ウンコを経済学から考えるのは重要だ。アベノミクスやサナエミクスがあるが、ウンコミクスの方がウンと重要だ。
アベノミクスは、日銀とお金の発行力を使い、株価や大企業から経済を温める「トップダウン型」、デフレ脱却、円安による大企業の業績回復、株高をめざし、お金を市場に溢れさせ、全体の血流を良くする。とにかく、動脈にお金を注ぎ込み、儲かる人だけ儲ければいいという手法だった。労働者の賃金を上げることを嫌う経済政策だった。
サナエミクスは、日本という国を大きく展開させ、国旗を鋼鉄にし、武器は輸出可能とし、天皇をコントロールし、憲法を改正する。日本という国のカタチを変えて、国策による戦略的な財政出動、供給力の強化、エネルギー・食料・国防の安全保障、経済安全保障の確立と日本強化路線に直走りする。
ウンコノミクスは、「排泄物の処理・循環・資源化」という現代社会が直面する超重要な「静脈産業(インフラ・環境経済)」に力を注ぎ、ウンコという無限の可能性を秘めた資源を有効に使い、金をかけて処理していたものを、金を生み出すものにするという極めて平和な手段による国を豊かにする経済政策である。「上から回す」か「下から固める」か?動脈を使うのか、静脈を使うのか?
日本人は1日平均200gのウンチをする。85年の人生で、6.2トンのウンチを製造している。戦前の日本人は、1日平均400gのウンチをしていたが、平均寿命が50歳くらいだった。やはりお米をたくさん食べるとうんちは多い。つまりお米を少なく食べるとうんちが少なくなる。しかし、現在の方がウンチをする期間が持続的継続的で、サスティナブルウンチになっている。
日本の総人口は、2024年に1億2000万人なので、毎日約24000トンのウンチが生産されている。
これは、すべて下水道に流され、下水処理場に至る。そこで下水汚泥として産業廃棄物となる。人間のうんちも産業なのだ。さらに、畜産の牛、豚、鶏のうんちも大きな産業の一部をなし、それが堆肥となって賄われ、土壌に還元される。
アメリカ人は150g、イギリス人は100g、中国人は210g、インド人は300gであり、中国、インドは人口も多いので、ウンチ大国である。一番多いのがケニア人で520gという。
デニスバーキッド博士らは、イギリス人やアフリカの様々な地域・職業(農民、学生、炭鉱夫など)の1,000人以上の便を実際に回収して重量を測り、同時に赤い色素(カルミン)やX線に写る小さなペレットを飲み込んでもらって「何時間で未消化物がお尻から出てくるか」を徹底的に調べた。
「食物繊維が不足すると、便が小さく硬くなり、大腸に長期間とどまる(5日前の便を出しているような状態になる)。これが大腸がんや憩室炎など、先進国特有の病気の原因になっている」という「食物繊維仮説(Fibre Hypothesis)」を確立した。
現状で言えば、化学肥料はほとんどが輸入品であり、リン酸、カリウム、尿素などはトランプのイラン攻撃によって、肥料が急激に高騰している。農業生産物より、肥料の方が高くなっている状況が生まれている。肥料がなければ、生産量は激減する。食料自給率よりも、肥料自給率が低いことが一番の問題なのだ。『そのとき、日本は何人養える?』篠原信(著)で詳しく述べられている。
2022年に岸田首相が、「肥料の国産化・安定供給」を重視することを述べた。リン酸の主要生産国は中国であり、現在は中国からのリン酸は輸出されず、リン酸不足の現象が生まれている。ウンチの中には窒素とリン酸が多く含まれている。
ある意味では、畜産のウンチの方が、堆肥となって循環している。日本国内には、牛が約400万頭、豚が約880万頭飼育されている。日本全国の牛と豚が流す「ふん尿」の総量を計算すると、年間でおよそ8,000万トン以上という途方もない数字になる。日本では「家畜排せつ物法」に基づき、その9割近くが堆肥や液肥として処理され、日本の土壌へ還元されている。
また、「ウンコミクス(循環経済)」の観点からも、近年はこれらを密閉タンクで発酵させてバイオガスであるメタンガスを取り出し、地域の発電やエネルギーとして活用する『メタン発酵バイオガス発電』のインフラが全国の畜産地域で急速に広がっている。
人間のウンチは、江戸時代までは、金肥として農地に還されていた。1930年代になると、農村部での需要が減り、河川に流すものが生まれる。1949年ごろには、化学肥料が普及し、農村での需要が減少した。東京や大阪市は、1952年から、海洋投棄し、1962年まで続けた。また、ボットン便所から水洗便所に切り替わり、下水処理場から出る下水汚泥の処理が始まる。脱水された下水汚泥は、市民のゴミと一緒に内陸部に埋めてていた。1970年代には、大阪湾を埋め立て、夢州や舞州が生まれた。それが夢の島となり、万博会場となった。下水処理場では、活性汚泥を燃やして灰にして、コンクリートなどに混ぜた。
下水道は、メタンガスを作って発電したり、下水熱で融雪したり、処理水を公園や灌漑用水に使う、下水免疫学で感染症の菌の検査をしたり、など多様な可能性がある。ある意味では、ちょうど改造しなければならない時期なので、抜本的な下水処理の仕組みづくりが必要だ。こ
今は、その下水処理でできる活性汚泥をどう有効に使うかが、問われている。排水処理が進んだので、活性汚泥には重金属問題はクリアーしている。固体リン酸肥料について、興味はあるね。
この本を読んで、改めて活性汚泥は重要だと認識した。
「廃棄物」から「資源」への価値転換が求められている。
これまで多大な金(税金・コスト)をかけて燃やし、埋め立てていた人間の排泄物を、エネルギーや国益を生む資源、とりわけ肥料へと変える「循環型経済」の確立。
「食料・農業安全保障」の切り札としての肥料国産化。
国際情勢に左右される「不安定な輸入化学肥料」に頼るのをやめ、国内で毎日確実に生産される24,000トンのウンチ(窒素・リン酸)を有効活用することで、日本の農業の肥料自給率を強固にすること。
下水インフラの「抜本的なアップデート」の必要性。
単に「汚水を綺麗にして流す・埋める」という20世紀型のインフラから、エネルギー生産、環境保全、公衆衛生である疫学検査のマルチタスクをこなす次世代型インフラへと下水処理の仕組みをリデザインする時期が今来ている。まさに、ウンコノミクス発動の時だ。