鬼★5 いかに悪魔になってしまうのか… 法の隙間から漏れ出た人の醜さを描いた犯罪小説 #暗黒の瞬間
■あらすじ
ドイツの刑事弁護士であるエーファ・ヘアベアゲン。凄腕弁護士の彼女が担当した事件と弁護を認めた物語。まもなく引退が近い彼女は、これまでの加害者の害悪性と法律で解決できることの差異に罪の意識が芽生えていく。
■きっと読みたくなるレビュー
鬼★5 正当防衛、過失、少年犯罪、偽証など、刑事弁護士が法の隙間から漏れでた人間の醜さを描いた犯罪小説。
誰しも人を傷つけることなく幸せに暮らしたいと思っている。でも決して犯罪はなくならない。どうして人は犯罪に手を染めてしまうのか… 心が空っぽになった瞬間に人は悪魔になってしまうのです。そんな人間たちを刑事弁護士からの目線をとおして、物語が綴られています。
また本作は弁護士エーファ自身も事件に関わってしまうのが特徴的。自身が担当する事件の依頼人を思ってする行動が実は… といったことがありがち。しかしそれは正義感から故の行動、でも少しずつ精神が腐食していくのを感じるんすよ。弁護士だってひとりの人間、身近で素朴な人に違いないんです。
また本作は人間ドラマだけでなくエンタメとしても楽しめる。作品それぞれにテーマがあり、驚きの真相が待ち受けます。読んでると実際にありそうなのよ、しかも綿密で淡々とした筆致で書かれるから現実味がありすぎる。
■おすすめ短編レビュー
・生かしておく
兄を殺害してしまった女性作家の物語、長年兄から虐待を受けていたらしく…
何が正義で何が犯罪か分からなくなる、なんか胃が痛い。終盤のエーファ目線での語りがやたら事務的で印象的。
・人食い
人肉を食べたという男が捕まる。メディアは大騒ぎとなり裁判が注目されるが…
世間は面白いことが大好きで、本当に困っている人に手を差し伸べてくれないよね。腹立たしくて涙が出そうになった。
・強姦
集団強姦の事件、目撃者の証言より11人中1人だけが無実がいるらしい。全員が無実を主張すると…
誰が可哀そうなのかコンフュ状態。犯罪が起こると関わった人全てが不幸になっちゃうよね、虚しい。
・自白
母殺しの容疑者である夫、どうやら妻が犯した罪をかぶっているようで…
人間の邪悪性に、ただただ途方に暮れてしまうよね。人間不信に陥らずにはいられない。
■ぜっさん推しポイント
読み終わってからタイトルを見ると… シンプルかつ核心をついてますね。きっと根っからの悪い人なんてほとんどいない。普段は家族を愛し、友人のために時間を当てられる優しい人たちに違いないんです。
人生がしんどくなった時、どのように心の隙間を埋めるのか、自身の倫理観を守るのか。難しいことだと思うけど逃げないようにしたいと思いました。