作品一覧

  • 母なる色

    母なる色

    小説・文芸

    4.5
    1巻880円 (税込)
    101歳。人間国宝にして随筆の名手が紡ぐ、色彩と言葉の織物 【言葉と色彩の、極上の織りもの】 世界の見え方が変わる文章です。 染織に興味がある方はもちろん、自然とは、生きるとは、仕事とは何かについて考えている方にはぜひ読んでいただきたいです。 ――小説家・ほしおさなえさん推薦! 手仕事なくしては、一日も生きられない―― 人間国宝にして『一色一生』(大佛次郎賞受賞)などの著書で知られる 染織家・志村ふくみの名随筆が、単行本刊行から20年以上の時を経て、 待望の文庫化!! 文庫版では、志村ふくみが京都・嵯峨野の工房で機織りをしている貴重なショットから、桜の枝(植物染料)で糸を染めていく行程まで、数多の撮りおろしの写真を堂々追加! 可愛らしく綺麗な小裂(こぎれ)、植物染料で染まった美しい糸、オリジナル機織り機など、カラー4色の写真ページ、必見です。 平凡な主婦が31歳のときに染織の世界に飛び込み、 日夜を忘れて仕事に没頭する日々を送っていた。 糸を植物染料で染めていたある日、風と光の中で新しい色が誕生した瞬間に巡り合う。 失敗を繰り返しながらも道を切り拓き、紬織の第一人者、人間国宝に。 植物が与えてくれる自然の恩恵、“母なる色”について綴る名随筆。 解説・田中優子(法政大学名誉教授、同大学江戸東京研究センター特任教授) 単行本 1999年4月 求龍堂刊 文庫版 2025年11月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 (文庫化にあたり加筆修正いたしました。文庫オリジナル版ビジュアルページを冒頭に追加しました。)
  • 遺言 ――対談と往復書簡

    遺言 ――対談と往復書簡

    小説・文芸

    3.5
    1巻1,023円 (税込)
    東日本大震災後、自らの仕事の根本が揺らぐように感じた染織家・志村ふくみが、長年交流のあった作家・石牟礼道子へ手紙を送って始まった往復書簡。折しも、石牟礼は生涯最後の作品として新作能を構想しているところだった。作家と染織家が新しいよみがえりを祈って紡いだ次世代へのメッセージ。往復書簡と二度の対談、遺作となった「沖宮」を収録。
  • 一色一生

    一色一生

    小説・文芸

    4.5
    1巻1,540円 (税込)
    染織家・志村ふくみは、数十年、さまざまな植物の花、実、葉、幹、根を染めてきた。それらの植物から染まる色は、単なる色ではなく、色の背後にある植物の生命が、色をとおして映し出されているのではないか。それは、人と言葉と表現行為と、根本的に共通する。芸術と人生と自然の原点に佇んで思いめぐらす深い思索とわがいのちの焔を、詩的に細やかに語るエッセイ集。
  • 人間国宝・志村ふくみ100歳記念《秋霞》から《野の果て》まで

    人間国宝・志村ふくみ100歳記念《秋霞》から《野の果て》まで

    ビジネス・実用

    -
    1巻2,699円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 「心を熱くして生きなくて何の人生であろう」「紬織を芸術の域にまで高めた人間国宝の100年の色の物語」・人生をかけてきものに情熱を注いだ染織家の100年とは。・「植物のいのちをいただく」草木染の美しい色の世界をご紹介。・初めて織った「秋霞」から集大成の「野の果て」まで、大倉集古館で。開催された100歳記念展覧会をまとめた志村ふくみ作品の決定版!

ユーザーレビュー

  • 母なる色

    Posted by ブクログ

    紬織の第一人者で、人間国宝の志村ふくみさん(今年、101歳)の御心の奥深さ全てが、差し出されているような随筆。(70代の頃)文章が素晴らしい。未知の世界のことばかりで、目から鱗状態。背筋が伸びる言葉であふれていました。1994年、求龍堂から刊行された単行本の文庫化です。

    近代文学、古典文学からの引用多く、著者の教養の深さがうかがえます。

    志村さんの色の考察は、とても奥深いです。

    志村さんの機織りの姿、植物染料で染まった美しい糸、桜の枝で糸を染める工程の写真もあり、必見。

    【印象に残ったフレーズ】
    ・植物の色の本質はもも色
    ・植物の樹液から染まるもも色、これは母なる色以前の聖なる色
    ・我々はひとりひとり色彩環(オーラ)をもっているが、それはみることができない。
    ・人間の心に不純物があってどうして色を純粋にひき出すことができようか
    ・植物に魂があるなら、その色はピンク
    ・心につよく願うことがあれば、手がそれを追うという。「心慕手追(しんぼしゅつい)」という言葉があるという。もし手が追ってこなければどうなるか、といえば、その願いごと、「強固(しっかり)していない」又は「熟していない」「低い(次元が)」ということになるのだそうだ。

