作品一覧

  • 世界終末戦争(上)
    完結

    世界終末戦争

    小説・文芸

    4.0
    全2巻1,507~1,573円 (税込)
    十九世紀末,ブラジル北東部の最貧地帯に現れたキリストの再来をおもわせるコンセリェイロ(「教えを説く人」)およびその使徒たちと,彼らを殲滅しようとする中央政府軍の死闘を描く,円熟の巨篇.ブラジルで実際に起きた「カヌードスの反乱」をモチーフにした,バルガス=リョサ畢生の超大作.(全二冊)

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  • 密林の語り部

    密林の語り部

    小説・文芸

    4.1
    1巻1,100円 (税込)
    都会を捨て、アマゾンの密林の中で未開部族の「語り部」として転生する一人のユダヤ人青年……。インディオの生活や信条、文明が侵すことのできない未開の人々の心の砦を描きながら、「物語る」という行為のもっとも始原的な形である語り部の姿を通して、われわれにとって「物語」とはどのような意味を持つのかを問う傑作。
  • ラ・カテドラルでの対話 (上)

    ラ・カテドラルでの対話

    小説・文芸

    4.8
    1~2巻1,430~1,573円 (税込)
    独裁者批判,ブルジョアジー批判,父と子の確執,同性愛――.居酒屋ラ・カテドラルにおける二人の人物の会話をとおして,独裁政権下ペルーの腐敗しきった社会の現実を描く初期の代表作.「これまでに書いたすべての作品の中から一冊だけ,火事場から救い出せるのだとしたら,私はこの作品を救い出すだろう」(バルガス=リョサ).(全二冊)

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ユーザーレビュー

  • ラ・カテドラルでの対話 (下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    下巻の最初の場面は1958年。オドリア政権が1948〜1956年なのでその2年後。上巻最後の場面のカヨ・ベルムーデス失脚から数年経っている。
    今の大統領はマヌエル・プラード。新聞社に勤めているサンティアーゴの元に「昔の酒場で大人気だった歌姫(ムーサ)が刺殺された」という知らせに取材に行く。世間からは彼女が「カヨ・ベルムーデスの愛人だったオルテンシア」だったことも忘れかけられている。ベルムーデスの失脚後、贅沢暮らしと高慢な態度が身についてしまって手を差し伸べる人も少なく、娼婦めいたことで暮らしていたらしい。サンティアーゴは、オルテンシアと同性愛と言われているケタに取材に行く。
     そこで、サンティアーゴもびっくり、読者もびっくりの情報が!
    オルテンシアを殺させたのは、<金の玉>と渾名されるサンティアーゴの父のフェルミン・サバラで、実行犯は「あいつのおかま相手の黒人運転手。」というのだ。
    つまり、フェルミン・サバラとアンブローシオは同性愛関係で、そのことをオルテンシアが恐喝していたので殺させたと言うのだ、ええ、そういう話に行くのか!
    (最初に読んだときに「金の玉」って腐敗資産家の意味かと思って「他に翻訳なかったのか!?」と思ったんだけど、もしかして同性愛下半身も揶揄してる??)
    サンティアーゴがショックを受けたのは、「父が同性愛者だってことを自分たち家族以外に国中が知っていたんだ!」
    実家から距離をおいているサンティアーゴだが、さすがに父に連絡を取り「…なんか噂でさ、アンブローシオが犯人で、ちょっと父さんの名前も出てたから気になって…」とか伝える。
    フェルミン・サバラは表面的には平気な顔をして「それより家に帰ってこい。援助させてくれ。お前のことが心配だ」と強調する。
    とりあえず数日後にサンティアーゴが食事と一応の一家和解のために実家を訪ねたら、アンブローシオは退職していなくなっていた。
    気が重くなるサンティアーゴ。父がアンブローシオを逃がしたんだろう、するとやはり刺殺に関係があるんだろうなあ。
    小説の書き方として、サンティアーゴが「新聞社の先輩で今はアル中入院中のカルトーリスに話しかけている」文章が差し込まれていたんですが、どうやらこの「父の黒い噂」を聞いた時に偶然であって悩みを聞いてくれたのがこのカルトーリスだった。そこで信頼できる相手として、アル中になっても見舞いに行ってるんですね。

