【感想・ネタバレ】なぜ繁栄している商店街は1%しかないのかのレビュー

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Posted by ブクログ 2014年02月03日

社会科学の論文として、非常に素晴らしい出来だと思いました。商店街を取り巻く環境や、ボトルネックとなっている問題点について(門外漢の私からすると)客観的に、かなり詳しく書かれており、論点の整理の仕方をはじめ非常に勉強になりました。

「まちづくり」というテーマは都市開発のお題目としてよく使われるし、事...続きを読む実私の友人でもそれを志してディベロッパーに就職した人がいましたが、一歩引いて冷静に「なぜそれをするのか」を見極めることも必要ね、と感じた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年08月27日

1%しかない理由は、補助金確保をゴールにする地元商店街組合しか商店街の活性化イベントをしていないから。補助金が「商店街を活性化する」のでなく「商店街組合活性化」に使われ、さらに悪いことに「補助の対象」とみなしてもらうために「商店街が苦しんでいないといけない」というキャップがはめられているという。なん...続きを読むとも本末転倒な話である。
そもそも活性化した状態は、販売競争も激しくなるが、店主の多くはそのようなストレスを嫌がる傾向もある。活性化することで地価上昇や税収アップが見込めるが、これで喜ぶのは地主や大家、市役所(自治体)であり、店主は家賃や固定資産税、人件費の上昇で苦しくなるのだ。

本来、商店街や地元が活性化して儲かる土地持ちや市役所(固定資産税は税収の3割以上を占めるところが多い)が率先してやらなくてはいけないが、なかなかそうはいかない。

筆者はこのような地方の商店の現実を、「極相林」に例える。極相林は、広葉樹が大型店舗で、足元の陰樹や草、苔が零細店。ひとたび極相林になると小動物、昆虫も繁栄しないので山火事でも起きない限り維持されるという。

これに対して人が手を加えた里山は、材木活用で適度に間引かれ、光の入る地面に多様な草木が育つという。昆虫と小動物の生態系に広がるケースも多い。商店街の文脈で言えば、大型店舗も必要だが、依存度高めた後にそこが撤退すると住人が居なくなるので、適度な店舗の規模や種類の多様性を維持して、訪問客の多様性も維持する必要があると主張する。

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Posted by ブクログ 2015年07月04日

地域再生、商店街新興という流れから手に取ってみました。
商店街振興策のこれまでを批判し、実際に著者が行った商店街振興策の成功かた失敗までの過程を紹介しつつ、今後の在り方の提言をしています。

手法は明確であり、主張が一貫しており、非常に理解しやすい。ただ、実践となると難しい面も多い。特に、タウンマネ...続きを読むージャーのような人材の確保、その後の運営は、著者も実際苦労したようだが、困難なことも多い。

しかし、どの立場の人間がどのような役割を果たすべきか整理されているので、現状の課題は見えやすいはず。どこから手を打つべきか、考えていく必要があります。行政は不公平でいい、というのは、現実的であり全うな意見だと感じます。

里山の比喩
現在の多くの都市の状態、大型小売店が力を持ち、商店街などの中小小売店の廃業が続いた結果、大型小売店とチェーン店、家族経営で細々と続けるわずかの零細店のみが残っている状況は、植物群落に見られる極相林に似た状態

ひとたび極相林となった原生林は、ほとんど状態を変えることはできない。長い年月を経て火山等による山火事が生じ、更地となり。最初から植物群生の遷移が始まる

広葉樹である大型店の存在も必要だが、それが低層の中小小売店への光を遮るほどに寡占すると、訪れる人の多様性が損なわれ、商店街地域そのものがダメになる
里山のように環境に緩やかに手を入れて、多様な目的を持つ人々が来訪する環境を維持し続けることが、結果的に街を長く持たせる

ただし、あまりに人の手が入りすぎた林は、人造林になってしまい。生物の多様性を損ねる。


<この本から得られた気づきとアクション>
・商店街再生の必要性について、自分なりの考えを持つべき。里山の例えは分かりやすい。個人的には多様性の確保に注目したい
・行政の役割について再度見直してみたい
・商店街には、地域の特性や歴史的な背景があり、同じではない。それを個々にどのようにとらえるべきだろうか。ここにも選択と集中が必要か。

