作品一覧

  • 鳥がぼくらは祈り、
    3.2
    1巻660円 (税込)
    第64回群像新人文学賞受賞! 高2の夏、過去にとらわれた少年たちは、傷つき躊躇いながら未来へと手を伸ばす。清新な感覚で描く22歳のデビュー作。 日本一暑い街、熊谷で生まれ育ったぼくら4人は、中1のとき出会い、互いの過去を引き受け合った。4年後の夏、ひとつの死と暴力団の抗争をきっかけに、ぼくらの日々が動き始める――。孤独な紐帯で結ばれた少年たちの揺れ動く〈今〉をとらえた、新しい青春小説。 (群像新人文学賞選評より) ・〈文法の破綻した叫び〉こそが高二のぼくらのリアルな何事かを言語的に表現する、との説得力。――古川日出男氏 ・私がいちばん感心したのは〈一人称内多元視点〉と呼ぶべき視点のつくり方だった。これは文学的に有意義な試みだと思う。――松浦理英子氏
  • 若き見知らぬ者たち
    3.8
    1巻682円 (税込)
    ★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 映画「若き見知らぬ者たち」 2024年10月公開予定 【出演】磯村勇斗×岸井ゆきの×福山翔大 【原案・脚本・監督】内山拓也 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★ 芥川賞候補「オン・ザ・プラネット」の著者が描き切る、鮮烈な人間ドラマ。 静かな怒りを、彩人は感じていた。 亡き父の借金。難病の母の介護。 先が見えない日々の中、昼も夜も働き続ける。 幾重もの困難に遭いながらも、弟や恋人、友人らの支えで、なんとか生活を送っていた。 だが、ある夜、思いもよらぬ暴力が降りかかる――。 目を背けたくなる痛みに対峙する、鮮烈な一作。〈文庫書下ろし〉
  • オン・ザ・プラネット
    3.4
    1巻1,463円 (税込)
    「終わったのかな」 「なにが?」 「世界?」 同じ車に乗り込んだぼくら四人は、映画を撮るために鳥取砂丘を目指す。 注目の新星が重層する世界の「今」を描く、ロード&ムービー・ノベル。 「これからぼくらが話すことは、人類最後の会話になるかもしれない。 そうやって考えるとき、皆は何を話したい?」 記憶すること、思い出すこと、未来に向かって過去をみつけ直すこと。 現実と虚構の別を越えて、新しい世界と出会う旅。
  • ソロ・エコー
    4.0
    1巻1,562円 (税込)
    この街の光景を、僕と誰かが見つめていた――。 失踪した父が残したカメラを手に、僕は横浜の街を歩き始める。幕末の遊女の逃亡譚、焼失した二代目横浜駅、戦後の闇市と再開発……。街の歴史とささやかな生の軌跡が交差する、新鋭作家の飛躍作!
  • 遠い指先が触れて
    3.8
    1巻1,672円 (税込)
    「一緒に、失くした記憶を探しに行こう」。彼女の言葉で、僕らの旅は始まった。 過去を奪うものたちに抗い、ままならない現在を越えていく、〈愛と記憶〉をめぐる冒険。 デビュー作『鳥がぼくらは祈り、』、芥川賞候補作『オン・ザ・プラネット』を超える、鮮烈な飛躍作! 「ねえ、覚えてる?」--両親を知らずに育ち、就職した僕〈一志〉のもとに、見知らぬ女性が訪れる。 〈杏〉と名乗る彼女は忘れていた過去を呼び起こし、僕の凡庸で退屈な日常が変化していく。 〈不可視のシステム〉に抵抗し、時間の境界を越える恋人たちの行方は――?

ユーザーレビュー

  • 遠い指先が触れて

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    極めて難解だった。
    そして面白かった。読んだタイミングが良かった。
    初めて読んだ作家だったが、まさかこれほどまでに素晴らしいものとは思っていなかった。ぜひ芥川賞を獲ってほしい。
    文体は確かに特異なのだが、それよりも表現の、特に比喩の美しさが僕は好みだった。
    苦しい小説だった。
    ひとつになる瞬間がたしかにあった(p.68)ことが、この二者の主観が描かれる文体により明確になっている。だからこそラストにかけての苦しさはより大きなものになっている。
    ただ一志の一人称のみから描かれていれば、杏さんへ怒りが湧いてしまうようになっていたと思うが、この書き方だとひたすら苦しい。
    答えは出ていない。僕も考えてい

    0
    2025年10月24日
  • 遠い指先が触れて

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    久しぶりにこんなに良い本が読めた、凄かった
    素敵な言い回し(何回読んでも理解できない表現もあったけど)がたくさんあって全体的にお洒落だったし、
    一文のうちに語り手が代わるのも、読んでいて心地よかった。
    記憶を見てからの鬱展開に自分もかなりショック受けてしまった、、
    一志のそれからを、ふとした時に度々考えてしまうと思う
    心に残る作品だった。

    0
    2024年03月18日
  • ソロ・エコー

    Posted by ブクログ

    目の前にある世界は、自分に関係なく存在する。
    けど自分が感じる世界と、その背景を知ったのちに感じる世界はすべて異なるものだろう。
    認識された対象、そも認識し認識されるということはどういう意味を持つのか? 一人よがりと言えばそれまでだけど、そういった思いが人を支えているんだよね。

    0
    2025年09月20日
  • 若き見知らぬ者たち

    Posted by ブクログ

    本作は映画監督内山拓也氏が原案・脚本をも手がけた映画『若き見知らぬ者たち』の小説版として、島口大樹氏が書き下ろしている。



    〝この世のあらゆる暴力から、自分の範囲を守るんだよ〟主人公のひとり彩人が父からかけられたこの言葉が、この物語の底を流れているかと思います。

    ヤングケアラーと格闘技を軸に
    やり切れなさがクローズアップされます。
    派手さはないにしろ
    心にグサリとくるものがあります。



    映画もお勧めします

    0
    2025年02月11日
  • 若き見知らぬ者たち

    Posted by ブクログ

    映画を観た後に読んだ。
    「この世のあらゆる暴力から、自分の範囲を守るんだよ」、「みんな表現者なんだよ」。
    やっぱり台詞がかっこよくて惹かれる。
    映画が余白多めだったのと対照的に、こっちはかなり細かく描写されてる。書き手の癖もあるけど。
    彩人と日向の馴れ初めとか、治虫の心情とか。
    大いなる喪失を抱えた機能不全の家族なんだけど、全員が背負って、向き合って、闘っている。
    前頭側頭葉変性症の母親の症状を、過去をまだ見ているのだという風に表現していたのが気に入った。
    不条理の中でも幸せだった過去は変わらない訳で。
    風間家の原風景とも言える、庭での兄弟と父親でのミット打ちの風景が何度も家族を繋いでいる。

    0
    2024年11月02日

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