牧村康正の作品一覧
「牧村康正」の「「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気」「「仮面」に魅せられた男たち」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
伝説のアニメ『宇宙戦艦ヤマト』を世に送り出し、その他にも『海のトリトン』『ワンサくん』などを企画・製作した伝説のプロデューサー。西崎義展氏の破天荒かつスキャンダラスな生涯を描いたノンフィクションです。
後世のクリエイターたちに多大な影響を与えただけではなく、90年代の日本を震撼させた「オウム真理教」の教義にも重大な影響を与えたアニメ『宇宙戦艦ヤマト』。
実を言うと僕はテレビでの再放送で断片的にしか見たことはなく、その影響下にはほとんどありませんが(中高の同級生だったN君が「ヤマト馬鹿」であったことを思い出した)、日本サブカルチャー史における「ヤマト」の重要性は認識しております。
本書はその「ヤマト」シリーズを世に送り出した伝説のプロデューサーである西崎義展氏の破天荒かつスキャンダラスな生涯を描いたノンフィクションです。
僕が西崎氏のことを知るキッカケになったのは「オタキング」こと岡田斗司夫氏の『遺言』(筑摩書房)を読んだことで、西崎氏と岡田氏のスリリングなやりとりが印象に残っていたからでした。それを踏まえた上で本書を読んでみて、西崎氏の破天荒かつスキャンダラスな生涯と、自らの手がける仕事についてはタイトルどおり「狂気」が全身から湧き出るようなすさまじさに最後まで圧倒されてしまいました。
西崎氏は東京府東京市小石川区原町(現・東京都文京区白山)の名門家庭に生まれるも、それに反発して流浪の果てに芸能界を経てアニメの世界に入るわけで、アニメ界のレジェンドたち―手塚治虫から富野由悠季をはじめとするそうそうたる面々や、仕事上で付き合いのあった人々が深い相克と愛憎をもって西崎氏のことを語る様子に衝撃を受けましたが、彼らの証言を挟みつつ、金と女とスキャンダルにまみれたその人生に迫っていくのです。
「ヤマト」が大ヒットした後も権利関係で原作者である松本零士氏をはじめとする関係者たちと泥沼の抗争を繰り広げ、自らも覚醒剤や武器の不法所持などで塀の中への生活を余儀なくするまで転落してしまうのでした。
そんな西崎氏に「華麗なる復活」を果させるのもまた「ヤマト」であり、2009年に公開された劇場用アニメーション映画『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』を壮絶な現場で完成に持っていくわけですが、後半のハイライトは是非手に取って読んでいただきたいです。
しかし、西崎氏は遊泳のため訪れていた小笠原・父島で船上から海へ転落し、2010年(平成22年)11月7日、午後2時58分、死亡が確認された一報が駆け巡ったときには
「もしや西崎は消されたのではないか。あの男はそれだけの恨みを買っている」
という噂が飛んだとのことです。
そういった声もまた、本書を全て読んだ後だと、
「その一節もさもありなん。」
と納得しているのです。
※追記
本書は2017年12月22日、講談社から『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気 (講談社+α文庫) 』として文庫化されました。
Posted by ブクログ
宇宙戦艦ヤマトの生みの親、同号プロデューサー西崎氏を追ったノンフィクション。「悪党」「人非人」「金と欲望の権化」「天才」「改革者」など、評価は大きく分かれる。「一将功成りて万骨枯る」を地で行き、しゃぶり尽くされて捨てられた人も少なくないという。覚醒剤と銃刀法違反で収監され、自己破産したのちも、やはりヤマトで一発当てて、即クルーザーを購入するよう男。本のタイトルにあるように「狂気」を持ってたんだろうなあ。こういう人とは付き合いたくないが、一方で、こういう人でないとあのヤマト(リアル感や音楽。今でもテーマ曲には心踊らされる)はできなかったのだろう。世の中を変えるような起業家も、ある意味狂気の持ち主である。この本を書いてくれた牧村氏にも感謝。
Posted by ブクログ
西崎氏とは一度会ったことがある。私が駆け出しの銀行員だった頃、同じ支店の先輩がなぜか「一度会わせてやる」と言い出して氏と会わせてくれた。本書を読むとJAVNを設立、運営していた頃だろうか。背の高い、押出しのよい人だった。西崎氏の生年を確認すると私より28歳上。
「銀行でスペイン語を習わされています」というと、
「そうか英語ができないのか」と言われたことを覚えている。
「いえ、英語はもうできるのでスペイン語を習わされています」と応じるとちょっと恥ずかしそうに下を向いたのを覚えている。
この本で何度も触れられている通り、「傲岸で自分勝手な判断をする、しかし純粋な」、人だったと思う。
ヤマトを除いて西崎氏の名を見たのは石原慎太郎氏の著作「わが人生の時」だったと思う。その本の中で、
「小笠原諸島のさらに先に洋上にブイがうかんでいる。近くに陸も無くそのブイの下のわずかな日陰を求めて魚が柱を作っている」という話を西崎氏から聞き、実際に西崎氏のクルーザーでその光景を見に行った、という話だったと思う。
西崎氏と創価学会/民音に深いかかわりあったことも初めて知った。
本当にこんな人はいない。