    【クーデター失敗?】
    場面は、サンティアーゴが大学で逮捕され、保釈されてから数年後に戻ったっぽい。
    カヨ・ベルムーデスをオドリア政権に紹介したエスピーナ将軍がクーデターを起こして失敗した??政治の混乱、それによりベルムーデスが内務大臣に昇格したこと(今までは閣僚クラス)、フェルミン・サバラが利ざやを得ていた特権が剥奪され資金難になったことが語られる。(サンティアーゴがオルテンシア殺害を確認しに行ったときには「資金は大幅になくしたが、援助はできる」って感じだった)

    【カヨ・ベルムーデス失脚を詳しく】
    前巻終盤に書かれた「カヨ・ベルムーデス失脚」の市立劇場での暴動の様子が書かれる。
    オドリア政権に対立する連立グループが、市立劇場で集会を行うことになった。ベルムーデスはそれを政府支持集会に乗っ取るための人員動員を指図していた。そして先導者として、アンブローシアの元同僚たち秘密警察たちと、アンブローシオの父であるトリフルシオも差し向けられていた。
    しかし動員人数が集まっていない。連絡がうまく行かなかったのか、わざと無視されたのか?(時系列混じってるこの小説は一度読んだだけでは分からない…)
    そして秘密警察やトリフルシオたちの扇動は大失敗して袋叩きに合いトリフルシオは死ぬ。
    …この事件の記述は、生き残って帰ってきたアンブローシオの同僚が彼に酷い経験を話して聞かせる形式です。しかしトリフルシオの名前は知らなかったので「あの黒人が叩き殺されるのを見た」くらいの報告になっている。果たしてアンブローシオは、その殺された黒人が自分の父だって分かったのだろうか?
    暴動は街中に広がり、オドリア政権幹部と軍隊はカヨ・ベルムーデスを首にして外国に追い出すことで手を打つことにする。
    それで、オリテンシアが置いていかれて、フェルミン・サバラを恐喝して、殺された事件につながっていくんですね。

    【そのころアマーリアは】
    オルテンシアは贅沢暮らしを続けたがどんどん転落していく。アマーリアは唯一の女中として側にいた。このころフェルミン・サバラを恐喝していて、お金を運んでいたのがアンブローシオだった。アマーリアは妊娠して、オルテンシアとその同性愛相手のケタから助けてもらいながら暮らしている。そして出産してオルテンシアに連絡しようとしたら彼女が殺されたことを知る。さらに自分が「オルテンシア刺殺当日に姿を消した女中」として容疑者第一号になっているという。
    現在の私達なら「入院記録、出産記録もあるんだから、警察に出頭して説明する」という選択肢もあるけど、この当時のペルーで、女中階級のアマーリアの説明が聞いてもらえる可能性はものすごっく低い。問答無用で犯人にされたり酷い目に合ったりする可能性のほうが高い、と怯えるアマーリア。

    そこへアンブローシオが姿を表して「三人で田舎で暮らそう」と連れ出したのだった。しかしそれはアマーリアにとってまったく心が弾まない決断だった。

    【時系列整理!】
    市立劇場からの暴動でカヨ・ベルムーデス失脚。
    ⇒困窮したオルテンシアがフェルミン・サバラを恐喝する。
    ⇒アマーリアが妊娠する。
    ⇒アンブローシオがオルテンシアを刺殺する。
    ⇒出産から戻ったアマーリアが、自分が容疑者だと知る。
    ⇒サンティアーゴが父に「刺殺事件で、アンブローシオと父さんの名前が」と告げる。
    ⇒アンブローシオがサバラ家を退職。
    ⇒アンブローシオと、アマーリアは、赤ちゃんのアマーリア・オルテンシアを連れて田舎に隠れ住むことにする。
    ⇒実家を訪れたサンティアーゴは、アンブローシオがいなくなっているので「やっぱり父さんが口止めのために追い出したんだ」と考える。

