【感想・ネタバレ】ウンコノミクス(インターナショナル新書)のレビュー

あらすじ

日本人は1日平均200グラムのウンコを排出する。欧米と比べて、日本は世界有数のウンコ排出大国といえる。ウンコは肥料の三要素のうち、窒素とリン酸を豊富に含む。リンの主要産出国である中国が禁輸に動き、ウクライナ危機も重なって、世界的な肥料不足が懸念されるなか、ウンコの価値が世界で評価され始めた。自動車燃料、発電、ロケット燃料として、下水熱を使ったビル空調や、冬場に凍結した雪を融かす熱源として、養殖海苔の栄養塩として、ウンコの活用分野は、想像以上に幅広い。日本経済の切り札「ウンコノミクス」の可能性を探る。

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Posted by ブクログ

ウンコを経済学から考えるのは重要だ。アベノミクスやサナエミクスがあるが、ウンコミクスの方がウンと重要だ。

アベノミクスは、日銀とお金の発行力を使い、株価や大企業から経済を温める「トップダウン型」、デフレ脱却、円安による大企業の業績回復、株高をめざし、お金を市場に溢れさせ、全体の血流を良くする。とにかく、動脈にお金を注ぎ込み、儲かる人だけ儲ければいいという手法だった。労働者の賃金を上げることを嫌う経済政策だった。

サナエミクスは、日本という国を大きく展開させ、国旗を鋼鉄にし、武器は輸出可能とし、天皇をコントロールし、憲法を改正する。日本という国のカタチを変えて、国策による戦略的な財政出動、供給力の強化、エネルギー・食料・国防の安全保障、経済安全保障の確立と日本強化路線に直走りする。

ウンコノミクスは、「排泄物の処理・循環・資源化」という現代社会が直面する超重要な「静脈産業(インフラ・環境経済)」に力を注ぎ、ウンコという無限の可能性を秘めた資源を有効に使い、金をかけて処理していたものを、金を生み出すものにするという極めて平和な手段による国を豊かにする経済政策である。「上から回す」か「下から固める」か?動脈を使うのか、静脈を使うのか?

日本人は1日平均200gのウンチをする。85年の人生で、6.2トンのウンチを製造している。戦前の日本人は、1日平均400gのウンチをしていたが、平均寿命が50歳くらいだった。やはりお米をたくさん食べるとうんちは多い。つまりお米を少なく食べるとうんちが少なくなる。しかし、現在の方がウンチをする期間が持続的継続的で、サスティナブルウンチになっている。

日本の総人口は、2024年に1億2000万人なので、毎日約24000トンのウンチが生産されている。
これは、すべて下水道に流され、下水処理場に至る。そこで下水汚泥として産業廃棄物となる。人間のうんちも産業なのだ。さらに、畜産の牛、豚、鶏のうんちも大きな産業の一部をなし、それが堆肥となって賄われ、土壌に還元される。

アメリカ人は150g、イギリス人は100g、中国人は210g、インド人は300gであり、中国、インドは人口も多いので、ウンチ大国である。一番多いのがケニア人で520gという。

デニスバーキッド博士らは、イギリス人やアフリカの様々な地域・職業(農民、学生、炭鉱夫など)の1,000人以上の便を実際に回収して重量を測り、同時に赤い色素(カルミン)やX線に写る小さなペレットを飲み込んでもらって「何時間で未消化物がお尻から出てくるか」を徹底的に調べた。
「食物繊維が不足すると、便が小さく硬くなり、大腸に長期間とどまる(5日前の便を出しているような状態になる)。これが大腸がんや憩室炎など、先進国特有の病気の原因になっている」という「食物繊維仮説(Fibre Hypothesis)」を確立した。

現状で言えば、化学肥料はほとんどが輸入品であり、リン酸、カリウム、尿素などはトランプのイラン攻撃によって、肥料が急激に高騰している。農業生産物より、肥料の方が高くなっている状況が生まれている。肥料がなければ、生産量は激減する。食料自給率よりも、肥料自給率が低いことが一番の問題なのだ。『そのとき、日本は何人養える?』篠原信(著)で詳しく述べられている。

2022年に岸田首相が、「肥料の国産化・安定供給」を重視することを述べた。リン酸の主要生産国は中国であり、現在は中国からのリン酸は輸出されず、リン酸不足の現象が生まれている。ウンチの中には窒素とリン酸が多く含まれている。

ある意味では、畜産のウンチの方が、堆肥となって循環している。日本国内には、牛が約400万頭、豚が約880万頭飼育されている。日本全国の牛と豚が流す「ふん尿」の総量を計算すると、年間でおよそ8,000万トン以上という途方もない数字になる。日本では「家畜排せつ物法」に基づき、その9割近くが堆肥や液肥として処理され、日本の土壌へ還元されている。
また、「ウンコミクス(循環経済)」の観点からも、近年はこれらを密閉タンクで発酵させてバイオガスであるメタンガスを取り出し、地域の発電やエネルギーとして活用する『メタン発酵バイオガス発電』のインフラが全国の畜産地域で急速に広がっている。

人間のウンチは、江戸時代までは、金肥として農地に還されていた。1930年代になると、農村部での需要が減り、河川に流すものが生まれる。1949年ごろには、化学肥料が普及し、農村での需要が減少した。東京や大阪市は、1952年から、海洋投棄し、1962年まで続けた。また、ボットン便所から水洗便所に切り替わり、下水処理場から出る下水汚泥の処理が始まる。脱水された下水汚泥は、市民のゴミと一緒に内陸部に埋めてていた。1970年代には、大阪湾を埋め立て、夢州や舞州が生まれた。それが夢の島となり、万博会場となった。下水処理場では、活性汚泥を燃やして灰にして、コンクリートなどに混ぜた。

