作品一覧

  • 女性差別はどう作られてきたか
    4.2
    医科大学での女性受験生一律減点問題など、現代においても「女性である」ことによる差別はなくならない。それどころか、日本はジェンダーギャップ指数で世界の下位にいる。なぜ、女性を不当に差別する社会は生まれてしまったのか。長年ホッブズや福沢諭吉研究に携わってきた著者が、女性差別が生まれるまでの過程を、政治思想史の観点から分析。西洋と日本で異なるその背景を「家父長制」という概念により読み解く。 ◆小島慶子氏(エッセイスト)推薦!◆ジェンダーの観点から思想史を読み解く、平易で明快な筆致に引き込まれます。
  • 福沢諭吉 「一身の独立」から「天下の独立」まで
    3.0
    1巻968円 (税込)
    幕末から明治にかけて、来たるべき近代国家の在り方を構想した大思想家、福沢諭吉。 既存の研究では、彼の武士としての前半生は、ほとんど重視されてこなかった。 だが、未知の文明の受容と理解を可能にするためには、何らかの器が必要だったはずだ。 本書では、福沢の中で儒学の枠組みと西洋がいかに響き合い、どのような変化がもたらされたかを丹念に描く。 家族や男女関係など「私的領域」を含む社会を見据え、西洋思想の直輸入ではない「自由」と「独立」への道筋を示した、鮮烈な福沢諭吉論の誕生! 【目次】 はじめに――「議論の本位を定める」(『文明論之概略』第一章) 一、福沢の前半生――「一身にして二生を経る」(『文明論之概略』緒言) 二、西洋から学ぶ――「文字は観念の符号」(「福沢全集緒言」) 三、『中津留別の書』――「万物の霊」としての人間 四、『学問のすすめ』――自由と「一身の独立」 五、『文明論之概略』――文明と「一国の独立」 六、「徳」論の変化――「主観の自発」か「客観の外見」か 七、男女関係論――「一家の独立」 八、理想社会としての「文明の太平」――「天下の独立」 引用・参考文献 あとがき
  • 福沢諭吉 文明と社会構想(現代自由学芸叢書)
    値引きあり
    -
    1巻1,815円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 【内容紹介・目次・著者略歴】 「この間、日本の家族の変化は驚くほどである。フェミニズムは、近代という時代に生きる中で女性が感じてきた生きにくさは、女性が家族という領域に縛り付けられてきたことに起因すると論じた。しかし、家族の抱える問題は、女性だけをめぐる問題ではなく、近代という時代の作り出した社会構造全体に関わるものであろう。私たちは、いま、社会全体の構想を必要としている。本書で提示する福沢の議論が、そのヒントになることを願って議論を始めたい。」家族の関係および家族と社会との関連に注意しながら、福沢の議論を綿密に読み直し、福沢の文明論に迫る。 【目次より】 序 凡例 第一章 『文明論之概略』と文明化の道 第一節 基本的人間像と社会契約論 第二節 『文明論之概略』における転換 第三節 日本の独立と文明化の戦略 第四節 非合理な「情」と外向きの国権論 第五節 文明史の原理の再確認 第六節 立論の転換 第七節 学者と経世家への分裂 第二章 文明化のなかの女性と男性 第一節 文明化における女性のあるべき姿 第二節 男性の品行に関する現状改革論 第三節 男女交際のあるべき姿とその方便 第四節 人間のあるべき姿と人間関係の原理論 第五節 近代化のなかの家族 第三章 文明における個人と家族 第一節 西洋文明化における女性と家族 一 独立した〈個人〉の権利と女性 二 女性をめぐる家族内の人間関係 第二節 近代を超える福沢諭吉の思想 一 福沢の社会構想と家族 二 近代政治理論の到逹点 三 福沢の社会構想の意味 注 あとがき 文献リスト ※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。 中村 敏子 1952年生まれ。政治学者。北海学園大学名誉教授。 東京大学法学部卒業、北海道大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。 専門は、福澤諭吉研究と女性と家族の政治理論。 著書に、『福沢諭吉 文明と社会構想』『トマス・ホッブスの母権論』 訳書に、キャロル・ペイトマン『社会契約と性契約』などがある。