    【悪役(?)たちにも…】
    フェルミン・サバラやカヨ・ベルムーデスは金と権力の悪の象徴のような存在で、作者は彼らを全く褒めてないはずなんですけど「彼らにも彼らのモラルがあるよね?」って混乱するんです。。
    フェルミン・サバラは政治も他の人の暮らしもどうでも良くて、自分たちの資産のために政治家に献金して地位を築いた象徴人物なんだけど、サンティアーゴたち家族に対しては純粋に父親としての愛情を表明し続けている。
    カヨ・ベルムーデスは妻と愛人にはあの仕打ちなのに、性的なことにわりと公平なのかというところが見られる。
    他の人が「フェルミン・サバラを落とすには彼の性癖(同性愛)を使えばいい」と言うがカヨは「それはダメ」という。その手段を使うのは彼にとってフェアではないのかな?
    また、ある実業家が身柄拘束されて、その美人妻が決死で夫の釈放と海外逃亡の交渉に来た時に、身体を要求したかのように受け取れる事を言うんだけど、実際にはその実業家が愛人と散財してることを妻に知らせた上で、二人の海外逃亡を見逃したのでした。夫の釈放のために身体を張ろうとする妻に、夫の本性を見せてやったのは、ある意味親切な気もする。
    さらにカヨが二人のダンサー(そのうち一人はケタ)を呼びつけて裸でダンスを要求したときには「やっぱりこういう野郎だったか」と思ったんだが、カヨはオルテンシアの同性愛相手を探しに来ていたらしい。女性同士の行為を見るのが好きなのかな(-_-;) なんか性的なことには不思議な感覚を持ってるなーー。
    (なお、彼のモデルとなったペルー内務大臣アレハンドロ・エスパルザ・サニャルトゥは女性への参政権を付与したらしい)

    【アンブローシオとフェルミン・サバラの同性愛関係】
    アンブローシオは暴力仕事もするのだが、立場が強い相手が強く出てこられると弱腰になってしまう性質がある。
    アンブローシオがカヨ・ベルムーデスの運転手をしていた時、フェルミン・サバラが彼を見て気がついたらしい。この黒人は自分の相手なるし、抵抗もしない。
    それをカヨ・ベルムーデスが察知して、運転手として譲った形だったらしい。
    ということは、「同性愛関係」とはいっても恋人とかではなくて、立場が上のフェルミンが、心身大変なときに「本当の自分でいさせてくれ!」と、行為の相手をさせたのですね。アンブローシオにとっては望まない性行為だっただろうけれど、それはそれとして「旦那さんは紳士なんです」と慕って庇っていて、殺人までしてしまう。なんかアンブローシオも複雑だ。
    そして小説内では、アンブローシオがフェルミン・サバラに例えばカヨ・ベルムーデスのことを「こんなことがあったんですよ、旦那さん」という感じで説明する描写がある(それによって読者も知る)。この会話の実際の状況は、フェルミン・サバラの別宅で、同性愛行為の前にリラックスするための会話だったのか…!…もしこの小説を読み返すことがあったらアンブローシオの「旦那さん」って語りかけの場面では「行為直前か…」って考えてしまいそう…(-_-;)

    【オルテンシア刺殺のこと】
    アンブローシオがオルテンシアを殺したことは間違いなさそう。しかしフェルミン・サバラの命令かどうかは不明。アンブローシオは「旦那さんのためにやった。自分だけで決めた」ようなことを言っている。

    【アンブローシオとアマーリア】
    フェルミン・サバラはまとまったお金を渡してアンブローシオを田舎にいかせた。アンブローシオ、アマーリア、赤ちゃんのアマーリア・オルテンシアの新生活が始まる。
    女中とはいえリマ出身のアマーリアは、虫だらけの汚い家に馴染めなかったが一年もするとすっかり馴染んできた。しかしアンブローシオは相変わらず強い相手から強く出られると弱気になってしまってやっぱり仕事はうまく行かない。
    アマーリアはまた妊娠して妊娠後期に病院に担ぎ込まれるが、母子ともに亡くなった。
    アンブローシオはこっそりリマに帰る。身分証明書がないのでその日暮らしの仕事だ。

    【サンティアーゴの結婚】
    サンティアーゴはたまに実家に顔を出して夕食を食べていく習慣になっていた。兄のチスパスも、妹テテも大人になっていく。皆は自分を歓迎する。だが自分は外見は白人でも中身はチョロ(白人とインディオの混血)になったかのように、この家とは馴染まない思いを深めるばかりだった。
    ある時サンティアーゴは取材に行ったときに交通事故に合って入院した。そこでインディオ系の看護師アナと知り合う。退院してから交際へ繋がるが、サンティアーゴはその関係を秘密にしていた。
    アナは妊娠し、サンティアーゴは堕胎を進める。関係はこれで終わるかと思われた。しかし彼女から堕胎の知らせを聞いた時、彼女の元に駆けつけてプロポーズした。だがこれも極秘結婚。
    やがてサンティアーゴは実家にアナを連れて行かざるを得なくなるが、母親のソイラ夫人が「女中階級の女なんかが(上流階級である)うちの息子をたぶらかすとは!」と騒ぎぶち壊しに。
    兄のチスパス、妹のテテと婚約者ポパイはその後もサンティアーゴとの付き合いを望むがうまくはいかない。
    サンティアーゴはポパイとテテの結婚パーティに呼ばれるが、玄関のところで引き返す。自分はこの世界の住人ではない。

