大野裕之の作品一覧
「大野裕之」の「京都のおねだん」「チャップリンが見たファシズム 喜劇王の世界旅行 1931-1932」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
エンタメ界に2つの巨星。ディズニーとチャップリン。
この2人の関係性は、想像以上に濃く、そしてドラマチックだった。
全世界で知らない人はほとんどいないだろうという放浪紳士チャーリーとミッキーマウス。
まさか、ミッキーマウスが目指していたものがチャーリーだったとは。
ディズニーの伝記も読んだけど、そこにはそこまでチャップリンに対する事は書かれていなかった気がする。
ディズニーが著作権については恐ろしいほど厳しい、というのは様々な都市伝説とともに一般の人でも知っている。まさかその根源がチャップリンだったとは。
「著作権は絶対に渡しちゃダメだ」という教えを守ったからこそ、今のディズニーがある。
そんな2人を引き裂いたのは、第二次世界大戦。
「独裁者」を作り、平和を訴え続けたチャップリン。
時代の流れに乗り、アニメを軍需産業として危機を乗り切ったディズニー。
ここから両者が実際に交わることは無くなってしまう。
ただ、きっと時代がそうさせたというだけで2人ともお互いの作品を認めないなんてことは絶対になかっただろう。
「チャーリーは私に、最上のコメディにおいて、人は主人公に同情しなければならないということを教えてくれた。主人公の行いに笑う前に、主人公のために涙を流さなくてはいけない、と」
ディズニーがチャップリンから受けたこのアドバイスに、ディズニー作品の真髄が詰まっていると感じ、自分は最も感激した。
この2人の魂は、今も様々な映像の中で生き続けている。
熱い本でした。
Posted by ブクログ
“私は独裁者たちの人生についての喜劇映画を作る。それが、世界中にとても健康的な笑いを生み出すだろうことを望んでいる。”(p.125)チャールズ・チャップリン
わずか4日違いで生まれた、喜劇王チャップリンと独裁者ヒトラー。一見全く違う2人にはある共通点があった。特徴的なちょび髭と、メディアを自在に操る天才的な力である。
チャップリンは全体主義の危険性を、それが形成されつつある初期の段階から見抜いていた。全体主義化に警鐘を鳴らすべく製作に取り掛かった『独裁者』だが、
反ナチス、反ファシズムを題材にした映画の製作に対し、ドイツの同盟国をはじめ多くの国から反対の声が上がる。
そのような状況で自らの信念を曲げずに映画制作を進めたチャップリンの姿が勇ましい。
チャップリンがここまで映画というメディアでの表現に命を燃やしていた人物だったのかということに驚いた。
著者は日本チャップリン協会会長であり、チャップリンが歩んだ経歴や『独裁者』以前の作品でのエピソードなども書かれていてとても読み応えがあった。
Posted by ブクログ
大変面白かった!
今年読んで良かった本ベスト5に入りそう
チャップリンと言えば、言わずとしれた喜劇役者。
でも自分はそれ以上のことを知らない…
この本を読めば、彼がどんな人物だったのか、本当によく分かる
チャップリンというのは単なる喜劇役者ではなかった。
それはあくまで一つの顔。
彼は映画会社を設立し、黒字経営を果たし続けた。
EUの共通通貨に関する提言を、論文という形で表した。
ユダヤ人なのかと問われ、それを答えること自体がナチスの術中にハマっていると答えた。
彼は優れたビジネスマンであり、経済論者であり、人権家だった。
それに、一つ一つのエピソードがとにかくすごい。
75歳で自伝を出版したとき、彼は文献に頼ることなく記憶を頼りに書き上げた。とか。
チャップリンが関わる人物もすごい。
仕事の合間を縫ってアインシュタインに会ったり、産業の機械化についてガンジーと議論したり。
20世紀の大物たちがサラッと登場するのがすごい。
そして20世紀といえば戦争の世紀。
同時代人としてヒトラーについても書かれる。
チャップリンとヒトラーは誕生日が4日違い。
メディア戦略を重視するヒトラーは、その道で成功したチャップリンを敵視。
チャップリンはユダヤ人だとか、本当はユダヤの名前を持っているとか、捏造を行う。
そして、チャップリンもまた、ヒトラーを題材とした映画を製作する。演ずるためにヒトラーを研究したチャップリン。彼いわく、ヒトラーは恐ろしく優れた役者。
そう、ヒトラーの才能は役者だった。民衆を扇動することに長けており、政治的な功績は無いに等しい。
よく言われる功績について。
アウトバーンの建設は前政権から引き継いだもの。雇用改善は数値をいじったもの。
そのように、チャップリンについてだけではなく、20世紀の空気感やヒトラーについても学べる良書だった。
それでいて、文量は多くない。筆者はチャップリン研究に従事する日本人。大変さらさらと読めてしまう。