    以下、余談です。

    中学校国語の教科書の大岡信さんの随筆『言葉の力』で初めて、志村ふくみさんのことを知りました。大岡さんは、志村さんとのやりとりで、桜色に染まった糸で織った着物の色に感動し、その色をどうやって取り出したか尋ねます。その色は、樹皮を煮詰めて取り出したということでした。桜の花びらではないということ、驚きでした。

    随筆中に、「少女の頃、生みの母をはじめて知った」とありました。志村さんは、2歳で叔父夫婦の養子となっており、織物については実母からの影響だということ。結婚、離婚を経て、31歳から染織の世界へ。平坦な道のりではなかったこと、本書を読んだことがきっかけで、調べて知りました。

    0
    2025年12月18日
  • 一色一生

    Posted by ブクログ

    志村ふくみさんが織物を始めたころのお話、その後の経緯、出会った陶芸家や芸術家、母や兄のことなどがつづられ、人となりがとてもよくわかる。
    深い思索に裏付けられた文章もエッセイとして読み応え十分。見事。
    バーナード・リーチの文章の引用や、柳宗悦さんのことなども出て来る。興味深い。

    お母さんは素人ながらもともと織物をやりたかったという芸術家肌の方。2歳で養女に出したふくみさんが30歳を過ぎて一緒に織物をすることになるなど考えもしなかったという。
    お兄さんは絵描きで若くして亡くなった。
    芸術を志向する家系なのだなと感じた。

    印象に残った箇所。
    P31、32
    一つの色には別個の、その色にしかない確固とした世界があります。一つ一つは孤独な色です。しかし、梅というその母胎の中から媒染によって、鼠や茶や、さまざまの兄弟姉妹が生れ、雑木や草花から染め出した鼠には、それぞれ違った色層の鼠の親族が生れます。
    この経と緯の関係を組合わせ配列しますと、無限の配色が生れ、一つの紗幕(ヴェール)がかかったように色と色は睦み合い、互いに離反することがありません。この一つの紗幕とは、植物の樹液とか夾雑物とか、科学では割り切ることのできないαがあって、色に奥行きをあたえています。
    しかし、ここで混同してはならないことは、世にいう草木染が、渋く、素朴であるというので、何でも草木を染め出して染めれば渋い色が出るという風に思われがちですが、実はわれわれが見ている昔の草木染めは殆ど褪色した色なのです。それらの染められた時点では、目のさめるような豪華な明るい色だったかも知れません。平安時代に襲色目(かさねのいろめ)が発達し、紋様を必要としないほど、色自体の世界で、四季の移り変りや、人々の心情まで表現し得たと言うことは、その時代の人々が、草木から色を染めることを信仰のように大切にしていたからです。人間を守る和霊(にぎたま)が宿るといわれる薬草から色を染め、その衣を着て、自らを守っていたのです。期せずしてそれは植物の精とも思われる色をみちびき出すことに通じ、純度の高い色であったと思います。
    ですからみだりに色と色とかけ合わせたり、まぜ合わせることはなかったと思います。もしかけ合わせる場合は、それなりの必然性があって、例えば藍と黄をかけ合わせて一つの色をうみ出すように、藍と紅とをかけて二藍(ふたあい)、梔子(しし)と紅をかけて紅緋、など、黒染には藍下、紅下があって、黒に藍をひくことによって品格を、紅をひくことで情をあらわしたのだと思います。

    P42
    (略)織ることはむしろ仕上げの段階に近く、工芸の場合、まずよい素材を得ることが最も肝心なことであり、根元となる部分の仕事、繭から糸を紡ぎ糸染をする――ちょうど大地に種子を蒔き、芽の生える頃が最も心躍る作業であるように、私の場合も(本当は糸紡ぎからしたいのであるが時間が許されないので)植物の花、樹皮、実、根等を炊き出して染液を作り、糸を染めるその段階が一ばん面白いのである。実にさまざまな色が染まるというより植物染料にかぎっては生れるという方が適切であるかも知れない。すでに自然がそこに準備し、貯えておいたものを導き出す手伝いをしているように思われる。
     この植物染料とは随分永い親身なつき合いであるが、どんな時も、何か犯しがたい法則に従っているような気がする。なぜなら、春の夕暮の山脈(やまなみ)がそこはかとなく霞みながらえもいわれぬやさしさにみちた藍紫の暈(ぼか)しであるのは、その時の京都の、湿潤な自然の醸し出す微妙な変化によるものであるから、それらの織色を出すことは至難なことのようであるが、朝夕それらの自然の移り変りに接し、ともに暮していると、風土が産み出すという言葉のごとく、それらを導き出す節理に人の心が結ばれるというのであろうか、ふしぎにいつとはなく生れて来るような気がする。それは工夫といったものではなく、自然に適(かな)うということのようである。

