作品一覧

  • 伝説の名参謀 秋山真之
    3.8
    無敵と謳われたバルチック艦隊がやって来る。東郷平八郎を司令長官とする、日本海軍の連合艦隊は、これをうち破ることができるのか。これが、苦戦この上なかった日露戦争の、勝敗を決する、最も大きな分水嶺であった。国家存亡の危機に立った明治日本が、まさに背水の陣で戦った、「日本海海戦」。未だ伝説の如く語り継がれるその勝利に、日本を導いたのが、参謀・秋山真之である。彼は、ロシアを仮想敵国とした軍事情勢のもと、海外留学で見聞を広め、万巻の古書から、外国の書物までを読破し、壮烈な姿勢で、対露の海軍戦略を考案して行った。「日露戦争における海上作戦を通じて、さまざまに錯綜する状況を、その都度総合して行く才能にいたっては、実に驚くべきものがあった。彼はその頭に湧いて尽きざる天才の泉を持っていた」と、名参謀であった島村速雄も舌を巻いた。この一戦を戦うためにあったような、勇壮な生涯を描く長編歴史小説。
  • 幕末最後の賢侯 伊達宗城 世界を見据えた「先覚の人」
    3.0
    1巻770円 (税込)
    激動の幕末期、四国の伊予宇和島藩10万石に、島津久光・山内容堂・松平春嶽と並び「四賢侯」と称えられた名君があった。いち早く洋学の研究を奨励し、アジア初の蒸気船を建造するなど、世界を見据えた先覚の人・伊達宗城である。幕臣の子に生まれ、わずか12歳で宇和島藩主の養子となった宗城は、やがて藩主となると、前藩主以来の殖産興業政策により藩政を富ましめ、高野長英・村田蔵六(大村益次郎)ら藩外の賢者に依頼し、宇和島藩に最先端の知識と技術を積極的に導入する。中央政界では、将軍継嗣問題で一橋派に属したため、安政の大獄で隠居を余儀なくされるが、一貫して公武合体の推進者として激動の政局の中心にあった。しかも明治維新以後は、新政府の要職を歴任、全権大使として日清修好条規を締結するなど、旧幕の大名にしては異色の生涯を歩んでいる。つねに時代から求められ続けた、「器量人」の波瀾の人生を描く力作小説。
  • 米内光政 海軍魂を貫いた無私・廉潔の提督
    -
    ナチス・ドイツの快進撃に触発され、陸軍を中心に、対米英戦争に突き進んだ日本。そして、多大なる犠牲を払っての悲惨な敗戦。この激動の時代を、常に冷静に見つめながら、崩れ行く日本の中にあって、国が向かうべき正しい方向を、静かに示し続けた、海軍大将・米内光政。本書は、その無私・廉潔にして至誠の人の重厚なる生涯を、思いあふれる筆致で鮮やかに描き上げる、長編歴史小説である。著者である神川武利氏の父・武夫氏は、海軍において、米内の教え子にあたる。武夫氏は、米内の指導の通り太平洋戦争において勇戦・奮闘し、最後は、レイテ沖海戦に出陣、巡洋艦「鳥海」艦上で戦死を遂げた。今回の作品において、神川氏は、その亡き父への想いと、昭和初期という、自らが少年期を体験した時代に対する疑問を重ね合わせて、あふれる感情を、時には抑え、時にはほとばしらせて、米内を主人公に置きつつ、まさに己の精神史を綴っているかのようである。
  • 児玉源太郎 日露戦争における陸軍の頭脳
    -
    1巻1,699円 (税込)
    領土拡大の野心をみなぎらせ、南下を続けるロシア。戦って、勝たなければ、日本もいずれ植民地化されることはまぬがれない。日露戦争とは、そういう戦争だった。絶対に負けられないギリギリの状況の中で、その陸戦の総指揮をとったのが、本書の主人公・児玉源太郎である。自らの使命に無私の精神で臨むとき、人間はどんな存在になれるか? 私欲のみを追求する今だからこそ顧みるべき、明治人の心を読む。
  • 士魂の提督 伊東祐亨 明治海軍の屋台骨を支えた男
    -
    1巻950円 (税込)
    伊東祐亨(すけゆき)、明治史をある程度学んだ人でなければ、あまり聞きなれない名前の人物である。しかし、この人こそ、実戦面における、「真の日本海軍の父」と言っても過言ではない。なぜならば、日本海軍が初めて戦った大海戦、つまり日清戦争の「黄海海戦」における連合艦隊司令長官であり、その後の日露戦争での連合艦隊司令長官・東郷平八郎の指導者である。この人物の特徴は、何と言ってもその「武士道精神」にある。幕末・維新の風雲のなかで、この人は、幼いころから培った「サムライ魂」を、いかんなく発揮して、明治海軍の精神的風土を作った。それは、実戦の場においても活かされ、敵に対しても礼節を重んじる、日本の軍隊の姿を顕現した。このことは、日清戦争後に世界に報道され、日本に対する目を改めさせたのである。茫洋とした中に厳然とした心を宿す男の人生を、本書では、海軍をこよなく愛する著者が、熱く描写している。書き下ろし歴史小説。
  • 大警視・川路利良 日本の警察を創った男
    -
    1巻1,899円 (税込)
    川路利良(かわじとしよし)は、名実ともに「日本の警察の父」である。世間一般で、水戸黄門といえば水戸光圀のことであるように、警察関係者の間では、大警視といえば川路のことであるのだ。彼は、薩摩藩の貧しい身分に生まれ、刻苦勉励して西郷隆盛に認められた。その理解の元で、日本の警察の母体となる「邏卒隊」を組織し、この育成にあたる。ところが、西郷は征韓論によって下野し、やがて西南の役を起こす。川路は、大恩ある西郷への私情を懊悩の上乗り越えて、官軍として、大義に生きることを選ぶ。この後、さらに警察制度の構築に邁進し、近代警察の形と魂を見事に創り上げた。その精神は、今も警察官の範とされている。本書は、その生涯を、元警察幹部であった著者が渾身の筆で綴った書き下ろし長編小説である。

