■作品紹介・あらすじ
・トヨタの最速・骨太のコミュニケーション術
・超シンプル、だから強い
・極限まで無駄を減らす
・大企業なのに大企業らしくない泥臭い会社。それこそが、私の知っているトヨタの本当の姿です。
・トヨタについては、すでにジャスト・イン・タイムや自働化など、主に工場の生産性効率化やスリム化に関するノウハウが一般にも広く知られています。
・ただ、実際にそこで働いていた者の視点から見ると、
実は、ビジネスコミュニケーションの分野でのスリム化にも、大きな特徴やノウハウがあったと感じています。
まだ、あまり世に知られていない、会議術や部下指導法も含めた、そうしたビジネスコミュニケーションのノウハウを、本書では幅広く紹介していきたいと思っています。
【目次】
第1章 極限まで無駄を減らす「時短会議術」
・30分会議で2カ月分の時間を捻出
・無駄な「定例会議」と「上司の付き添い」は認めない
・ホワイトボードの記入内容を、そのまま議事録に
第2章 確実に相手を仕留める「コミュニケーション術」
・1分でOKをもらえる資料のつくり方
・あがり症の人は目線と声質を安定させる
・放置プレイには上司巻き込み型のメールで反撃
第3章 トヨタ魂の根幹「本質思考」
・読めるけれども、あえて空気を読まない
・本気で綺麗事を信じ、それを現実にする
・「なぜ?」と「定義は?」でトコトン自分の頭で考えさせる
第4章 スピリットをつなぐ「トヨタの教育」
・「嫌われてナンボ」のオヤジマインドで若手を育てる
・苦手と得意の判断を急ぎすぎない
・試行錯誤で素早く限界把握 無理ならサクッと助けを求める
第5章 良好な人間関係を築く方法
・ピリついた人間関係のフォローには飲み会を活用
・ネガティブすぎる相手は30分怒りを寝かせてから無視する
・人間は予定どおりに不合理な生き物だと、はじめから認識しておく
第6章 人間力を嵩上げする「配慮」のつくり方
・自らを凡人だと認識して開き直る
・少なくともイタい人にはならないで!
・ご縁を大切にし、常に感謝の気持ちを持つ など
■おすすめポイント
・会議に出ても反対意見を言える雰囲気ではない」「事なかれ主義が一番だ」と感じてしまうことはないだろうか。何をするにも根回しが必要、人間関係優先で仕事が回っていて、コミュニケーションスピードが遅いということはよく聞く非効率な会議の典型である。
・世界を代表する企業のトヨタ自動車では、このような遅いコミュニケーションは存在しない。直接的に意見を出し合い、議論を重ね、素早い意思決定を行っていく。本書のタイトルである「会議は30分」というのは最速・骨太のコミュニケーションを表したものである。そのコミュニケーションスピードはGAFAMやBATHなどITの巨人たちにも負けないという。
・本書はトヨタ、TBSテレビ、アクセンチュアで経験を積み、マーケティング総合支援会社を創業した著者が、世界企業に負けない最速で骨太のコミュニケーション術を解説した一冊である。著者がトヨタで身に付けた仕事術は、異業種に転職した際も有効だったとして、その実用性が得々と説かれている。
・著者は、社会人になって5年以内の若手にこそ本書を読んでほしいと強調する。会議を進行するコツ、資料作成のポイント、理不尽な相手に対応する方法など、すぐに役立つノウハウが満載で、自身を確実にレベルアップさせてくれるだろう。ぜひ、最速のコミュニケーション術を身に付け、仕事の成果を上げていただきたい。
■本書の要点
・トヨタの会議は30分が基本。30分会議を励行することで、年間2ヶ月分の勤務時間を捻出できる。
・会議中にメモを取ることをやめ、話に集中して聞くようにすると、相手を見て非言語の情報も取り入れることができる。その方がスムーズな意思疎通が可能になる。
1分で上司から承認をもらえる資料をつくるには「何の話か」「上司にどんな回答や判断が求められているか」「結論」「論拠」「補足」を順番に書くことが大切。
・失礼すぎる相手に対しては30分怒りを寝かせてみる。相手にする必要がないと少しでも思えば、最低限の対応だけして無視してしまう。
■【必読ポイント!】 極限まで無駄を減らす時短会議
・30分会議で2ヶ月分の時間を捻出
・「会議は30分」ということがトヨタでは徹底されている。会議は1時間を基本としている企業も多いかと思う。しかし、会議時間が最初から1時間で設定されると、本来ならば30分で済む会議が、その時間を全て使い切るように進行されてしまう。
・会議に2〜3回出席する日は頻繁にないだろうか。例えば、年間で600回会議があったとする。そうすれば、毎回の会議で30分間が無駄となる。年間では300時間無駄なことに時間を費やしていることとなる。
・1日8時間労働とすれば、会議時間の無駄を排除することで、約2ヶ月間(37.5日分)の平日に相当する時間を生み出すことができるのだ。
・会議時間を1時間から30分に短縮するだけで、年間6分の1の労働時間を別の仕事に充てることができる。
■時短会議のサイクルを回す一定のルール