<目次>
序章
第1章 繁栄している商店街は1%だけ
全国に増殖する「シャッター街」
活性化している商店街の共通点
Columnどうして広い売り場の店のほうがモノが売れるのか
第2章 そもそも「商店街」とは何か
新宿・銀座も「商店街」である
商店街の活性化事業とは?
国と都道府県の予算、市町村の裏負担/商店街施策の変遷
「商店街という場所」と「商店街の組合」の混同
商店街組織の課題
Column 商店街の組織はどのようにできたのか
Column 商店街は補助金で潤っているか
第3章 「まちづくり」を目指した過ち
組合に商店街活性化を任せるな
なぜ「まちづくり」なのか
Column 100円商店街、まちなかバル、街コンはいかにして始まったか
第4章 それでも商店街の活性化が必要な理由
「商店街=地域コミュニティ」は説得力がない
新規創業の場としての存在価値
Column たとえ寂れていても、商店街には魅力がある
第5章 商店街の変革――練馬区江古田、広島県呉市の体験から
練馬区江古田での「勝手に活性化」
商店街活性化につながる発見
広島県呉市での活性化の挑戦
第6章 商店街はこうすれば活性化できる
活性化の目標を見直す
商店街活性化のロードマップ
タウンマネージャーの役割
Column 商工会議所、商工会は商店街エリア活性化機構になれるか
第7章 行政と商店主へのメッセージ――今こそ活性化にとりくむ時
商店街活性化は市町村の役割
活性化の制度設計は国にかかっている
商店主は原点に立ち返れ
終章
あとがきに代えて――里山の比喩
参考文献

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Posted by ブクログ 2017年11月08日

商店街が元気なエリアで育ってきたから、なるほどね~と思った。
お店が元気なら商店街は元気なのは当たり前よね。

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Posted by ブクログ 2016年03月02日

いわゆる商店街の組合はこれからも衰退していくしかないのかな

表題どおりに、まず、なぜ繁栄している商店街は1%しかないのか

と考えた時、どう思われますか。

日用品の買物はスーパーで行うから?
営業時間の問題?

その問題提起をしたのち、「商店街」というものの定義が始まります。

そこで、我々が感...続きを読むじている商店街と、商店街が指すものの違いに驚きます。そして、「商店街という場所」と「商店街の組合」
について。1%しか繫盛していないという回答をつくり出しているのは「商店街の組合」です。
そして、国や自治体が施策を打てるのも「商店街の組合」ということ。

それから具体的に実例を交えて繫盛する商店街が1%しかない理由、そして解決のための方程式が書かれているのですが
全体を読んで感じるのは、いわゆる商店街の組合はこれからも衰退していくしかないのかなと思います。

「行政は金儲けをあまり重視していない。理屈では雇用の場や税収の確保といった産業振興の必要性は理解しているものの、おそらく感情的な部分で商売に関わることを嫌っているのだろう。」

これが、行政なのだから。
感情的にこういう人たち苦手なのですよね。
この結果
「こうした行政職員の非営利的な好みが反映され、商売とはかけ離れた「まちづくり」が中心となる商店街活性化事業ができあがるのである。」

このまま時代が進んで、あと30年くらいするとこの環境がどうなるのか気になるところです。

本題から離れて、ためになった2点。

1.コンパクトシティのメリット

道路や上下水道等のインフラの整備、市営バスの運行、警察のパトロール、ゴミの回収など、人が広く分布することで多くのコストを必要とするものは数多くある。郊外の開発を抑制することで、こうしたコストを抑えることができるのだ。
2.ヌフカフェのエピソード

たぶん学生時代かな、ヌフカフェはなぜ潰れないのか という本を読んでおりまして
実際にヌフカフェ行ったものとして、そのエピソードがコンサルタントの友人目線で語られていることの有り難さよ。
ただ、本作に語られたような改装してきれいになったビル・・・とは思えなかったのは気のせいでしょうか。
あれでも改装後だったのかしら。それとも今はきれいなのかなぁ。久しぶりにヌフカフェに行きましょうと思いました。

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Posted by ブクログ 2014年04月27日

最大の原因は、商店街の組合というシステムと、売上に背を向けまちづくりを目指したことにある。

誰もがそんなものだと思ってしまっているけど、商店街ももっと、社会的な資源の一環として活かす道があり得るということ。

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Posted by ブクログ 2014年03月11日

商店街の活性化は必ずしも個別商店の業績に連動しない。どんなに立派なアーケードをつくっても一つ一つの商店に魅力がなければ人は集まらない。当たり前のことだが見過ごしていた。商店街という場所と補助金の受け入れ団体である商店街組合との乖離。意外に少ない商業振興予算。商店街の課題と活性化を行うべき理由そしてそ...続きを読むの方策について分かりやすく書かれている。まちづくりも大事だが商店はまず商売。集客力ある店があれば必ず次の店を呼び、人を集める。蒙がひらかれた。そんな心地である。

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Posted by ブクログ 2014年02月16日

元コンサルタントとして商店街の活性化に取り組んだ経験のある著者。
商店街は今後どうすればいいのか。
提言はされているが、なかなか難しそう。

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