あらすじ
いまの沖縄は、あまりにおかしい。このままでは、日本の民主主義は沖縄から破壊されかねない。メディアは「日本への憎悪」や「琉球独立」を煽るような記事を掲載し、活動家(県外からきている人も多い)は地元住民を脅えさせるほどのヘイトスピーチや暴力的な抗議活動を繰り返し、政治家や学界も事実に基づいているとは言い難い言論を展開する。ここにあるのは、無責任なメディア、言論の自由も守れぬ学界、不透明な県政、革新系がつくった偏った教育、狭小な言論空間……。こんな環境下の沖縄県民こそが本当に“かわいそう”な存在だ。そしてこの奇妙な構造の背後には中国の影が――。神戸大学大学院で博士号を取得し、大阪大学准教授を経て、沖縄海兵隊の政務外交部次長を務めた著者が、日本を愛するアメリカ人として沖縄と日本の危機を鋭く告発。民主主義、メディア、基地問題、日米関係などについて、「沖縄問題」という切り口を通して問題提起する。第1章 沖縄人民の民族自決?──沖縄独立論という虚妄 第2章 「真実」を報道せず「感情論」を煽り立てる──沖縄とメディア 第3章 民主主義を守れていないのはどちらだ──あまりに悲しき不透明な政治 第4章 これ以上、普天間について嘘を言うな──いまこそ持続的で包括的な政策を 第5章 日米同盟と海兵隊が日本に欠かせない理由──世界のために何をすべきか
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Posted by ブクログ
本書に書いていることが、沖縄の実態なのかを知るために
もっと、著者の事は知るべきと思い本書を手に取った。
沖縄の基地問題に対する批判の部分もあれば、
著者は元米軍基地の在沖米海兵隊政務外交部次長だった経歴があることで、
内部の実情をよく把握していると本書では感じるが、米軍寄りの発言も確かにある。
例えば、「米軍関係の善行は報道されない」という事実。
2015年1月に起きた、高齢者が自転車ごと海に転落したところを
米海兵隊員が救出したことを報道しない沖縄のマスコミは偏向報道だと言う。
また、2011年3月16日に行った、大震災で「トモダチ作戦」という救出活動を行った。
延べ24000人の将兵、190機の航空機、24隻の艦艇が参加。
その事を沖縄のマスコミは何一つ報道しなかった。
逆に沖縄から、こういう行動(トモダチ作戦)を批判することに対する疑問も著者は書いている。
一方、沖縄に対する厳しい発言もある。
例えば、1945年の沖縄戦では、住民を巻き込んだ激しい地上戦で
20万人余りの人が犠牲になった。
そのうち沖縄県民は12万人で当時の県民の4人に1人にあたる。
その点を踏まえて、著者は、アメリカ人である私が挙げるのは心痛い事実だが
日本の一般の人々も当時多大な犠牲を出した。
けっして沖縄だけではない。
東京大空襲では10万人の犠牲者。
また、広島の原爆投下では14万人、長崎での原爆投下では、7万人の命が奪われた。
「沖縄だけが捨て石になった」、「沖縄県民だけが犠牲を強いられた」という表現が
とても言えない事実であると著者は言う。
極端な被害者意識からそろそろ卒業して、そのような意識を煽る報道や教育の
あり方もよくよく考えるべきだと著者は言う。
この本、全体に通じるところは
「日本を愛するアメリカ人として、沖縄と日本の危機を鋭く告発する」姿勢はある。
この気持ちがあるから、あえて皆が言わない嫌なことも言ってくれていると信じたい。
本書は沖縄と日本、そしてアメリカとの関係を知るためには良い本であることは間違いない。
Posted by ブクログ
自分も沖縄は大好きで年に2度ほど行くことがこの15年くらい続いているが、そんな自分でも「目から鱗が落ちる」沖縄の真実の姿に驚きも感じながら読みました。
様々に存在する「沖縄問題」には外部要因のものもあれば、沖縄自らが作り出している問題もあり、事は簡単ではないことは誰でも解ることだ。だからこそ、誰もが「沖縄問題」に無関心ではいけないのだ!
Posted by ブクログ
沖縄に関する驚くほど冷静な分析。色々なものが複雑に絡まっているが、やはり沖縄県民がかわいそう。翁長は論外で、琉球新報と沖縄タイムスが癌なのは良く知られているが、辺野古移設では問題が解決しないこと、普天間基地が世界一危険なのは作り話であること、沖縄に米軍基地の7割以上があることは数字のマジックであることなどは新鮮な驚きだった。