作品一覧

  • 遠近法

    遠近法

    小説・文芸

    4.3
    1巻2,999円 (税込)
    ルネサンス期のフィレンツェ、10年以上もかけて描き続けているサン・ロレンツォ聖堂のフレスコ画の前でマニエリスムの画家ヤコポ・ダ・ポントルモが槌で殴打され、鑽で胸を刺されて殺害され、彼のアトリエにはフィレンツェ公コジモ・デ・メディチの長女マリアの顔をしたヴィーナスとキューピッドの猥褻な絵が残されていた。ポントルモを殺したのは誰か? いかがわしい絵を描いたのは彼なのか? コジモは信を置く画家で建築家で美術史家のヴァザーリに事件の解明を依頼する。ヴァザーリは、ローマでサン・ピエトロ大聖堂の建設に携わっているミケランジェロに書状を送り事件を知らせ、助言を求めた。ヴァザーリとミケランジェロ、マリアと遠縁のフランス王妃カトリーヌ・ド・メディシス、カトリーヌ・ド・メディシスとコジモの敵であるフランス軍元帥ピエロ・ストロッツィ……火薬庫のような当時のヨーロッパを舞台に繰り広げられた陰謀劇、恋愛劇・・・・・・。目もくらむような人物たちの書簡が全176通。事件は書簡で語られ、書簡で捜査され、書簡で解明される。『HHhH──プラハ、1942年』、『言語の七番目の機能』、『文明交錯』と次々に読者を驚嘆させてきた著者による、傑作書簡体歴史ミステリ。
  • ヨーゼフ・メンゲレの逃亡

    ヨーゼフ・メンゲレの逃亡

    小説・文芸

    -
    1巻1,400円 (税込)
    アウシュヴィッツ絶滅収容所でユダヤ人たちに想像を絶する人体実験を重ねたメンゲレ医師は、戦後、南米に逃れ、一九七九年に死亡するまで、捕まりも裁かれもせずに生きたのだった。その逃亡生活の真実をジャーナリスティックな手法で見事に描いた傑作小説。ルノードー賞及び文学賞最高賞(プリ・デ・プリ)受賞作。/解説=マライ・メントライン
  • 言語の七番目の機能

    言語の七番目の機能

    小説・文芸

    3.5
    1巻1,799円 (税込)
    記号学者・哲学者のロラン・バルトが大統領候補ミッテランとの会食直後の交通事故がもとで死亡。そして彼が所持していたはずのある重要な文書が消えていた。これは事故ではない! 捜査にあたるのはジャック・バイヤール警視と若き記号学者シモン・エルゾグ。二人以外の登場人物は、フーコー、エーコ、ドゥルーズ、ガタリ……といった綺羅星の如き面々。そして舞台はパリ、ボローニャ、イサカ、ヴェネツィア、ナポリへと……。言語の七番目の機能とは何か? 『HHhH』の著者による驚愕の記号学的ミステリ。アンテラリエ賞、Fnac小説大賞受賞作!/解説=吉川浩満
  • 7

    7

    小説・文芸

    4.0
    1巻5,280円 (税込)
    ドラッグの売人、元ロック・スター、トップモデル、革命家、UFO研究者、分断世界の監察官、そして不滅の男ーー7つの物語が交叉する。仏哲学界の新スターによる驚異的建築物のごとき傑作。 「彼は死ねないんだよ。人が経験することをすべて経験しちゃってるんだ」(本文より) 【仏メディア、困惑と絶賛の驚異的傑作!】 *よくできた短編集ではなく、特異かつ驚異的な建築作品――テレラマ *本作をもって、トリスタン・ガルシアは短編と長編の中間にある物語集(という新たなジャンル)の作者となった。真実はときとして危険なほど超自然に接近する――ゾーン・クリティック *信仰と美と歴史と時間をめぐる7つの精神的な寓話。今年の避けては通れない10冊のうちの1冊――レクスプレス *一見多様な小説の寄せ集めにみえるこの作品は首尾一貫した構造を持っている。だが、その一貫性は見出すべきものなのである。それは読者に差し出された大いなる喜びでもある。トリスタン・ガルシアの最高の作品である――ル・ヌヴェル・オプス 「鼻血が出ない。とても孤独だ」(本文より) 7つの物語が交叉する、巨大な人生万華鏡! 「エリセエンヌ」……若返りのドラッグを求めて、閉ざされた世界の混沌へと深入りしてゆく売人。 「木管」……元ロック・スターが見つけた不思議な楽器には、過去のあらゆる名曲が刻まれていて……。 「サンギーヌ」……〈顔〉と呼ばれるスーパーモデルと、傷を負った男との奇妙な相関関係。 「永久革命」……革命を夢みた一児の母が迷い込んだ世界は、1973年に革命が成就した世界だった。 「宇宙人の存在」……宇宙人を研究する兄とその恋人のもと、すべてを疑いはじめた幼いムーンは……。 「半球(ドーム)」……国境が消え、同じ思想の者同士が〈囲い〉で暮らす完全な分断が実現した世界で、〈普遍主義者〉が見たもの。 「第七」……大量の鼻血を出して何度でも生まれなおす男が、7度目の人生でついに到達した新たな世界。
  • HHhH プラハ、1942年