    0
    2016年10月28日
  • 一色一生

    Posted by ブクログ

    草木で染めて織る。志村さんはそのことを続けてこられた方です。
    本格的に染めと織りを始めたのは、三十歳を過ぎてから。結婚に失
    敗してからの再出発でした。我が子を養父母に預けてまで修業に打
    ち込み、染織に身を捧げ、ついには前人未到の境地を切り開いてゆ
    くまでになる。本書は、そんな志村さんの人生の過程を辿りつつ、
    染めること、織ること、つくること、生きることについて、彼女が
    折々で考えてきたことを綴ってゆきます。

    久々に再読したのですが、染め、織る中で紡がれてきた言葉の数々
    は、何度読んでも、読むたびに発見があるなと改めてその奥深さに
    感じ入りました。

    この3年間、福島県南相馬市の人々と共に蚕を飼い、糸を紡ぎ、染
    め、織ることをしてきました。その中で、天然の絹の美しさに初め
    て触れたのですが、とりわけ印象的だったのは、自然の草木で染め
    た時の絹糸の変貌ぶりでした。蚕が命がけで吐いた糸と草木の命。
    その二つがかけ合わさった時に出る自然の色の絶妙な味わい。

    色というものを、本当の意味で意識したのは、南相馬で草木染めに
    親しむようになってからかもしれません。そして、昔、よく読んで
    いた志村ふくみさんのことを改めて意識するようになったのです。

    志村さんは、染織を志した時、「この道しかないとあなたが思うな
    らおやりなさい」と言われたと言います。離婚し、追い込まれての
    決断だったのかもしれませんが、それだけではなく、きっとこの天
    然の美しさに魅せられてしまったのだと思います。「この道しかな
    い」と思わせる力が、草木で染めた天然の絹糸には、確かにありま
    す。それは、自然の力と手仕事の力でしか辿り着けない世界です。
    その世界の凄みと深みを覗いてしまった人は、もう他の世界で生き
    ることは想像できなくなってしまうのかもしれません。

    自然の力と手仕事の力によるものづくりで生きていくのは、とても
    困難です。その困難な世界で、「この道しかない」と、道を求め続
    けてきた志村さんの言葉は、挫折や遠回りを経験しながらも、一つ
    の世界を突き詰めてきた人ならではの、厳しさと柔らかさに満ちて
    います。何かを志している人にも、何かに惑っている人にも、きっ
    と深く沁み入ることでしょう。女性には特におすすめです。

    ぜひ、読んでみて下さい。

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    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    私は今まで、二十数年あまり、さまざまの植物の花、実、葉、幹、
    根を染めてきました。ある時、私は、それらの植物から染まる色は、
    単なる色ではなく、色の背後にある植物の生命が色をとおして映し
    出されているのではないかと思うようになりました。それは、植物
    自身が身を以って語っているものでした。こちら側にそれを受けと
    めて生かす素地がなければ、色は命を失うのです。

    「いと」"いとうなり。その細きにより絶えるをいとうによりー"と、
    糸の語源にもしるされていますが、蚕にはその息づかいを糸にのこ
    して、小さな命とひきかえに、純白のつややかな糸をわれわれにあ
    たえてくれます。この一綛の絹糸を掌にすれば、あたたかく、そっ
    とにぎりしめると、内からの力がかえってきます。糸は生きていて、
    私にこたえてくれます。いとしいと思います。

    藍は建てること、染めること、守ること、この三つが出来てはじめ
    て芸といえるという。
    やっと建てられた段階である。ほんの序の口にある。無事藍を建て
    るまでに歩んだ歳月がこれからの仕事を支えていく。かつて一色に
    十年と思っていたが、この頃は一色一生と思っている。

