以前、他の本の感想でも書いた記憶がありますが、文章を書く際に迷うのが、「だ・である調」か、「です・ます調」か、という点。
前者では、淡白な表現になりがちで、後者では、「です」で終わることの多いこと多いこと。
文字通り、日本語について回るこの文末の表現は、歴史的観点から見ても、多くのライターを悩ませ
...続きを読む、「文豪」と呼ばれるスペシャリストは、エレガントにこれを解決してきました。
この本では、そんな文末に着目し、単調になりがちな結びの部分を、有名作家たちがどう解決しているかを、構造から読み解く作りとなっており、ただ名文を眺めて感慨に浸るのではなく、使いこなせるようにすることを目指しています。
そのため、内容としては新書でありながらも、かなりハードな部類。
読んでみると、学生時代に習ったこともありながらも、いざ自分が使うとなると、なかなか乗りこなせない、暴れ馬のような表現技巧の数々。
まるでみじん切りのように、文章を分解していく流れは、ことごとく脳の栄養分を消費し、思わず、糖分が欲しくなる…。
それほどまでに、今まで意識して文末表現を使っていなかったことを痛感させられました。
どうしても書き出しに意識が向きすぎて、あとは勢いに任せてざっと書き上げる自分。
そんな私にとって、この本はブレーキをかけてくれるきっかけになったように思います。
(このレビューを書く際に、意図的に「です・ます」で終わらないように意識してみましたが、なかなかに難しいですね。)