    【みんなのその後】
    フェルミン・サバラは発作で死んだ。(オルテンシアからの「告発」手紙でショックを受けた?)
    カヨ・ベルムーデスは亡命先で暮らし、たまにこっそりとペルーに戻ってもいる。
    サンティアーゴとアナは、ソイラ夫人とも穏やかな関係を築けるようになり、実家とは適度な距離を保ってやれるようになった。
    アンブローシオはリマで日銭を稼いで生きていくのだろう。<ここで、あそこで、そしてその後は、そうですね、その後はもう死ぬのではないだろうか、ちがいますかね坊っちゃん?(P523)>

    ===
    ペルーが政治的にも社会的にも大きく動いている時代に、政治はわからないが自分の利益のためには動く政治家や実業家たちが国を動かしている。そんな世の中に、上級社会から逃げ出した(けれども未だに自分探し中)のサンティアーゴ、使用人階級のアンブローシオとアマーリアは、時には助けられ、時には生活や心情に苦しむ。
    まさにペルーの都会も田舎も、上層部も使用人や労働者も、政権争いにその日暮らしに、民族も生活も小説の形式もごったまぜでペルーまるごと隅から隅まで書いている(のだと思う)。このごった煮感はペルーなのだろうし、それをごった煮の形式で小説にしているんだから凄いよなあ。

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    2026年07月31日
  • ラ・カテドラルでの対話 (上)

    Posted by ブクログ

    いつだめになってしまったのだろう?ペルーも、自分も。
    新聞社説担当サンティアーゴ・サバラ(サバリータ)は考える。
    家に帰ったら妻が「犬を散歩させていたら、野良犬収容係員に強奪されてしまったの」と泣く。怒ったサンティアーゴが収容所に乗り込むが係員は「この不景気で、狂犬病対策として犬を収容して歩合制で小銭を稼ぐ仕事に就かざるをえないんですよ。係員の中には人が抱っこしている犬を取り上げる、人の家の庭に乗り込んで繋がれている犬の紐を切って連れていく連中もいますよ。あなたは記者なんでしょ?社会のための仕事がこの低賃金で押し付けられています。人間に権利なんてあるんですかね?この問題を取り上げてくださいよ」などと言われる。
    そしてサンティアーゴは昔知っていたアンブローシオというサンボ(黒人と先住民の混血)と再会し、二人はラ・カテドラルという労働者向け安居酒屋に入る。どうやらサンティアーゴは上流階級出身だがそんな暮らしを嫌がり家を出た。そして父にはサンティアーゴも知らない「何か」があり、それをアンブローシオは知っているようなのだ。サンティアーゴはアンブローシオに「一体何があったんだ。なあ、間抜けのフリは辞めてくれ。父のせいなのか?父がやったのか?」と問う。

    本書の現実的な時間は、サンティアーゴとアンブローシオがラ・カテドラルで過ごした4時間。そこで彼らがどのように生きてきたのかが、ペルーの政権不安や革命、反体制運動などを背景に語られていく。

    しかしバルガス=リョサなので、二人の会話の合間にどちらかが当時を思い出してそこから話が広がっていくのだが、一つの文章ごとに時間が生きつ戻りつ広がりつつ、誰と誰の会話かは分かってもそれがいつの会話かは読み進めないと分からない、心情とセリフと客観的描写が入り乱れる、という手法。これでもちゃんと読めるし分かるんだから凄いよなあ。私の「バルガス=リョサを読む時に活性化する脳細胞」が活性化してきました・笑

    以下、メモ取らないと理由わからなくなるので書き留めまくってやたらに長いです(^_^;)