・トヨタではどのように会議を進行しているのだろうか。会議時間が30分に設定されていることで、時間が限られているという意識が出席者全員に浸透する。そして、無駄な世間話が行われず、会議が始まった瞬間から、議題を確認して議論を行うことができる。
・もちろん議論が白熱した時には30分で足りなくなることもある。その時は必要な分だけ延長する。しかし、延長も30分までである。それ以上の場合は別の会議を設定する。
・この延長時間を確保するため、会議の予定は立て続けに入れず、最低30分は間隔を空けて会議を入れるように徹底されている。
・会議の最後には「次回の打ち合わせ内容」を決める。そうすることで、次の会議では前回の会議以後に各関係者が動いた結果の情報交換から始まり、その後にブレーンストーミングや意見交換が可能になるのである。
■会議はメモなし
・会議中に議事内容をノートパソコンにカタカタと打ち込んだり、メモを取ったりしている人も多いと思う。逆にメモを取っていないことで、怒られたことはないだろうか。
・しかし、トヨタでは「会議や打ち合わせ中はメモなし」が基本となっている。人が話している時にメモを取っていると「なぜ真剣に聞かないんだ?」と逆に怒られてしまう。
・人との意思疎通という点では、会話中にメモを取る方が不自然である。話を耳で聞くだけでなく、相手の顔をしっかり見て、表情や身振り手振りなど非言語の情報も取り入れる。そうする方が、意思疎通において思い込みや勘違いが起こらず、理解度も向上するのである。
・また、相手の話に集中することによってその場で「なぜ?」を繰り返し聞くことができ、相手の真意を知ることができるのだ。
・人間は基本的に言葉さえ分かれば、メモがなくても、話したり聞いたりする内容は記憶できる。しかし興味がない内容はどんどん忘れていく。そのため、興味がないが覚えておく必要がある内容は、会議後に要点や数字などをメモにすればいいのである。
■相手を射止めるコミュニケーション術
・1分でOKをもらえる資料づくり
・トヨタでは些細な設計変更やシステムの試験的な図面変更でも、その都度上司の承認を得なければならない。
・しかし承認をもらおうとしても、上司の時間がなかなかもらえない。上司は上司で忙しく、部下の説明を細かく聞いている時間はない。そのため、上司から「A4一枚の資料にまとめて持ってきて」と指示されることが多い。
・そこで、A4一枚の資料に必要なことをまとめて、上司の仕事が途切れたタイミングを見計らって「1分だけいいですか?」と声をかける。1分だけなら、上司の都合がよほど悪くない限り、断られることはない。準備していた資料を見せて「〇〇の件ですが、これで進めてよろしいですか?」と聞いて、1分以内に即決してもらうのである。1分でOKをもらえる資料は次のように作成する。
(1)「何の話か」を書く(例:車種〇〇の走行中ノイズ対策について)
(2)「上司にどんな回答や判断が求められているか」を書く(例:ノイズ対策のa案とb案の検討結果承認をお願いします)
(3)結論を書く(例:検討の結果、b案が有効なため、設計変更の実施を求めます)
(4)論拠を列挙する(例:対策a案=ノイズXXデシベル低減、対策b案=ノイズXXデシベル低減)
(5)必要に応じて補足を追加(例:品質管理部のH氏も立ち会い済み、a案でも評価基準はクリアしている)
・資料作成のポイントは「上記の順番を守ること」「文字数を可能な限り減らすこと」「難しい専門用語も可能な限り避けること」になる。
■あがり症の人は目線と声質を安定させる
・部門長・事業部長・役員など偉い人の前での報告や、多くの聞き手を前にしたプレゼンでは、緊張して手が震えてしまうこともあるだろう。そのような状態でプレゼンを行っても、途中で頭の中が真っ白になってしまうなど、うまくいくことは少ない。
・多くの人の前で話すことが苦手な「あがり症」の人が意識すべきことは「目線と声質を安定させること」である。
・話している時に目線が必要以上にふらついていると、聞き手に落ち着きのない印象を与えてしまう。一方、聞き手の目を見てしまうと、余計に緊張してしまうだろう。
・そこで、目線を安定させるコツは「聞き手の目を見ず、聴き手の顎を見て話す」「大勢の聞き手がいる場合では、聞き手の顔の向こう側にある壁や時計などの目印を見て話す」ことである。そして、声質を安定させるコツは「極力穏やかな、低い声で話す」ことである。これらを実践することで、必要以上に緊張せずに普段通りに話せるようになる。
■口2耳8の割合でしゃべりすぎない
・口2耳8――。これは会議などでの意思疎通の方針である。口とは自分が話すことで、耳とは相手の話を聞くことを表している。
・会議での発言がゼロならば「口0」である。一方、会議で自分だけが発言をしているならば「口8」である。自分ばかりが発言すると、他の参加者からの大切な意見や情報を共有してもらえなくなってしまう。それを防ぐためには、自身の意見を発言して議論に参加しながら、相手の意見を聞いたり確認したりする必要がある。