下水道は、メタンガスを作って発電したり、下水熱で融雪したり、処理水を公園や灌漑用水に使う、下水免疫学で感染症の菌の検査をしたり、など多様な可能性がある。ある意味では、ちょうど改造しなければならない時期なので、抜本的な下水処理の仕組みづくりが必要だ。こ

今は、その下水処理でできる活性汚泥をどう有効に使うかが、問われている。排水処理が進んだので、活性汚泥には重金属問題はクリアーしている。固体リン酸肥料について、興味はあるね。

この本を読んで、改めて活性汚泥は重要だと認識した。
「廃棄物」から「資源」への価値転換が求められている。
これまで多大な金(税金・コスト)をかけて燃やし、埋め立てていた人間の排泄物を、エネルギーや国益を生む資源、とりわけ肥料へと変える「循環型経済」の確立。

「食料・農業安全保障」の切り札としての肥料国産化。
国際情勢に左右される「不安定な輸入化学肥料」に頼るのをやめ、国内で毎日確実に生産される24,000トンのウンチ(窒素・リン酸)を有効活用することで、日本の農業の肥料自給率を強固にすること。

下水インフラの「抜本的なアップデート」の必要性。
単に「汚水を綺麗にして流す・埋める」という20世紀型のインフラから、エネルギー生産、環境保全、公衆衛生である疫学検査のマルチタスクをこなす次世代型インフラへと下水処理の仕組みをリデザインする時期が今来ている。まさに、ウンコノミクス発動の時だ。

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2026年06月29日

Posted by ブクログ

内容はだいたい帯に書いてある通りだが、ウンコや下水処理に関する情報が網羅的にまとめられているので理解しやすく、全ページ「ウンコ」の3文字が散りばめられているため、非常に真面目かつ実用的な内容なのに、笑えるやら和むやらで楽しい。ウンコ好き必読書。

とにかく、はしがきから最後のページまで、ウンコにまつわる目から鱗の情報ばかりで素晴らしい。

特に心に残ったのはウンコバンクと現在フィナーレを迎えつつある大阪万博。その会場である夢洲は大阪府民が50年積み上げたウンコで出来ており、メタンガスによりいつ爆発するかも不明な状態のまま開催されているらしい。今も多くの人々が喜んで大枚叩いてウンコ島に行っているのだと思うと笑える。新自由主義が極まったお金にがめつい大阪万博が、かつての「金肥」の山で開催されている。こんなにふさわしい会場もない。あと神戸市のウンコが肥沃であるのも笑った。やはり富とウンコには縁があるようだ。

完全循環型社会だった江戸時代においては金肥として宝だったウンコが、近代化による社会衛生の進歩につれ次第にゴミと化してゆくという歴史も興味深かった。言われてみれば昭和初期の小説なんか当たり前のように紳士が「さなだ虫」と共存していてギョッとする。いまや清潔好きとして有名な日本人も、ほんのちょっと昔まで「下肥え」につきものの寄生虫と共生していたのだから、国のイメージなどいい加減なものだと思ったし、有機農業は先進的なイメージがあるが、実はそうでもないよなと考えが改まった。

もちろん今では寄生虫を処理する技術も上がり、虫なしの有機肥料も作れるだろうし、ウンコからリンを抽出するシステムはすでに神戸で運用中だそうだから、中国との国交がますます難しくなってきた現在、農作物に欠かせない肥料の供給源として再びウンコが宝に返り咲くのかもしれないと、本書を読みつつ未来にワクワクできて良かった。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

ちょっと 思い返してみれば
50〜60年ほど前の日本では、
「食べる」→「出す」→「撒く」→「収穫」→「食べる」
と言うサイクルは当たり前でしたよね

時代は移って、技術的なことは多少変わっているだろうけど、考え方としては至極真っ当な事柄だと思います。
ご先祖返りしたんだと思います。

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2025年12月09日

Posted by ブクログ

たまには、今の仕事に関係する本でも読もうと思い、購入した本。環境、特に水処理や資源循環の分野は、学生時代から専門としていることもあり、サクサク読めました。

著者は今後の国内のリン不足を予測し、汚泥やし尿に含まれるリンの有効活用法を提言していました。方法の一つとして堆肥化を促していましたが、現代の日本ではハードルが高いように思います。

著者のいうとおり、重金属によるリスクは昔と比べ下がっているのかも知れませんが、やはり、「し尿や汚泥由来の肥料で育てた野菜を食べたいか?」と問われると、生理的に抵抗を感じるくらい現代の日本人は潔癖になっているのではないかと思います。

とはいえ、リンの値段がひきあがっている昨今において、あまり悠長なことも言ってられないのも、また事実なのだと思います。リンの循環利用というのは、長年考えられてきた非常に難しい課題なのでしょう。

下水に関わる色々な施設への取材もしていて、初学者にもわかりやすいように書かれているので、いろんな人に読んでほしい本です。個人的には、もっと技術的、科学的な部分も知りたいと思ってしまいました…。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

●ウンコという資源に、いかに価値を見出し、経済の活性化につなげることができるのかが本書のテーマ。
●世界で化学肥料の争奪戦が起こる将来に向けて、ウンコという資源をうまく活用できるといいなと感じた。それと下水道局の温室効果ガスの排出量がかなりのものだと知って驚いた。

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2025年09月28日

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