    【登場人物】
    ◆人種の呼び名。
    ・インディオ:混血がある・なしという人種区別よりも、スペイン語以外の先住民言語を話し伝統を受け継いで生活しているという文化的な区別として呼ばれる。
    ・メソティソ:インデオと白人の混血。または混血ある・なしに関わらず、都市部に住んでスペイン語を話して都会的生活を送る混血者はインディオではなくメソティソと見做される。
    ・チョラ、チョロ:インディオと白人の混血の女、男。メソティソと同じ意味だが多少の侮蔑が含まれるが、仲間内の親しみとして使うこともある。
    ・サンボ:黒人とインディオの混血
    ・ムラート:白人と黒人の混血
    ・ネグラ、ネグロ:黒人の女、男
    ・セラーノ:アンデスの山間出身者を「田舎モン」と揶揄するニュアンス

    ◆政治家、党派
    ・ベナビデス将軍・大統領(実在人物/1933年〜39年)
    ・ブスマンテ大統領(実在人物/1945年〜48年):上流階級出身で、外交官から大統領になった。
    ・オドリア将軍・大統領(実在人物/1948年〜56年):チョロ(先住民との混血)の軍人。大統領ブスタマンテに対してクーデターを起こした。作中のフェルミン・サバラや、ドン・カヨはこの派閥。アプラ党を取り締まる。
    ・ベラウンデ(実在人物/1963年〜68年):作中では、カヨ・ベルムーデス失脚後に大統領になっていることが明かされる。
    ・アプラ党:1924年に結党された「アメリカ革命人民同盟」。暴力革命も肯定している。その時時の政権に弾圧される。
    ・カウイデ:共産党地下組織と、ホセ・カルロス・マリアテギ設立のペルー社会党
    サンティアーゴの大学政治活動の時に出てくる名前。アプラ党、カウイデ、社会党組織と接触してデモを実行したのか??

    ◆サバラ家(上流階級。愛称は「サバリータ」)
    ・両親:実業家のフェルミンとソイラ夫妻。オドリア政権派で、成約や建築を受注し、政財界の重鎮となる。
    ・サンティアーゴ:少年時代の渾名は「ヤセッポチ」。学生時代は父に反抗して、カトリック大学ではなく、チェロや中層階急の通うサン・マルコス大学に通った。
    ・テテ:サンティアーゴの妹。後にポパイ・アレバロと結婚。
    ・チスパス:サンティアーゴの兄。元士官候補生から半ヤクザになり、サンティアーゴに変なことを吹き込んだりしていた。その後父の会社で真面目なサラリーマンになった。

    ◆アレバロ家(上流階級)
    ・ポパイ:少年時代の渾名は「ソバカス」。サンティアーゴの幼馴染で彼の妹テテと結婚する。建築士。

    ◆ラ・クロニカ新聞社
    ・バイェホ:編集長
    ・ペリキート:カメラマン
    ・カルリートス:サンティアーゴの新聞社の同僚(先輩)で、サンティアーゴは彼に色々と話をする。後にアル中で入院。

    ◆アンブローシオ
    チンチャ出身の黒人と先住民の混血(サンボ)。
    ドン・カヨの幼馴染で御用聞きみたいなことをした。その後、フェルミン・サバラの運転手になり、「何か」があり長い年月行方不明だった。

    ◆アマーリア
    サバラ家のメイドだったが、ソイラ夫人に解雇される。サンティアーゴとポパイは彼女に欲情して訪ねていったことがある。
    アンブローシオとは内縁の妻のような関係で、子供を残して死んだことが分かる。

    ◆ベルムーデス家
    ・両親:父「禿鷲」、母「信心深いドニャ・カタリーナ」と呼ばれる。禿鷲は人夫出身だが、ベナビデス将軍官僚と組んで財産を作り、チンシャ町長になる。
    ・一人息子:カヨ:アンブローシオと幼馴染だが、父の社会的地位向上により距離が生じる。最初の妻は、黒人女のローサ。この結婚に激怒した父から援助を切られる。この勝手な結婚には、アンブローシオと、学生友達のセラーノが協力していた。ローサは「うまくやった」のだが、年月が経つとどんどん醜くなり夫婦仲も悪くなっている。