    HHhH プラハ、1942年

    小説・文芸

    4.0
    1巻1,400円 (税込)
    ナチによるユダヤ人大量虐殺の首謀者、ラインハルト・ハイドリヒ。ヒムラーの右腕だった彼は、第三帝国で最も危険な男と怖れられた。チェコ政府が送り込んだ二人の青年によってプラハで決行されたハイドリヒ暗殺計画。それに続くナチの報復、青年たちの運命……。ハイドリヒとはいかなる怪物だったのか? ナチとはいったい何だったのか? 史実を題材に小説を書くことに、著者はためらい悩みながら全力で挑み、小説を書くということの本質を自らに、そして読者に問いかける。小説とは何か? ゴンクール賞最優秀新人賞受賞作。/解説=佐々木敦
  • 認知アポカリプス――文明崩壊の社会学

    認知アポカリプス――文明崩壊の社会学

    ビジネス・実用

    4.0
    1巻4,400円 (税込)
    人類はいま史上最長の自由時間を手にしている。労働など生命維持のために必要な時間は1800年の48%から11%に減った(フランスでの統計)。先人には夢のようなこの時間が向かう先は、スマートフォンなどの画面である。そこでは正統な学知とデマが対等となり、世界を単純化するストーリーや、注意を惹くためだけに設計された広告が人の認知を奪い合う。AIが人間の仕事を代行するようになれば、自由時間はさらに飛躍的に増えるだろう。しかしそれは意味のあるものを生むために使われるのではなく、認知の争奪戦が繰り広げられる市場でただ蕩尽されて終わる可能性が高い。高度な文明の源泉は人間の脳である。気候変動などの危機を乗り越える可能性も、人間の脳からしか生まれてこない。この頭脳を働かせることのできる時間が最大化している現在、それを貪ることで利益を上げる経済モデルにわれわれは直面しているのである。この状況は、生存可能性を高めるものとしてヒトが具えてきた生物学的特徴が、テクノロジー社会とミスマッチを起こした結果でもある。この規制なき認知市場を放置することの意味を、われわれは真剣に考えなければならないだろう。現下の問題は、フェイクや陰謀論や反知性主義などすでに指摘されてきた弊害よりずっと根深く複雑だ。人類史上かつてない課題に、認知科学と社会学からアプローチする異色の試論。
  • 編集者とタブレット

    編集者とタブレット

    小説・文芸

    4.3
    1巻1,980円 (税込)
    編集者ロベール・デュボワが週末に原稿の束を抱えて帰ることはもうない。持ち帰るのは何本もの原稿の入ったタブレットのみだ。紙の本は消えてしまうのか? 読者は何を求めているのか? なじみのレストランでの、ワインと料理に舌鼓を打ちながらの著者との打合せも、もうなくなるのだ。今や、ワインよりビール、コーラとハンバーガーの若者たちが中心となり……彼らの提案の新鮮さに驚かされもする。おまけに行きつけの昔ながらのビストロはスシ・レストランに身売り! 紙に埋もれて生きてきた昔ながらの編集者デュボワが直面する時代の変化の嵐。当惑そして諦め……しかし軽やかに飄々とそれらを超越する彼。変わりつつある出版界と読書人たちに捧げる、小品でありながらも風格ある一冊。
  • ルーム・オブ・ワンダー

    ルーム・オブ・ワンダー

    小説・文芸

    4.4
    1巻1,540円 (税込)
    テルマはアラフォーのシングルマザー。 息子のルイは12歳。 テルマの生きがいは、このひとり息子と大手化粧品メーカーのマーケティング・ディレクターという仕事。 ある冬の土曜日の朝、テルマのこれまでの人生をふいにするような事件が起こった。 ルイが彼女の目の前で交通事故に遭ったのだ。 昏睡状態に陥ったルイに残された時間はわずかだった。 そんなある日、テルマがルイの部屋で見つけたあるものが、彼女の生き方を変えていく。 疎遠だった母親が、テルマの生活に再び影響を与え始める。 心を許せる友人がいなかったテルマに、看護師という新たな仲間が生まれる。 はたして、テルマはルイを取り戻すことができるのか? 刊行前に世界20か国以上で出版が決定、 デビュー作にしてベストセラーに躍り出た、世界が注目するフランス現代小説!
  • エディに別れを告げて

