【感想・ネタバレ】ビジネスと人生に効く 教養としてのチャップリンのレビュー

あらすじ

「いま世界には、新たなチャップリンが必要だ」

――ウクライナ大統領・ゼレンスキー(第75回カンヌ国際映画祭でのスピーチより)

「混迷の世の中を生き抜くために、そして人生を豊かにするためにどうしても必要なこと、
すなわち本当の〈教養〉をチャップリンは授けてくれるのです。
しかも、極上のユーモアを通して」
――「はじめに」より


史上初めて世界的にバズった人物で、
キャラクターの概念を作り出した男。
ウォルト・ディズニーにビジネスを教えた師匠であり、
ヨーロッパの通貨統合、ワークシェアリングを提唱、
すべての作品で利益を上げた名経営者。
100年前に格差社会、同性愛など
今日的テーマを描いたダイバーシティの先駆者にして、
時の独裁者と真っ向から闘った、喜劇王。

=チャールズ・チャップリン!

チャップリンを、「いま」の視点から楽しみつくす格好の入門書!

■目次
はじめに―「チャップリンって生きてるんですか? 人間なんですか?」
第1章:チャップリンの作り方!
「チャップリン」はどうやって生まれた?/チャップリンの作り方その1 母ハンナと極貧の少年時代/その2 大英帝国の舞台修業/その3 1914年のアメリカ/その4 矛盾だらけのコスチューム/その5 公園と警官とかわい子ちゃん/その6 NG、NG、NG……
第2章:謎解きチャップリン映画
チャップリン作品を「読んで」みる/『キッド』―なぜチャーリーは小さくて、警官は大きいのか?/『黄金狂時代』―なぜチャーリーは雪山に行くのか?/『サーカス』―鏡の迷路に迷い込んだのは誰か?/『街の灯』―盲目の少女は最後に何を見たのか?/『モダン・タイムス』―黒い羊一頭で描いた資本主義社会
第3章:チャップリンから学ぶビジネス
エコノミスト・チャップリン/キャラクター・ビジネスの発明/ウォルト・ディズニーとの師弟関係
第4章:チャップリンが予知していた未来
移民―「自由の女神」を見つめる瞳/人種・民族問題―偏見からどうやって逃れるか?/格差社会のリアルその1 薬物をどう描いたか/格差社会のリアルその2 弱者をどう描いたか/多彩なアーティストへの影響/メディア―世界で初めて〝炎上商法〞を描いた/ダイバーシティその1 同性愛のモチーフ/ダイバーシティその2 東洋文化への深い理解/ダイバーシティその3 日本とチャップリン/新興宗教と現代―幻の遺作で描こうとしたもの
第5章:チャップリンVS ヒトラー 武器としての笑い
チャップリンと戦争/ヒトラーとチャップリン/演説―世紀の6分間/チャップリンのアメリカ追放/ラストの演説を聞いているのは誰か?/『独裁者』結びの演説

エンドロールあるいは前座として―再び「チャップリンって生きてるんですか?」

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Posted by ブクログ

大変面白かった!
今年読んで良かった本ベスト5に入りそう

チャップリンと言えば、言わずとしれた喜劇役者。
でも自分はそれ以上のことを知らない…

この本を読めば、彼がどんな人物だったのか、本当によく分かる

チャップリンというのは単なる喜劇役者ではなかった。
それはあくまで一つの顔。

彼は映画会社を設立し、黒字経営を果たし続けた。
EUの共通通貨に関する提言を、論文という形で表した。
ユダヤ人なのかと問われ、それを答えること自体がナチスの術中にハマっていると答えた。

彼は優れたビジネスマンであり、経済論者であり、人権家だった。

それに、一つ一つのエピソードがとにかくすごい。
75歳で自伝を出版したとき、彼は文献に頼ることなく記憶を頼りに書き上げた。とか。

チャップリンが関わる人物もすごい。
仕事の合間を縫ってアインシュタインに会ったり、産業の機械化についてガンジーと議論したり。
20世紀の大物たちがサラッと登場するのがすごい。

