地域再生、商店街新興という流れから手に取ってみました。
商店街振興策のこれまでを批判し、実際に著者が行った商店街振興策の成功かた失敗までの過程を紹介しつつ、今後の在り方の提言をしています。
手法は明確であり、主張が一貫しており、非常に理解しやすい。ただ、実践となると難しい面も多い。特に、タウンマネ
...続きを読むージャーのような人材の確保、その後の運営は、著者も実際苦労したようだが、困難なことも多い。
しかし、どの立場の人間がどのような役割を果たすべきか整理されているので、現状の課題は見えやすいはず。どこから手を打つべきか、考えていく必要があります。行政は不公平でいい、というのは、現実的であり全うな意見だと感じます。
里山の比喩
現在の多くの都市の状態、大型小売店が力を持ち、商店街などの中小小売店の廃業が続いた結果、大型小売店とチェーン店、家族経営で細々と続けるわずかの零細店のみが残っている状況は、植物群落に見られる極相林に似た状態
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ひとたび極相林となった原生林は、ほとんど状態を変えることはできない。長い年月を経て火山等による山火事が生じ、更地となり。最初から植物群生の遷移が始まる
広葉樹である大型店の存在も必要だが、それが低層の中小小売店への光を遮るほどに寡占すると、訪れる人の多様性が損なわれ、商店街地域そのものがダメになる
里山のように環境に緩やかに手を入れて、多様な目的を持つ人々が来訪する環境を維持し続けることが、結果的に街を長く持たせる
ただし、あまりに人の手が入りすぎた林は、人造林になってしまい。生物の多様性を損ねる。
<この本から得られた気づきとアクション>
・商店街再生の必要性について、自分なりの考えを持つべき。里山の例えは分かりやすい。個人的には多様性の確保に注目したい
・行政の役割について再度見直してみたい
・商店街には、地域の特性や歴史的な背景があり、同じではない。それを個々にどのようにとらえるべきだろうか。ここにも選択と集中が必要か。
<目次>
序章
第1章 繁栄している商店街は1%だけ
全国に増殖する「シャッター街」
活性化している商店街の共通点
Columnどうして広い売り場の店のほうがモノが売れるのか
第2章 そもそも「商店街」とは何か
新宿・銀座も「商店街」である
商店街の活性化事業とは?
国と都道府県の予算、市町村の裏負担/商店街施策の変遷
「商店街という場所」と「商店街の組合」の混同
商店街組織の課題
Column 商店街の組織はどのようにできたのか
Column 商店街は補助金で潤っているか
第3章 「まちづくり」を目指した過ち
組合に商店街活性化を任せるな
なぜ「まちづくり」なのか
Column 100円商店街、まちなかバル、街コンはいかにして始まったか
第4章 それでも商店街の活性化が必要な理由
「商店街=地域コミュニティ」は説得力がない
新規創業の場としての存在価値
Column たとえ寂れていても、商店街には魅力がある
第5章 商店街の変革――練馬区江古田、広島県呉市の体験から
練馬区江古田での「勝手に活性化」
商店街活性化につながる発見
広島県呉市での活性化の挑戦
第6章 商店街はこうすれば活性化できる
活性化の目標を見直す
商店街活性化のロードマップ
タウンマネージャーの役割
Column 商工会議所、商工会は商店街エリア活性化機構になれるか
第7章 行政と商店主へのメッセージ――今こそ活性化にとりくむ時
商店街活性化は市町村の役割
活性化の制度設計は国にかかっている
商店主は原点に立ち返れ
終章
あとがきに代えて――里山の比喩
参考文献