●「銀」は貴金属として程よい価値と光沢をもち、半永久的な価値を保つため、「通貨」としての地位を得た。
●「リディア王国」におけるコイン(金の硬貨)の誕生は革命的。リディアの硬貨には金そのものよりも「信用」が加わった。
●「共和制ローマ」では、カエサルが自分の肖像を硬貨に刻ませることを始めた。カエサルの後を継いだローマ皇帝たちは、正当性のアピールや業績を硬貨に刻ませることにより、自分の権力の「広告」として用いた。ローマで流通したのは「デナリウス銀貨」。帝政末期のコンスタンティヌス帝は、純度の高い金貨「ソリドゥス」は価値が守られて、ヨーロッパの中世までも利用されて、「中世のドル」と言われた。
●インドのクシャナ朝がオアシスの道を抑えて、ローマ帝国が貿易で貨幣がクシャナ朝に流出しいたことがローマの貨幣価値の低下をもたらした。
●海の道は、インドの「サータヴァーハナ朝」が抑えていた。
●「イスラム教」は、ビザンツ帝国とササン朝が軍事衝突して、オアシス道のルートが戦いの多い場所から、「メッカ」に代わり、海の道の中継地点にもなり大いに栄えた。そのため、貧富の差が拡大した。そのため、ムハンマドが平等を説いてイスラム教の信仰が広まった。
●中国の「宋」の時代は、政府は平和を金で買ったため財政難だったけれども、民衆の経済は発展して、貨幣経済が定着して空前の好景気だった。宋の3大発明の①活版印刷、②羅針盤、③火薬はモンゴル帝国の東西のネットワークにより、ヨーロッパに伝わり、「ルネサンスの三代改良」として実用化された。
第5章 世界をかけめぐる銀
●スペインはアメリカを面として支配した。プランテーションで働かせていた先住民が感染症や過酷な労働で死亡して労働力が不足すると、アフリカ大陸から黒人奴隷を連れてきて、代わりに働かせた。スペインは、ヨーロッパ、アフリカ大陸、アメリカ大陸をひとつの経済圏とした。世界の一体化は大西洋から始まった。
●大航海時代に到来により、貿易の中心は地中海から大西洋に移り、これにより、イギリス、フランス、オランダといった大西洋沿岸の国が恩恵にあずかった。また、大航海時代に新大陸からもたらされた作物である「トマト」「トウモロコシ」「ジャガイモ」などが旧大陸の人々の食生活を変える「生活革命」を世界にもたらした。
●「石見銀山」など日本から産出される銀が、世界に流通する銀の総量の1/3に達したと推定される。日本はジパングというよりも「銀の島」
第6章 オランダ・イギリスの繁栄と大西洋革命
●「大西洋を行き交う黒い貨物と白い貨物」ヨーロッパでは、大西洋の三角貿易がなされていた。アメリカ大陸でのプランテーションで先住民が疫病で大量に亡くなるとアフリカから黒人奴隷を輸入して、サトウキビ、たばこ、コーヒー、綿花などを生産した。ヨーロッパからアフリカへは武器が輸出されて、アフリカでの部族同士の争いに利用された。アフリカからアメリカ大陸に「黒い貨物」黒人奴隷が輸出されて、アメリカ大陸から、砂糖「白い貨物」やたばこがヨーロッパに輸出された。
●イギリスの地名から「ノーフォーク農法」という革新的な農法が確立されて、かぶ、大麦、クローバー、小麦を交代で耕作することにより農地を休ませる必要がなくなった。特にかぶとクローバーを耕作する時には家畜の放牧ができた。この農法を最大限に活用するためには、家畜を移動させながら飼うため、広大な土地が必要となった。土地の「囲い込み」のために、農地を失った農民が都市に流入して、「労働者」になったことにより、イギリスの産業革命の基礎となった。
●「産業革命」は、多くの織機機械を持つ工場経営者である「資本家」が。賃金労働者を雇用し、工場で機械を用いた生産に従事させるという「資本主義」というシステムが始まった。
第7章 産業の発展と帝国主義
●「鉄の時代」の到来を告げた「鉄道の時代」
蒸気機関車は、イギリスのマンチェスターとリヴァプール間で営業運転が開始されて、あっという間に、30年間ほどでヨーロッパ全土に鉄道が敷かれた。鉄道を敷設するために、鉄が大量に生産されて、ヨーロッパ各国の経済発展の推進力になった。アメリカとドイツはイギリスを凌ぐ鉄鋼の生産力を持つようになる。モールス信号が発明されると、この時代は情報網も発達した。
●イギリスの植民地帝国、太陽の沈まない帝国と言われた。特に、インドは最重要な植民地であった。インドは綿花をイギリスに提供し、イギリスの綿織物の市場ともなり、イギリスにとっておいしい植民地であった。しかし、ヴィクトリア時代からイギリスの繁栄にも陰りが見え始める。世界一の工業国の座はアメリカに譲り、対外収支が赤字に悪化し始めると、金本位制を維持するための「金」をもとめて南アフリカで長期間にわたる植民地戦争を始めると、イギリスの国力は次第に低下していった。
●中国の清王朝から、お茶を輸入していたイギリスは、その対価として銀で支払ったため、大量の銀がイギリスから清王朝へ流出した。そのため、その銀を取り戻すため、インドを巻き込んだ三角貿易をすることで、インド産のアヘンを中国に密輸出して、茶の貿易で流出した銀を回収した。
第8章 2つの大戦と世界恐慌
第1次世界大戦では、同盟国の盟主、ドイツは、イギリスとフランスの輸送船を狙った「潜水艦」による無差別攻撃で、それまで中立の立場を維持していたアメリカの船を誤って撃沈したことで、「世界一の工業国」であるアメリカが、連合国側についたことで、ドイツの劣勢が決定的になった。ドイツでは兵士たちの不満が爆発して革命がおこり、皇帝ヴィルヘルム2世が亡命して戦争が終結した。
第9章 冷戦下の経済
●第2次世界大戦で敗戦国となった日本は、ポツダム宣言を受け入れて、GHQの指示が勧告に従うことになった。日本の非軍事化と民主化を進めるため、財閥解体や農地改革を行った。
第10章 グローバリーゼーションと経済危機
●「世界のグローバル化によって、急速に「平均化」されて、貧しい国の人々は豊かに、豊かな国の人は貧しくなった。しかし、趙富裕層が出現するため、見た目の経済格差は広がる。世界全体として経済規模は拡大するけれども、時折、過剰な生産や投資が経済バブルを生み出し、その影響が広がってグローバルな経済危機が起こる。
●中国の「一帯一路」は、「陸のシルクロード」を「一帯」、「海のシルクロード」を「一路」と称する中国の「経済政策」である。アジア・インフラ投資銀行を設立して、アフリカや中東アジアのインフラに出資して、返済が滞るとそれらのインフラを差し押さえて、「中国経済圏」に取り込まれてしまう。中国が海上で威嚇を続ける南シナ海・南紗諸島は、東アジア、東南アジア、南アジアの交差点であり、この場所の領有権を握ることにより、中国に軍事的にも経済的にも大きな利益を盛ら+。
●貨幣のキャッシュレス化が進むと、データでお金のやりとりをするので、従来の銀行の機能は大きく縮小されて、社会の在り方も変わっていく。仮想通貨は、「ブロックチェーン」という技術でデータの改ざんを防ぐことで「信用」を生み出し仕組み。仮想通貨は広く流通するにはいたっていないものの、資産のひとつとして認識されている。