    工芸の仕事はひとすら「運・根・鈍」につきるといわれました。
    「運」は、自分にはこれしか道がない。無器用で我儘な自分はこれ
    しか出来ないのだと思いこむようなもの。「根」は、粘り強く一つ
    ことを繰り返し繰り返しやること。そして「鈍」とは、材質を通し
    ての表現である工芸は、絵や文章のように、じかの思いをぶちまけ
    て表現するものを鋭角とすれば、物を通しての表現であるから、直
    接ものをいうわけにいかない「鈍」な仕事なのだ。しかしそこにま
    た安らぎもあると。これこそ工芸の本質についての教えなのだった
    と、二十年たった今ようやくその意味のふかさを思うのです。

    先生はその時、「私はあなたに織物をすすめることもやめさせるこ
    とも出来ない。ただ、もしこの道しかないとあなたが思うなら、お
    やりなさい」とだけいわれました。

    誰が名付けたのか、なぜそう呼ぶのか、群青と白群のあわいの色を
    秘色と呼ぶという。今まで私は秘色とは、なぞめいたふしぎな色と
    漠然と思っていたが、そうではなくて、ひそやかな奥深い色を昔の
    人はそう名付けたのであろう。

    わずか五、六十年前の農村の婦人が、労働に疲れきった体で、なぜ
    このように辛苦の多い手仕事を投げ出さずに続けてきたのだろうか。
    彼らの野良着や夜具が、無地であろうと縞であろうと文句をいう人
    はなかったろう。本当に辛い仕事ならとっくにすたれていただろう。
    野鳥や小鳥の柄を絣に織り込むとき、彼らはどんなに疲れていても
    楽しかったに違いない。それを着て喜ぶ者の顔を思い描けば疲れも
    いやされたのであろう。

    これらを織りなした日本の農民は慎み深く、奥行の深い文化を黙々
    と育ててきた。彼らは親身の者に着心地のよい、美しい衣服を着せ
    たいと、それのみに心を砕き、身辺の自然をまことに素直に、邪心
    なく織り込んできたのである。これこそ日本の文化の底辺をしっか
    りと支えてきた農民の心やさしい遺産である。

    人々の審美眼はそう甘いものではない。必ずすこやかな美しいもの
    は人の心を捉えるものである。

    農民が毎年季節になれば種を播き、刈り入れるように、中世の職人
    も同じものを何度も何度もこしらえてきた。こうして繰り返し仕事
    をするうちに、自我、我執、驕慢など作ろう作ろうとする作為が自
    然にすり減ってゆき、ものが自然に磨き出されてくる。この反復作
    業によってものを作る行為から、ものが自然に生まれてくる世界に
    知らず知らず行こうしてゆく。そこにいたるまで工人は、ひたすら
    仕事を続けていかなくてはならない。(バーナード・リーチ)

    物を創り出す前に計画が多すぎて、肝心の物はやせ衰えてしまう。

    物の生み出される世界では、それらの、人間の手ではどうすること
    も出来ない絶対的なものの比重が重ければ重いほど、深く人の心を
    捉える美しいものが生れてくる仕組になっているのか。

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    ●[2]編集後記

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    仕事の時間、家族との時間、友人との時間、地域の務めをする時間。

    その4つをバランスとるのは、なかなか簡単ではありません。仕事
    と家族と地域の務めだけでほとんど手一杯なので、どうしても友人
    には不義理をしてしまうし、家族の中でも親との時間は犠牲になり
    がちです。今年は実家の庭木の剪定をする時間もとれず、父親をが
    っかりさせていることでしょう。

    息子が4歳になって、いよいよ父親の出番ですが、息子と遊ぶ時間
    もなかなか満足にとれておらず、妻にはストレスを与えてしまって
    います。息子は息子で、「パパ嫌い、ママがいい」w。9歳になっ
    た娘は、勉強があんまり理解できていないみたいで、そこのフォロ
    ーもしないといけないし、なんかほんと時間がいくらあっても足り
    ません。。。

    ワークライフバランスとか言いますが、皆さん、どうやってバラン
    スとっているのでしょう??

    0
    2015年12月26日
  • 一色一生

    Posted by ブクログ

    著者志村ふくみさんは、日本の染織家で、紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)である。
    『一色一生』はその彼女が染織について静かに丁寧に語る随筆。本書は穏やかで優しい雰囲気に包まれているが、仕事にかけるひたむきな情熱が心に響いてくる。

    0
    2013年09月19日
  • 一色一生

    Posted by ブクログ

    四半世紀前、本当の恩師に頂いた本がこの1冊でした。草木染め作家の志村さんの誠実にそのモノの生を染めようとする姿勢に打たれました。いちめんのさくらの花びら広がります❤

    0
    2011年05月24日

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