2017年の書籍なので最新の部分は入っていない可能性もあるが、十分に楽しめた。
前半はAIについての現状や概要が整理されてあるので、ざっとつかみたいときに役立ちそう。
後半は著者の専門である哲学の立場からテクノロジーについて考察されている。
AIの進化とともに語られる人間のサイボーグ化の必要性が著者
...続きを読むのAI時代の人間論である点が面白かった。
来るべきサイボーグ・エコノミーにおける、脳内快楽物質の数値の等価交換という新しいマネーの形態はとても面白かった。私達の日常も、少し前まではそんな未来は想像だにしなかった状態であることを思えば、きっといつの間にか現実になっていくのだろう。
文系、特に哲学分野にとってAIについての議論は今後必須だと思うが、その中での著者の立ち位置を俯瞰的に見ながら読んだ方が面白いと思うので、そういう意味ではタイトルの「文系のための」というのはちょっと異なるという印象も受けた。著者のサイボーグ論をタイトルの全面に押し出しても良かったのでは。