ユーザーレビュー

  • 女性差別はどう作られてきたか

    Posted by ブクログ

     第1部「西洋」編、第2部「日本」編の二部構成で、歴史の中で女性差別がどのように作られてきたかを解き明かします。
     キリスト教圏では聖書を元に「女性は劣った存在」とされており、根強い男尊女卑の価値観が支配してきました。ロックやホッブスの「国家論」のなかで女性がどのように位置付けられていたかなども興味深い論考です。
     一方、第2部の日本編では、江戸時代までは日本の女性はかなり自由であったことがわかります。それが一転するのは、明治期。西洋にならえと「家父長制」の導入とともに男系優遇が徹底され、妻は「無能力者」に。夫婦同姓になったのもこのときです。その後、戦後に家制度は廃止されたものの、経済成長とと

    0
    2024年07月30日
  • 女性差別はどう作られてきたか

    Posted by ブクログ

    実におもしろい!
    帯に小島慶子氏の推薦文が書かれていたので、嫌な予感がよぎったが(笑)、いわゆるフェミニズム本ではなく、丹念に政治思想史を読み解き、西洋と日本でどのように家父長制が浸透していったかを説明した本である。

    著者は、キャロル・ペイトマン(恥ずかしながら本書で初めて知った)の思想をベースに、トマス・ホッブズや福沢諭吉の思想を紹介しながら、西洋と日本の、国家と社会の変遷を説明していく。著書「リヴァイアサン」や「万人の万人に対する闘争」という言葉で知られるホッブズが、17世紀に既に、神の存在を根拠とせず、男女が平等な社会構想を描いていたのには驚いた。対して、学校で「自由主義の父」として教

    0
    2022年01月30日
  • 女性差別はどう作られてきたか

    Posted by ブクログ

    女性差別はどう作られてきたか。中村 敏子先生の著書。世界の女性差別の歴史と日本の女性差別の歴史がわかりました。過去において世界でも日本でも女性差別が露骨にあったのは事実。女性差別の歴史は変えることはできない。だけれど女性差別のない未来はこれから作ることができるもの。世界の女性差別は減っているのに日本の女性差別は減らない現実。すべての日本人が女性差別の歴史と正面から向き合ってはじめて日本の女性差別は減るのかも。

    0
    2021年11月28日
  • 女性差別はどう作られてきたか

    Posted by ブクログ

    近年女性の社会進出が進み、会社に行けば、当たり前だが多くの女性が働いている。結婚して子供が産まれても、産休明けにはまた以前と同じように職場復帰し働ける制度も機会も充実してきた。国による法整備も行われ、役員数を一定以上、女性にする動きも出てきている。会社は頻繁に女性の管理職登用に躍起になっており、後何年後かには沢山の女性管理職が生まれているはずだ。
    一方で、本書の入りに記載される様に、受験で一方的に女性の点数を下げて、男性を優先的に合格させようとする不祥事があったり、世界経済フォーラムの発表するジェンダー・ギャップ指数では先進国G7の中では最低、全体146ヶ国中でも125位と低迷する。特に政治へ

    0
    2023年11月12日
  • 女性差別はどう作られてきたか

    Posted by ブクログ

    日本の女性差別は西洋から、西洋の女性差別は聖書から。元凶はアダムとイヴの話で、宗教的な考えを配慮しないで言えば、たかが神話のせいで世の半数の人間が苦しい思いをしてきたと思うと少し悔しい気持ちだった。規模が壮大すぎるけど。
    確かに日本は奈良時代は女性天皇もたくさんいたし、江戸時代もあまり性別というのを意識している感じはしない。その頃の考えのまま時代が流れていたらどうなっていたんだろうとは思う。

    0
    2023年08月15日

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