。そしてミステリを読むことで、日々の鬱憤が晴れる面もあるだろう。クリスティー作品の素晴らしさが、この言葉でメタフィクション的に語られている気がする。
ところで遺言状を、「まだ大丈夫」と先延ばしにして書かずじまい……というのは80年前も同じだったのだな。
Posted by ブクログ
いやー面白かった。クリスティ作品の中ではなかなか目立たない作品だが、いやはやどうして面白いではないか。「チムニーズ館」と同じくロマンス色が少し強いかな。
それにしても、リン、それでいいのか…? とは思った。「若い女は危険な男に惹かれる」という信条がクリスティにはあるのだろうか。リンの男に惚れる理由には戸惑いしかない、が、まぁロマンス詐欺もどき兼殺人者か傷害致死の犯人なら後者の方がマシなのだろうか……すまんわからん。こう並べてみるとリンの男運と見る目がなさすぎる。とはいえ昔の、とりわけ戦後のことだから選択肢はなかったんだろうが。
さてはて、肝心な3つの殺人事件について。
見事にどれもこれもが予想外の犯人すぎて驚いた。さすがに想像はつかなかったな。
1番気の毒なのはロザリーンじゃなかろうか……。
Posted by ブクログ
1940年の作品。
エルキュール・ポアロシリーズ長編18巻目。
あらすじ
大富豪の老女ローラ・ウェルマンの姪であるエリノア・カーライルは、親戚で幼なじみのロディ・ウェルマンを深く愛しており、2人は婚約していた。ウェルマン夫人の遺産を狙っている娘がいるとほのめかす匿名の手紙が届いたことがきっかけで、エリノアとロディは夫人の館を久しぶりに訪れる。館の門番の娘のメアリィ・ジェラードをウェルマン夫人は可愛がり、教育を受けさせたり面倒を見ていた。ロディは、美しいメアリィを一目見た瞬間、彼女に夢中になってしまい、それを知ったエリノアはロディとの婚約を解消する。その後、ウェルマン夫人が遺言を残さず亡くなり、唯一の肉親であったエリノアが莫大な遺産を相続する。さらにその後、メアリィジェラードがモルヒネにより毒殺された。警察は嫉妬による殺人と判断し、エリノアは容疑者として裁判にかけられる。エリノアを助けるためにロード医師が依頼したエルキュール・ポアロが真相に迫る…
ポアロに珍しい法廷モノ。そして文句なしに面白い!何より構成が素晴らしい!
なかなかポアロは出てこないんですが、感情を表に出さないエリノア・カーライルの心情が巧みに描かれていて、深く愛する男性が別の女性に恋に落ちてしまうことを知った彼女の切なさに胸が締め付けられます!
そしてそんな彼女を一途に想うロード医師…。
ポアロが優しい。恋のキューピッドさながら慈愛に満ちています。ヘイスティングス君やジャップが出てこないとポアロすごいいい奴に思えるw
裁判のシーンは手に汗握る臨場感。伏線回収していく清々しさ!さらに、この伏線関係なかったんだ!とバラしていく巧みさも素晴らしい〜!!
クリスティ作品の中でも大好きな作品の一つです。
Posted by ブクログ
うーん面白かった!久々の星5つでございます。
証拠的にも動機的にも黒としか思えない状況をどうひっくり返していくのか。
あらゆるクリスティーランキングで、”派手ではないが傑作”と名高い今作を、ついに読むことができました。
あらすじから、エリノアが(おそらく)犯人でないことは明らかなのですが、それを抜きにしても彼女のような女性はとても好みなキャラクターです。クリスティー作品に時々出てくる、知性と品があって自立した女性にめっぽう弱いんだよなぁ。
そしてへっぽこ探偵な私は、「エリノアでないならロディしかありえないのでは?!」と早合点していたため、最後の最後に明かされる謎解きにはびっくり仰天。ポアロさんの入れ知恵はあったでしょうが、なんだか頼りないと言われていた弁護士さんがかなりやり手じゃないか……!
それにしても、人間はやはりゴシップ好きといいますか、調査を進める中で語られるエリノアとメアリイの人柄の描写にはとても興味深いものがありました。
実際の田舎ネットワークには辟易しちゃいますが、この”どこで誰が見て・聞いているかわからない”状況は面白い。物的証拠がほとんど出てこない会話シーンが続くにも関わらず、飽きずに読み通させる筆力はさすがです。
総じて、エリノアというキャラクターも大好きだし、あっと驚く謎解き(解決への糸口のささやかさも加えて)も結末のロマンスも、すべてに拍手!私の中のクリスティーベスト10に堂々ラインナップしたい一冊となりました。