・このバランスを表したのが、口=自分が話すこと2割、耳=相手の話を聞くこと8割という「口2耳8」なのである。
・人間ひとりの脳にインプットされている情報量はたかが知れている。参加者と共に情報やアイデアを出し合うことで、自分だけでは得られなかった発想や結論を得ることができるのだ。
■空気を読まず、対立を恐れずあえて空気を読まない
・大企業として歴史を重ねるごとに、上司や周囲に忖度する人間が増えてしまう。言いたいこと・言った方がいいことを、直接的に言えない会社になることは避けなければならない。
・お互いの意見を直接的に言い合える企業文化は、内向きになりがちな日本社会では大切なものである。これこそがトヨタの強さの基礎を担っているものであると著者は語る。
・こうした企業文化を築くためにも、職場の人間関係が一時的に悪化することを各個人が恐れてはいけない。仕事の本質よりも、人間関係を維持することを重視するようになってはいけない。
・そうは言っても「思ったことを直接的に言えば、上司や同僚とケンカになってしまう」と思うかもしれない。もちろん、実際に関係が一時的に悪化することはありうる。しかし、自分たちの仕事が何かということに立ち返れば、自分の意見や感覚を無視して相手に同調していてはダメである。相手に同調するのではなく、アイデアや意見を出して議論を積み重ねていくことが仕事なのだ。
・注意すべきは、あえて空気を読まずに反論することによって社内で孤立してしまうことは避けなければならない。このさじ加減が難しいのだが、あえて空気を読まず直接的に意見しても大丈夫な相手か見極める。組織の空気を読む力を高め、直接的に発言しても大丈夫なメンバーが揃っている時にのみ、あえて空気を読まない行動に出るのである。
・空気を読む力を身に付けた上で、あえて空気を読まずに、人間関係が一時的に悪化することを恐れずに直言する。かつ、不要な人間関係の破綻を招かないことが大切である。
■嫌われることを恐れない
・トヨタの工場内では強面のおじさんたちがたくさんいる。高校を卒業後に一足早く社会人になった現場のおじさんは大学卒の技術者に対して容赦ないダメ出しや叱咤を浴びせる。工場内では「よい品よい考(かんがえ)」という創業時の言葉が掲げられている。そのため、「よい品よい考」でない行動に対して、遠慮なく愛の鞭を打ってくるのである。
・おじさん達も怒れば嫌われることも承知の上である。さらに、「パワハラだ」「セクハラだ」「モラハラだ」と訴えられるリスクも覚悟の上である。
・それでも、怒るのは「嫌われてナンボ」という想いを持っているからである。そうしなければ、若手が成長せずに、トヨタの「ものづくりの魂」や「現場力」がなくなってしまうと思っているからである。
・部下を持っている人は「嫌われてナンボ」という考えを実践してみてはどうだろうか。会社・若手・自身の成長と比べれば、人間関係が少々悪化することぐらいは大きな問題ではない。
・部下がいない人でも仕事への情熱を燃やして、同僚や取引先に対して多少感情的になることを恐れる必要はない。
■感情的に左右されない
・30分怒りを寝かせてから無視する
・仕事をする上で「こんな言い方はないんじゃないか」「失礼すぎる」などと感じる相手と出会うことは必ずある。価値観や仕事の進め方は人それぞれであり、意見の対立や誤解はえてして発生するものである。社外の人とのやり取りとなれば、なおさらである。
・仕事を効率的にこなすために、さまざまな人と迅速に意思疎通をすることは必要不可欠である。ちょっとした怒りであれば、瞬間的なアンガーマネジメントによって不必要な問題を避けられる。
・アンガーマネジメントの方法としては「カッとしたときにはすぐに言い返さずに6つ数えてから発言する」「トイレなどを口実にその場から中座し、その間に気持ちを整える」などがある。
・しかし相手によっては、こっちが引けばネチネチと絡んでくる人もいる。そのような理不尽な相手の対処方法が「まず30分怒りを寝かせてみる」ことである。30分後も「それでもやるしかない」と思えば、これまで通りに対応すればいい。もし30分後に「相手にする必要はないな」と少しでも思えば、それ以後は一切相手にせずに無視してしまうのである。業務上で必要最低限の対応だけして、ネガティブな言葉には反応せずに無視してしまえばいい。
・時間は限られている。理不尽な人を相手にしている時間があるなら、その時間で他の仕事をした方が効率的だ。生産性のある業務に時間を割り振ることで、自身の成功に近づくことができる。
■一読のすすめ
・本書では会議の最初の5秒で参加者の様子・表情から全体の雰囲気を見極め、単刀直入に議論に入っても大丈夫か確認する方法など、更なる時短会議術も紹介されている。また「なぜ?」と「定義は?」で考える思考術も参考になる。仕事上の失敗やフラストレーションに関する筆者の実体験は、共感できるエピソードも多いだろう。
・ぜひ本書を手に取り、日本を代表する世界企業、トヨタの最速コミュニケーション術を身に付けて、仕事に役立てていただきたい。