    エディに別れを告げて

    小説・文芸

    4.5
    1巻1,731円 (税込)
    子供の頃に、楽しい思い出はまったくない。この時代に、幸福や喜びの感情を経験したことがないというつもりはない。ただ、痛みがすべてを支配しているから、そこに収まらないものは消されてしまうのだ。北フランスの貧しい工場地帯、男たちが力で支配する、強いことだけが価値を持つその世界で、女の子のような少年エディは異分子だった。壮絶ないじめと暴力、同性愛体験……。差別主義の標的となり、苦しい日々を送った彼は逃亡を決意した。家族を捨て、貧しい村を捨て、奇妙な名前(エディ・ベルグル)を捨てた彼は高等師範へと進み、エドゥアール・ルイと名前を変え、同性愛者であるインテリ青年となった。現代の現実世界の出来事とは、にわかには信じがたいほどの貧困の実態、想像を超える差別主義――性差別、人種差別、同性愛差別――そのすべてを赤裸々に語り、自身の半生をつづった衝撃の物語。

ユーザーレビュー

  • 遠近法

    Posted by ブクログ

    うーんビネ好き。ビネはノンフィクション風の虚実混濁創作スタイルを確立したなあ。今回の全編お手紙オンリーという手法もすごい。良家の娘がポルノのコラに使われて父親激怒し探偵雇って犯人探し、発端は大御所画家の死で終盤には大洪水まで。ルネサンス時代の史実を扱っていながらなんか個々の要素はすごい現代的なのがおもしろかった。手紙は近視眼的な一面的な主観で書かれるけど、物語としてそれを読んでるこちらは全体を俯瞰出来て、藪の中のような大岡昇平の事件のような面白さがある。タイトルの遠近法は、近視眼的vs俯瞰を表してもいるし、絵画手法なのもセンスいい。

    0
    2026年09月20日
  • 遠近法

    Posted by ブクログ

    フィレンツェで起きた画家殺人事件。

    ミケランジェロが描いたシスティーナ礼拝堂の壁画。裸体を描くのが卑猥だとして、後から別の画家によって布の部分が描き足された。そんな時代の話。

    書簡体歴史ミステリということで、本書はすべて個人的な手紙のやり取りからなる。読者は登場人物たちが交わすすべての手紙を見ることができ、神の視点から少しずつ情報を得ていく。

    文書のやり取りで話が進んでいくからこそ、同じものを見て違う感想を抱くのとは逆に、同じ感想を抱いているのに、実は違うものを見ていたという行き違いが生まれるのが面白かった。
    宗教観や画家としての信条によって、同じ言葉や出来事に異なる意味を見出してしまう。その思い込みが、すれ違いを生むのも興味深い。

    「遠近法以上に確実なものはなく、本質的なもの、永遠なものはない」

    写真の技術などもなかった時代。遠近法を発明することで、神と対等であるかのように現実を創造できる。「地上の無限」。

    芸術家の苦悩や狂気、権力者たちの思惑。
    過去に書かれたはずの手紙の中に生々しく残る痕跡を辿っていく、刺激的な読書体験だった。

    0
    2026年09月17日
  • 遠近法

    Posted by ブクログ

    ★5 16世紀中葉のフィレンツェ、なぜ画家は殺害されてしまったのか? 全て手紙のやり取りだけで物語が進行する書簡体小説

    ■あらすじ
    16世紀中葉のフィレンツェ、サン・ロレンツォ聖堂のフレスコ画の前で、画家が殺害される事件が発生。さらに彼のアトリエには、フィレンツェ公コジモの長女であるマリアを模した猥褻な絵が残されていた。

    コジモは信頼している側近のヴァザーリに事件の解明を依頼、彼は関係者に書簡をおくり助言を求めるのであった…

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 全て手紙のやり取りだけで物語が進行する書簡体小説。ルネサンス期のイタリアはフィレンツェを舞台にしており、現実にあった出来事を背景に描かれた歴史ミステリーでもあります。

    最初の目次と人物表だけで強烈です、いきなり引かないように。安心してください、メインの登場人物はそれほど多くありませんし、関係性も比較的シンプルでわかりやすいです。正直自分も理解できるか自信がなかったんですが、ちゃんと読み切ることができましたよ、むしろ熱中しちゃいましたね~

    人物については、とりあえず以下の人たちを理解しましょう。
    依頼人:コジモ
    └妻:エレオノーラ、娘:マリア
    探偵役:ヴァザーリ、ボルギーニ
    被害者:ポントルモ
    政敵:メディシス、ピエロ