    【カヨ・ベルムーデス(ドン・カヨ)がオドリア政権に入る】
    第三章は、カヨ・ベルムーデスが、学生時代の友人セラーノにリマに呼ばれるところから。(「セラーノ」というのは「インディオ系」という呼称で、本名はエスピーナ将軍。)
    セラーノは、ブスタマンテ政権の大臣だったが、オドリアによるクーデター後も大臣を務めている(このあたりの政治の動きはよくわからず…)。そしてカヨ・ベルムーデスをオドリア政権の官僚に推薦した。
    カヨ・ベルムーデスはそのままリマに残り、ローサとは別居。愛人として「オルテンシア」という女性を入れたらしい。
    この後カヨ・ベルムーデスは軍保安部で秘密警察を取り仕切り、アプラ党や共産主義を弾圧していく。<この国は文明国なんかじゃなくて、野蛮な、暗愚の国なんだ。(P241)>
    だが彼には政治主張は無く、ただ役割としての弾圧を敷いているのだった。
    そしてサンティアーゴの父、フェルミン・サバラも政治主義ではなく商業価値としてオドリア政権と親しくなっていく。

    【サンティアーゴの逮捕】
    そしてそのころ、サンティアーゴはサン・マルコス大学の同級生のアイーダやハコーボと仲良くなり、学校内の政治勉強会(共産主義、労働者階級のための闘争、マルクス主義など)に参加する。
    サンティアーゴは上流階級の学校を避けて庶民や混血たちのいる学校に入ったのだが、政治や本の話をする時に、教授も、学生も、意欲が無いこと気が付き、「チョロ(混血。社会的に地位が低い人たちを示していると思う)の連中も金持ち坊っちゃんたちと同じだった」と感じる。活動仲間は「安月給で働く教授たち、地位の低い階級の学生たちが世の中に無関心なのは体制が悪い。だから教えてやらなければ。」というのだが、サンティアーゴ自身は本気で共産主義もアプラ党支持にもなりきれない。
    そんなサン・マルコス大学活動ブループが労働者デモを呼びかけ、結構大きな事になった、のかな。そこへカヨ・ベルムーデスが軍隊を入れて大学を占拠し、政治活動グループを逮捕した。その中にサンティアーゴもいた。
    彼は、父のフェルミン・サバラがカヨ・ベルムーデスに頼んだため釈放された。
    フェルミンは息子のサンティアーゴが自分に反抗しても青春の寄り道として期待して応援していた。しかしサンディアーゴは家出同然で独立し、大学も辞めて新聞社に勤めるのだった。(彼の階級では人に使われる人生というのは脱落となってしまう)
    なお、この大学占拠と学生逮捕にサンティアーゴは一種の責任を感じていたのだが、実はカヨ・ベルムーデスが、フェルミン・サバラを警戒して盗聴などを行っていたところ、息子のサンティアーゴのデモ計画を知って襲撃した、ということをアンブローシオから聞かされる。

    【父と息子の関係】
    うまく行かない二組の父と息子が出てくる。禿鷲とカヨのベルムーデス親子、上流階級実業家フェルミンと反抗するサンティアーゴのサバラ親子。
    両方を知っているのがアンブローシオ。ラ・カテドラルでは「旦那さん(フェルミン)は坊っちゃんを心配して、こっそり様子を見に行っていたんですよ」「父は主張のない商業主義者で憎らしい俗物さ」なんて話も差し込まれる。ずっと昔、アンブローシオがフェルミン・サバラにベルムーデスの話をした時は「旦那さんは、禿鷲とドン・カヨの話をしていながら、ご自身とサンティアーゴ坊っちゃんの話をしているのでは?」なんて考えている。
    ただサンティアーゴ自身もオドリア独裁政権には大反対でだが、他の党派に賛同しきれない気持ちも抱えている。
    フェルミンの言う<仕事をしている人間がみんな手を引いてしまって、政治家だけに政治を任せてしまったら、国はむちゃくちゃになってしまいますから。(P261)>は、「政治理念のない素人が首を突っ込むことの危険」もあるけれども「政治プロだけが国を動かす危険回避」って意味ではそうだよなあとは思うんだけどさ。

    【そのころアマーリアは?】
    アマーリアはトリニダーというアプラ党員で工場勤務の男と付き合っていた。彼は以前逮捕歴があり心の傷となっているらしい。アマーリアは妊娠するが、トリニダーはアプラ党の活動でしょっちゅう出かけるし、心の傷だといって働かない。
    だがトリニダーが死んで判明したのは、彼はアプラ党員何かではなかったということ。彼が「党員仲間」と言っていた男が言うには「彼はアプラ党員と間違われて逮捕されたことがあり、それ以来似非のアプラ党員を名乗っていた。彼が党活動って言っていたのは、俺達と飲んでいただけ」だという。
    えええ。これって精神医学的に「トラウマから、余計に自分を傷つけようとする」って病症が実際にありそうですね。
    トリニダーは、カヨ・ベルムーデス配下の秘密警察にやられたことが分かるのだが、アンブローシオはその秘密警察の運転手になる。(そしてフェルミナン・サバラの運転手に転職したようなんだけど、「いつ」なのかがよくわからない…)

