山崎史郎の作品一覧
「山崎史郎」の「あなたの日常が危ない 現場搾取社会を変えよう【WOP】」「新装版 介護保険制度史―基本構想から法施行まで」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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ビジネス・実用
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Posted by ブクログ
制度の考え方や、雇用等の問題の背景をわかりやすく解説して提言に入ってくれているので、とても勉強になる。
提言をものすごく雑にまとめると、
- 子育て両立をしやすくし、非正規雇用から正規雇用への移行を強め、高齢者がさっさと引退せず現役期間を長くできるようにする
- 社会保障の縦割りを「地域」のヨコでつなげて、効率化
- 同じく、ICT活用や人材活用で効率化
ということ。
社会保障の給付を受け取る側を攻撃したりする論になりがちだが、実際にこれからの社会で給付側を安易に抑制はできないし、年金などはそもそも仕組み上抑制ルーチンがかかっている。
それよりも、制度の持続可能性という点で、負担を担える人を増やすということが大事(故人だけでなく企業も含め)。また、制度としては、児童福祉、両立支援の「税負担から保険負担への変更」も重要検討ポイントだと思う。
Posted by ブクログ
人口減少対策について、真正面から書ききった。元官僚だから書ける立法府の内情はさておき、子供保険を含む対策案の説明は理路整然としていた。なかでも親世代が子供世代に投資・支援するという発想は、国債発行しまっくって子世代に借金を押し付けている現状を変えるすばらしいプロパガンダ案と言えよう。未来への投資を箱物やインフラにするのではなく、子供たちにする! この発想を日本国民が共有できれば・・・・
公表されている統計データを読み解くだけで、日本の暗い未来が想像できてしまう。老人ばかりが多く、若い世代が極端に少ない国に、若い世代が住み続けたいと思うわけがない。子供をつくる・つくらないは個人の自由だが、人口減少は悪いことだというコンセンサスが必要だ。有識者(健全なマスコミ、文化人、科学者、経営者、政治家等)は本書を読んで勉強し、将来世代のために日本の人口減少に歯止めを打つ必要性を強く感じてほしい。
以下、個別案の感想。
・子供の授かりやすさの原因の一つが、個人差の大きい卵子の数であり、これはAMH検査をすると推定できるというのを初めて知った。成人祝いにAMH検査をやるべきでは?
・世代別に比較したコーホート出生率で、1992年以降生まれの適齢期(20代)での出生率が前の世代に比べ下がっている事実はもっと危機感を煽るべきだと理解した。このままでは10年後にはさらに深刻な事態になる。
・子供保険のターゲットが常勤で働く母親だけでなく、パートや働けない親の子も対象にするべきだという主張は腹に落ちた。育児休暇ではなく、育児手当を全ての親に渡すための子供保険は現政権で実現してほしいものだ。
・介護保険は最近の政府施策では良い保険だと思っていたが、成立まで6年もかかったのか。このへんの舞台裏をNHKあたりでドラマ化しないかなあ?廃案になりそうになったら、細かいことを反対していた市町村の担当者たちが慌てて賛成すべく立ち上がったくだりは参考になる。現場力が日本にはまだあることを誇りに思う。
Posted by ブクログ
日本における2020年の合計特殊出生率は1.33。人口減少を止めるには、これを2.07以上に回復させるしかない。それは容易なことでないにしても、早急に何らかの打開策が必要なのは多くの国民が認めるところ。
ただ、ただちに解決策を講じても人口減に歯止めがかかるには長い期間を要する。また、結婚・出産は個人の問題であり、国が介入すべきでないという根強い意見もある。 それでも、スピードをあげて進む少子高齢化に対する国民的議論は必要というのが、元厚労省幹部の著者の考え。 本書は、政府内に立ち上げられた「人口戦略検討本部」で官僚や専門家が真剣な議論を行い、法案を立ち上げ、国会に提案する過程を描いた小説。
登場人物やストーリーはフィクションだが、素材はすべて公開された資料や文献に基づく事実。
この本で提示されている「人口戦略(案)」は非常に勉強になった。そのポイントを以下に記しておく。
①非正規雇用や専業主婦も含めすべての子育て家庭に対し産休・育休給付や児童手当を大幅に拡充するため、「子ども保険」を導入する。②不妊治療や妊娠・出産、ライフプランに関する相談支援、ライフコースの多様化 ③若者に焦点をあて、子育てのしやすい地方の創生を目指した地方大学の強化や地域の人材教育推進、二地域居住、多拠点居住、地方体験の推進
なお、移民政策については、西欧諸国の事例から失敗すると大きな問題になることもあり、意見の集約が図れなかったという設定。
人口戦略検討本部における様々な角度からの議論に圧倒されたが、それとともに、制度設計のできる官僚へのリスペクトが高まった。
また、法案の与野党への根回し、与党内議論のプロセス、国会提出のタイミングなど、経験を積んだ著者ならではの現実的なストーリー展開もさすがだなと感心させられた。