企業分析系の書籍で、「キーエンス解剖 最強企業のメカニズム」ぶりの良書。
ユニクロだからできる...というものではなく、学びが豊富に詰まっていた。
▼ユニクロの強さの本質
・ユニクロの強さの根源は、パーパスドリブンで、変革を求め、硬直させない人材・組織戦略があること。
変化の激しい時代なので、短期間での目標・戦略・戦術は変わる。しかしPURPOSEは目指すべき方向であり、普遍の羅針盤なので大事にすることで、人も戦略も導きやすくなる。
それは採用力を増し、顧客を引き付け、従業員のパワーも生む。
・戦略面で言えば、ぶつ切りやバラバラではなく、戦略同士が有機的に連動しているストーリーを持ちっている。
(商品戦略、デジタル戦略、DX戦略、国内営業戦略、海外戦略、サステナビリティ戦略、人材戦略、組織戦略)
▼商品戦略
・常識を変える市場を作り出すことで、高い利益率を生み出す
・消費者の未充足ニーズを突き詰める
▼DX戦略
・デジタル技術を導入するのではなく、ビジネスモデルそのものを変革したり、個々要素を合算して価値向上や問題解決できる取り組みこそがDX
・すべての戦略を勘ではなく、情報を頼りにするための情報収集→発信設計もDXの大本命
・企業のDX戦略はどんなバリューを事業に提供するのかを言語化しなければいけない
▼営業戦略
・究極の個店経営。戦略があっているかを常に把握。在庫と戦略を照らし合わせる。データ管理で戦略を変える
・部門担当性があり、各売り場に責任者がいる。単なる仕事の分担ではなく、究極を目指させる。
・主役はスタッフであり、スタッフも経営者。しかしいきなりスタッフに経営者になれというのも難しいので、スタッフコンベディションなどの場を設ける
・店長の最重要な役割はコミュニケーション→人を動かす。
▼人材・組織戦略
・朝令朝改(朝令暮改より更に早い)のジェットコースター経営。つねに揺さぶることで、大企業病に陥らず、成長を求める状況にする。
・3倍の法則。過去の延長からでは考えられない3倍変革をなしたものはリーダーに抜擢する。変革できない人は淘汰する。
・ユニクロでは、決まった時期に組織改編したり、人事異動する文化はない。組織と人を固定化すれば、業務は円滑に周り効率化も捗る。しかし、そこには変革は生まれないし、3倍も生まれにくい。
組織の固定化を防ぐために、組織改編が頻繁に行われ、部署統合したり、分割する変更がよくある。
・責任者などの役職者についても、「一国一城の主」になり、業績が良い時期に勘違いした気持ちよさに溺れ、変革しなくなる。3年以内にプロパーの後継者をつくることは当然であり、育てられなければ経営者失格となる。
組織も人も固定されることなく、常に「揺さぶられ」続けることによって、変革が組織文化に根付く。
・フラクタル組織として、全幹部の考え方や行動原理が一緒でる組織を目指す。
(フラクタル組織とは)組織のどのレベルでも全体と同じような自己相似の意思決定ができる、自律分散型の組織。親会社の役員と子会社の現場スタッフの意思決定や行動が同じレベルでできること。違うのは役割や守備範囲だけ。
中央集権的な階層型組織とは違い、迅速かつ企業ベクトルを同じ方向に向かせられる。
部分を拡大しても全体と同じパターンが見られる自然界のフラクタル構造に例えられる。
史上最強の組織はアメリカ海兵隊であり、どこの階層で分断されても、各部隊が自律的に機能するフラクタル組織の象徴である。
・各部門での教育力の徹底。事業や組織が成長すると、新しく入ってくる人材や既存社員に対する教育の質と量は低下していく。
ユニクロでは、各部門担当の執行役員が責任をもって教育を行う。一般的な企業では人事部の役割だが、執行役員が責任者・リーダーとなって、人を育てる仕組みを磨き続けたほうが現場にあったものが発揮される&現場の緊張感もでる。
明確なミッションなので、教育の改善が行われ、硬直した組織にならない。資料も各部門ごとのオリジナル。
・教育プログラムは体系化してつくられる。「業務の流れがどうなっているのか」「それぞれに求められるスキルはなにか」「キャリアステージ別にできないといけないこと」などを整理して、今できていないことを常に教育する。
・執行役員の業績評価を、「利益変化50%育成責任50%」としている。
▼柳井さんの名言やユニクロを象徴する言葉
「計画1割、実行9割」
「10回新しいことを始めれば9回は失敗する」
「失敗に学ぶことと、リカバリーのスピード。失敗を認め、すぐに修正する」
「人生でいちばん悔いが残るのは、挑戦しなかったこと」
「やってみないとわからない。行動してみないとわからない。行動して、考えて修正すればいい」