作品一覧

  • ガラスと雪のように言葉が溶ける 在日韓国人三世とルーマニア人の往復書簡
    4.0
    注目の人類学者と在日三世ライターが語る! 自分の子供と異国の言語で話す文化人類学者と自国の言葉を話せないライターが、自らルーツと言語、そして言葉で表現できないアイデンティティと身体感覚について語り合う。
  • みえないもの
    4.0
    1巻1,980円 (税込)
    「最初に『何かすごい』と思い、それがずーーーーーっと止まらず、一冊全部がそうだった。」 ――斎藤真理子(翻訳家) デビュー作『優しい地獄』で読書界に衝撃を与えた、ルーマニア出身の文化人類学者イリナ・グリゴレ、最新作。 娘たちと過ごす青森の日々。ふとよみがえる故郷ルーマニアの記憶。そして、語られてこなかった女たちの物語――。 「彼女の人生をスクリーンのようなものでイメージとして見せられたら、彼女の語らなかったことが見えて、あの夜ニュースを見た人たちも彼女を理解できたかもしれない」(本書より) 虚実を超えて、新たな地平を切り開く渾身のエッセイ。 今までに書かれたどんな日本語よりも、鮮烈なことばをあなたに。

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  • 優しい地獄
    3.9
    1巻1,980円 (税込)
    『雪国』を読んだ時「これだ」と思った。 私がしゃべりたい言葉はこれだ。 何か、何千年も探していたものを見つけた気がする。 自分の身体に合う言葉を。 -------------------------------------- 社会主義政権下のルーマニアに生まれたイリナ。 祖父母との村での暮らしは民話の世界そのもので、町では父母が労働者として暮らす。 川端康成『雪国』や中村勘三郎の歌舞伎などに魅せられ、留学生として来日。 いまは人類学者として、弘前に暮らす。 日々の暮らし、子どもの頃の出来事、映画の断片、詩、アート、人類学……。 時間や場所、記憶や夢を行ったり来たりしながらつづる自伝的なエッセイ。 《本書は、社会にうまく適応できない孤独な少女の記録であり、社会主義から資本主義へ移っていくルーマニアの家族三代にわたる現代史でもある》 -------------------------------------- 五歳の娘は寝る前にダンテ『神曲』の地獄の話を聞いてこう言った。 「でも、今は優しい地獄もある、好きなものを買えるし好きなものも食べられる」。 彼女が資本主義の皮肉を五歳という年齢で口にしたことにびっくりした。 ——本文より -------------------------------------- 【目次】 ■生き物としての本 上 ■生き物としての本 下 ■人間の尊厳 ■私の遺伝子の小さな物語 上 ■私の遺伝子の小さな物語 下 ■蛇苺 ■家 ■マザーツリー ■無関心ではない身体 ■自転車に乗っていた女の子 ■天道虫の赤ちゃんは天道を見ることができなかった 上 ■天道虫の赤ちゃんは天道を見ることができなかった 下 ■なんで日本に来たの? ■シーグラス ■ちあう、ちあう ■透明袋に入っていた金魚 ■社会主義に奪われた暮らし ■トマトの汁が残した跡 ■冬至 ■リボンちゃんはじめて死んだ ■毎日の魚 ■山菜の苦味 ■優しい地獄 上 ■優しい地獄 下 ■パジャマでしかピカソは描けない ■紫式部 ■あとがき

ユーザーレビュー

  • 優しい地獄

    Posted by ブクログ

    まだ見ぬ世界。知らない場所。知らない環境。行けない時代。戻れない時間。知り得ぬ人々の日々の営みと、日々の地獄から逃げ出したいという想い。けれども逃げた先にあるまた違った地獄があるという現実。のびのびと自然と共に生きた小さき頃の鮮やかな思い出。青春期のセピア色のような、灰色のような時代。絶望を知り、希望を見つけた瞬間。生きていくこと。死んでいくこと。諦めたい気持ちで死を選ぶこと。けれども、死んでも何にも変わりはしないのならば。生きて世界を変えよう。ルーマニアには行ったこともルーツもない自分だが、この本を読んで私はタイムスリップして透明人間になってイリナさんの生きた時間を一緒になって駆け抜けたよう

    0
    2025年11月30日
  • ガラスと雪のように言葉が溶ける 在日韓国人三世とルーマニア人の往復書簡

    Posted by ブクログ

    言葉を通して、言葉にならないこと、語り得ないことについて語られているような、尹さんとイリナさんの往復書簡。

    静かな悲しみが胸の奥に積もってゆく感じがしました。
    良い悪いではなく、確かにそこにあること。
    断じることで終わりにしようとするのではなく、胸の奥に携え、その感覚とともに生きてゆくこと。

    母国語を、子どもに伝えずに生きてゆくということ。

    深い悲しみが、苦しみが、伝わってくるようでした。

    イリナさんの書籍を読んでみたくなりました。

    0
    2025年10月07日
  • 優しい地獄

    Posted by ブクログ

    社会主義政権下のルーマニアで翻弄された、人類学者の自伝的エッセイ。彼女の傷を淡々と開いて見せ、夢も現実の一つとして取り入れる彼女の語りは透明で柔らかく、そして強い。
    現代の『優しい地獄』に身を置き、私たちはどう生きるか。

    0
    2025年09月16日
  • みえないもの

    Posted by ブクログ

    こんなひとが近くにいたら、どんな手を使ってでも友だちになりたいと思った。みずみずしい感性が光る文章はもちろんのこと、挙げられているカルチャーがどれも好みすぎる。
    アンドレア・アーノルドの映画、『Trance and Dance in Bali』、『世界の宗教大図鑑』、日本酒とよく合うアカシアの花の天ぷら、眠れない夜のLeo Welch。
    温泉、ラジオ、踊ること。わたしも大好きだよ〜、気が合うなぁ…。

    たんぽぽ綿を「かわい子ちゃん」と呼び、綿飴を食べさせようとする娘さん、ほんとうにかわいいし、ひいてはグリゴレ家全体のセンスを感じる。

    終盤は、みえないものとしての女性の物語を、まさに口寄せする

    0
    2025年09月05日
  • 優しい地獄

    Posted by ブクログ

    エスノグラフィー。初めて知った。
    ルーマニアに生まれた著者が、日本に留学し、最終的には住むことになった。そして、日本語で書いたエッセイ。

    エッセイではあるが、詩的で映画的であり、不思議な世界に連れて行ってくれる。言葉でこの世界を伝えるのは至難の業ではないかとも思う。

    世界と自分が溶けているような感覚を疑似体験させてもらった。

    新しく味わった読後感である。

    0
    2025年08月25日

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