    【アンブローシオの両親】
    アンブローシオの父トリフルシオは刑務所に入っていた。釈放されてからは、農場主でオドリア派議員アレバロの元で働く。オドリア派の選挙不正とかが書かれます。
    母はトマサという田舎のネグラ(黒人女)。


    【アンブローシオとアマーリア】
    カヨ・ベルムーデスは、オルテンシア(歌姫という意味の「ムーサ」とも呼ばれている)いう歌手?ダンサー?水商売?の女を愛人にして家を与えている。多くの男を夢中にさせた美女で、同性愛の傾向もあるらしい。
    アンブローシオは、一人になり生活に困っているアマーリアにこっそりと「オルテンシアのところで女中を募集している。だが絶対に俺の名前は出すな。カヨが邪魔するから。」と言って紹介した。
    どうやらこの後アンブローシオとアマーリアの間に娘が生まれるのだが、彼女が「オルテンシア・アマーリア」と名付けられるらしい。

    【カヨ・ベルムーデス失脚】
    カヨ・ベルムーデスに監視されるようになったフェルミン・サバラは、カヨを政権に推薦したエスピーナ将軍(セラーノ)、オドリア大統領の甥パレーデス大尉たちと「反体制連立グループ」を組んだ??(フェルミンがいろいろな人と接触したり離れたり、カヨがいろんな人と組んだり監視したりの場面が入り組んでいるので、誰が味方で誰が敵で誰がそんな政治主張かわからなくなっている…。なおカヨがフェルミンを監視していたのは連立グループ入りを察知されたからで、結果としてサンティアーゴの大学が占拠された。)
    そして市立劇場での反体制政治家による集会を、カヨたちが妨害しようとしたりして、実際に行われた集会には襲撃者が乱入したこともあり大騒動に。カヨは軍隊で鎮圧しようとするが、市民グループも蜂起して「革命」に近い状態になる。カヨは辞任せざるを得なくなり外国に亡命し、それまで贅沢に暮らしていたオルテンシアは置いていかれた。
    フェルミン・サバラは身の危険を感じて姿を隠す。
    現時点での政権
    ・オドリア政権は、共産党や反対者は弾圧したが、公共事業などには力を入れて独裁を正当化した。
    ・フェルミン・サバラのような実業家は政治家と癒着した。
    ・フェルミンたちの「連立グループ」は、カヨの弾圧から身と財産を守るためのクーデターみたいなもの?
    ・多分連立グループを組んだのは、カヨにより失脚しかけている政治家、富裕層、政治家と癒着して財産を得ている実業家たち。

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    2026年07月31日
  • 密林の語り部

    Posted by ブクログ

    自分の運命をないがしろにして、だれがより清らかで、より幸福になれるだろう?だれにもそんなことはできないことだ。私たちはあるべきものになるのがよい。ほかの決まりを果たそうとして、自分の義務を放棄すれば、魂を失う。

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    2026年02月16日
  • 密林の語り部

    Posted by ブクログ

    文明と自然との関係がどうあるべきかを問うた作品である。相変わらず、バルガス=ジョサの採った構成は、実験的であり、記述的なな文章と物語的な文章とが繰り返されていく。文明が自然に対して傲岸にその野蛮、未開を啓蒙して、利用してやろうという態度を採ることなく、その世界観を保存し、理解しようとしたら、どういう帰結を迎えることになるか。その答えがこの小説のなかにある。

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    2026年01月13日
  • ラ・カテドラルでの対話 (下)

    Posted by ブクログ

    圧倒的な筆力で書かれた20世紀文学の集大成。下巻では、ペルー社会の腐敗がえぐり出されていく。独裁政権が張り巡らせる権謀術数のもと、勝者と敗者とに分かれていく。そのなかで弱い立場の人間ほど、悲惨な結末をたどっていくし、強い立場の者には、敗れても、それなりの地位が残されている。最後、敗れたあとも、サンティアーゴ/サバリータが採った態度は"一寸の虫にも五分の魂"を示すものであり、そこに微かに人間の気高さに対する期待が残される。

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    2025年11月09日

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