そして20世紀といえば戦争の世紀。
同時代人としてヒトラーについても書かれる。

チャップリンとヒトラーは誕生日が4日違い。
メディア戦略を重視するヒトラーは、その道で成功したチャップリンを敵視。
チャップリンはユダヤ人だとか、本当はユダヤの名前を持っているとか、捏造を行う。
そして、チャップリンもまた、ヒトラーを題材とした映画を製作する。演ずるためにヒトラーを研究したチャップリン。彼いわく、ヒトラーは恐ろしく優れた役者。

そう、ヒトラーの才能は役者だった。民衆を扇動することに長けており、政治的な功績は無いに等しい。
よく言われる功績について。
アウトバーンの建設は前政権から引き継いだもの。雇用改善は数値をいじったもの。

そのように、チャップリンについてだけではなく、20世紀の空気感やヒトラーについても学べる良書だった。
それでいて、文量は多くない。筆者はチャップリン研究に従事する日本人。大変さらさらと読めてしまう。

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2023年09月02日

Posted by ブクログ

この本自体が映画のような
ワクワク感に溢れている。
脚本もなく、膨大なロケ素材から
ヒューマニズムに富んだストーリーを
紡ぎだすドキュメンタリー的な
制作スタイル、モダンタイムスの
ラストシーンの意味、
キャラビジネスの創始者としての
顔。驚きの事実の連続。

0
2023年02月05日

Posted by ブクログ

いやー、すごい。
さすが「日本チャップリン協会」会長。
教養どうこうはともかく、
とても勉強になりました。
やや「先見の明」へのこじつけ感がありますが、
それでも納得させられました。
有名な名言ではなく、
もっと深みのある名言もピックアップ。
最後の「独裁者」の演説は文字でも圧巻!
そして愚かなアメリカの追放劇…
とんでもない人だったのですね、チャーリー。

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2024年05月31日

Posted by ブクログ

今まで観てこなかったチャップリンの映画を観てみたくなった。センスとカリスマ性の人だと思ったら貧困層出身の完璧主義の人で学ぶことがたくさんあった。

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2023年02月25日

Posted by ブクログ

チャップリンという偉大な人の出生やどのような偉業を成し遂げたのかがよくわかる本でした。僕がこの本を読むきっかけは天才はいかにして生まれたのかという点です。その点でこの本はチャップリンが産まれてから死ぬまでの歴史を書いていてとても見応えがありました。母ハンナの愛と生まれた頃から劇団や音楽など一流のものを肌で感じ、経験してきたからこそチャップリンという髭とスティックのアイコン、圧倒的な演技力が生まれたと思います。失敗や挫折なども書かれていますが、愛と経験は何にも変え難い素晴らしいものだったと思います。

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2023年02月12日

Posted by ブクログ

著者のチャップリン愛が感じられる一冊。
本物のコメディにはインテリジェンスを感じるのは、やはりチャップリンの手掛けた作品が軸にあるからだ。
悲劇と喜劇は裏表の関係だし、見る人もどこかに自分を投影するから心から笑えるし、笑い飛ばす事で救われる。

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2022年12月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表題はこれでもかと昨今の売れ筋をなぞるそれだが
あまり散見することもなかったこういった領野の研究者のあり方や、チャップリンという特異的な人物についての骨太の内容は、実利的なメリットを追求する必要もないほどには修飾せずとも好奇の滋養に満ちているのは疑いないだろう。

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2022年12月12日

Posted by ブクログ

「Humor over Rumor」という言葉を思い出した。
ユーモアは噂を超越するし、脅威をも凌駕するんだなと。

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2023年08月17日

Posted by ブクログ

名前しか知らなかったが、この本を通じて時代背景や代表作が分かったので作品を実際に見てみたいなと思った。

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2023年03月03日

Posted by ブクログ

映画は見たことがあってもチャップリン自身についてはほとんど知らなかった。この本を読んだ後にはじっくりとチャップリンの映画を見たくなる。

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2023年02月04日

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