本書に書いていることが、沖縄の実態なのかを知るために
もっと、著者の事は知るべきと思い本書を手に取った。
沖縄の基地問題に対する批判の部分もあれば、
著者は元米軍基地の在沖米海兵隊政務外交部次長だった経歴があることで、
内部の実情をよく把握していると本書では感じるが、米軍寄りの発言も確かにある。
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例えば、「米軍関係の善行は報道されない」という事実。
2015年1月に起きた、高齢者が自転車ごと海に転落したところを
米海兵隊員が救出したことを報道しない沖縄のマスコミは偏向報道だと言う。
また、2011年3月16日に行った、大震災で「トモダチ作戦」という救出活動を行った。
延べ24000人の将兵、190機の航空機、24隻の艦艇が参加。
その事を沖縄のマスコミは何一つ報道しなかった。
逆に沖縄から、こういう行動(トモダチ作戦)を批判することに対する疑問も著者は書いている。
一方、沖縄に対する厳しい発言もある。
例えば、1945年の沖縄戦では、住民を巻き込んだ激しい地上戦で
20万人余りの人が犠牲になった。
そのうち沖縄県民は12万人で当時の県民の4人に1人にあたる。
その点を踏まえて、著者は、アメリカ人である私が挙げるのは心痛い事実だが
日本の一般の人々も当時多大な犠牲を出した。
けっして沖縄だけではない。
東京大空襲では10万人の犠牲者。
また、広島の原爆投下では14万人、長崎での原爆投下では、7万人の命が奪われた。
「沖縄だけが捨て石になった」、「沖縄県民だけが犠牲を強いられた」という表現が
とても言えない事実であると著者は言う。
極端な被害者意識からそろそろ卒業して、そのような意識を煽る報道や教育の
あり方もよくよく考えるべきだと著者は言う。
この本、全体に通じるところは
「日本を愛するアメリカ人として、沖縄と日本の危機を鋭く告発する」姿勢はある。
この気持ちがあるから、あえて皆が言わない嫌なことも言ってくれていると信じたい。
本書は沖縄と日本、そしてアメリカとの関係を知るためには良い本であることは間違いない。