ユーザーレビュー

  • 伝説の名参謀 秋山真之

    Posted by ブクログ

    秋山真之
    著:神川 武利
    PHP文庫 か 30 1

    日露戦争、日本海海戦を勝利に導いた、名参謀、秋山真之の解説です

    「天気晴朗なれども波高し」
    江田島の海軍兵学校の出身、米アナポリス校、英ダートマス校とともに世界三大兵学校の一つであった

     五省
      至誠に悖るなかりしか
      言行に恥ずるなかりしか
      気力に缺くるなかりしか
      努力に憾みなかりしか
      不精に亘るなかりしか

    江田島の教育の原点は、人間教育であった

    気になったのは、以下です

    ■日本海軍の誕生

    ・幕末、薩英戦争と、馬関戦争を経験した我が国は、近代海軍の必要性を痛感し、戊辰の海戦を経た後、明治元年日本海軍を発足した

    0
    2024年08月02日
  • 伝説の名参謀 秋山真之

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    ネタバレ

    戦略、戦術、戦務の三位一体になってこそ、戦は成立するということを実践した人。戦略と戦術ばかりが注目され、戦務を抜かした経営が増えてきた。戦略、戦術が注目されたのはかつて日本にそれが弱く、逆に戦務は長けていたから。

    以下、メモ
    後年のバルチック艦隊が東洋に回航された時、ロシアの艦隊幹部の中には風帆船の操作しかしらない老朽士官が多かったといわれるが、日本海軍はすでに日清戦争の直前にそれらを一掃した。そして新進の若い士官達が、日清戦争で要職を経験し、日露戦争にむかうことができたのである。

    『孫子』の"善く戦うものの勝つや、地名もなく勇功もなし"
    ハナシとして面白いことの起きる

    1
    2019年05月04日
  • 伝説の名参謀 秋山真之

    Posted by ブクログ

    こちらの本で良かったのはあの「日本海海戦」以後の真之さんのことがわずかながら書かれているっていうことと、あとがきの中にあったこの(↓)言葉に感銘を受けたこと・・・・・ぐらいでしょうか?

    史は詩であり志である

    司馬さんの「坂の上の雲」を読んでいても感じる高揚感は、まさにこの言葉に凝縮されていると思うんですよね~。  「歴史に学べ」とは言い古された言葉だけど、私たちが偉大なる先人に学ぶべきことの1つはこの「志」じゃないかなぁ・・・・と。  志のあるところに事が成り、その事が歴史として後世に伝わり感動を生む・・・・そういうものじゃないかなと思うんですよね。

    (全文はブログにて)

    0
    2011年12月21日
  • 伝説の名参謀 秋山真之

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    史料を調べて、自分なりに編集すれば、そのまま面白い本が一冊完成する。変に小説風に登場人物に語らせると、その部分だけ陳腐になってしまう。
    それほどこの歴史的事件は物語として面白い出来事だったと改めて感じさせられた。
    そう、小説風な描写のところだけ、邪魔。

    秋山兄弟は我が郷土が誇る有名人。(愛媛県ね)
    自分にも海賊(水軍ね)の血が流れていることは間違いない。

    彼の人生の頂点はやはり「日本海海戦」。これが東海海戦じゃ困る。
    この一戦を持って、命名権を堂々と主張できる。

    読み進むうちに、頭の片隅で「軍艦マーチ」が鳴り響いていた。

    色々な感想を抱くが、「運」とか、「運命」の存在を強く感じざるを得

    0
    2012年07月20日
  • 伝説の名参謀 秋山真之

    Posted by ブクログ

    戦艦『三笠』の艦長・東郷平八郎が、「智謀如湧」と評した名参謀・秋山真之の生涯を綴った歴史小説。

    司馬遼太郎の歴史小説『坂の上の雲』は、秋山兄弟(好古・真之)と正岡子規を主人公として据えた小説であるものの、日露戦争当時の各地の様々な動きや情勢、采配等から、彼ら三人(特に正岡子規は、日露戦争勃発前に死亡)が全く登場せず、彼らを取り巻く、または彼らと深く関係する歴史上の人物が長く登場する、という箇所が多くありました。当時の時代の流れを、敢えて主人公三人の視点・手段に固執することなく、包括的な描写をするためには必要なことだったと思います。
    本作は、それとは異なり、題名の通り『秋山真之』の、特に参謀と

    0
    2011年06月20日

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