    その次は被害者の近くにいる画家、彫刻家で、いわゆるメインの容疑者です。ま、厳密に理解しようとしなくても大丈夫です。
    画家、彫刻家たち:ミケランジェロ、チェッリーニ、アーニョロ、サンドロ、ナルディーニ、マルコ

    まず本書の何がスゴイって、やっぱり書簡体形式でストーリーが展開するところですよね。ひたすらAさんからBさんへの手紙として、その内容が綴られてゆくのです。

    手紙は1対1のやり取りなので、当事者にしか言えない内容だったり、本音だったり、はたまた騙したりと、その人の感情や思惑の密度が濃いのよ。人間性の本質がにじみ出てる感じで、興味深いんだけど独特の気持ち悪さが伝わってくる。

    しかしそんな手紙のやり取りを読み続けていくと、ちゃーんとミステリー小説として生き生きと躍動していくんすよ。本作メインの謎であるポントルモの殺害犯は誰なのか、その動機は? さらにポントルモは何故マリアを模した猥褻な画を書いたのか。

    この時代でなくとも、現代でも同じようなことがあって、なんつーか歴史は繰り返すよなーと思わざるを得ない。もう極端なことするの、やめませんかと言いたい。

    そして本作は歴史小説としても学びが多いです、イタリアの歴史などまったく存じ上げずでした。さらには本作のタイトル『遠近法』ですよね。これは絵画技法のことではなく、きっと中世の変わりゆくヨーロッパ史を暗喩したものなのでしょう。

    ■ぜっさん推しポイント
    ひたすら手紙のやり取りを読んでいく小説なんですが、特に俗っぽくて面白かったやり取りがあります。フィレンツェ公コジモと妻エレオノーラ、そして政敵であるフランス王妃メディシスとコジモの娘マリアとの関係性ですね。

    おまえら公爵なのに、内容がとにかく俗っぽいっところが愛せます。なんかもう現代で言うところの、他人のLINEのメッセージを覗きみてる感覚に近かったなー。

    0
    2026年07月12日
  • HHhH プラハ、1942年

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    あとがきにもあった通り、歴史に明るくなくても問題なく読める。
    僕=作中の人物(作者ではない)なのがフィクションの中のフィクションで面白い。
    目線は俯瞰なのに、一緒にその時代にいるかのよう。
    終盤の襲撃のシーン、そこからの逃亡、攻防戦は畳み掛けるように加速して読む手止まらず!
    小説だからこそできるしめくくりが、めっちゃよかった。

    0
    2026年03月05日
  • 7

    Posted by ブクログ

    最初は7つの独立した短編に見えるが、最後の「第七」で全てが繋がる。哲学者でもある著者らしい、鋭く冷徹な視点で人間の限界を執拗に攻める。
    2025年最後に良い本を読んだ!

    第1話「エリセエンヌ」
    SF風に楽しめるが、過去の自分と今の自分が連続した存在ではなく、ただ積み重なった層の上に今が乗っているだけ——という存在の不連続性。

    第2話「木管」
    元ロックスターの音楽をめぐる物語。他の話に比べて少しエンタメ寄りで異色だが、やはり人間の行動は「人間の枠」から逃れられない。

    第3話「サンギーヌ」
    寓話的で読みやすい。物質と反物質、量子もつれのように、我々の目にはそれぞれ別の物質のように見える世界の諸物は実は深く繋がっているのかもしれない。

    第4話「永久革命」
    いくつもの未来を行き来するSF。世界の無数の可能性を示しつつ、最後の第七につながる。

    第5話「宇宙人の存在」
    個人的に一番強烈だった。「伝統的な宗教は力を失って単なる忠誠心で生きながらえている」と切り捨てながら自分たちの生み出した狂信的な集団から外れたものは消していくという強烈な思想のあり方、それを「素晴らしい人生だったね」と肯定する表現は善悪の彼岸にある。

    第6話「半球」
    分断された宗教・思想・政治の世界で、弱々しくもそれを繋ごうとする人々の姿。そしてそれら全てが、より大きな「人間の思考の半球」に閉じ込められていてそこからは出られない。

    第7話「第七」
    不死の男が何度もこの世を生き直す。記憶が積み重なる中で、無数の人生の可能性を試すが、結局すべては人間の枠内に収まる。

    全体を通して感じたのは、人間はどれだけ可能性を夢見ても、どれだけ信仰を新しく作り替えても、結局「人間という限界」から逃れられないという、静かで残酷な諦観。エンターテイメントとしても哲学書としても成立する稀有な作品。読後感は少し冷たく、重いが、それゆえに忘れられない一冊。

    0
    2025年12月29日

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