駒木明義の作品一覧
「駒木明義」の「基礎から応用までスッキリ身につく 絶対に「書ける」ようになる文章術」「中ロ蜜月で北方領土問題は後退するか(朝日新聞オピニオン 日本がわかる論点2016)」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
ネット上には真偽のほどが定かではないプーチン伝説が溢れている。
例え9割がデマだとしても「プーチンならありえる」と納得してしまうこ
ともしばしばだ。
ただ、本書はそんなプーチン伝説ではなくとっても真面目な評伝だ。
実際にプーチンを知る人々の証言を集め、朝日新聞朝刊に連載さ
れた記事に大幅加筆して書籍化された。
連載中も毎回楽しみに読んでいたのだが、こうして1冊の本にまとまる
とロシア大統領プーチンという人はとことん興味深い人物だ。
KGBの元スパイ。スパイ好きの私にはこれだけでも興味をそそる存在
なのだが、政治経験ゼロで大統領にまでなってしまったのだもの。
KGB時代は決して優秀なスパイだったのではない。派遣されていたの
は旧東ドイツのドレスデン。そこで東ドイツの崩壊に立ち会った。
故郷サンクトペテルブルクへ戻り、サプチャーク市長の下で第一副首相
を務めていた時にソ連が崩壊した。このふたつの国の崩壊に立ち会った
ことが大きな影響を与えたのかもしれない。
ただ、KGB時代、共産主義には批判的であり、サンクトペテルブルク時代
には西側の銀行などを誘致し、市場開放には積極的だった。
夢見たのは西欧型の自由経済。だが、国家が転覆するのだけは我慢が
ならない。そんなところか。だから、プーチンがやろうとしているのは決して
ソ連の復活ではなく、あくまでも「強いロシア」なのだ。
それは「世界一のお金持ち」と言われたロマノフ朝への回帰と見るのは
蝶々うがった見方かもしれないけれど、プーチンは「大統領」と呼ぶより
「皇帝(ツァーリ)」と呼ぶ方がふさわしいような気がする。実際、私は
普段「閣下」と呼んでるしね。
それにしても本書で証言している人たちのプーチンに対する意見が
極端に割れているのはおもしろい。とことん批判的な人、とことん好意的
な人ってなっている。
これもどの視点で見るかで変わって来るのではないかな。アメリカ寄りの
視点だと「独裁者、悪魔」になるのだろうし、ロシア視点では「救世主であ
り、頼りになる大統領」だろうしね。未だ80%という高支持率を誇っている
のだから。尚、ロシア・メディアが骨抜きにされている件は問題だけど。
元々が新聞記事なので一般的なプーチン入門というところだね。これまで
もプーチン関連の作品を読んでいる人には物足りないかもだけれど、彼
のこれまでの足跡を追うにはいい。
尚、何故プーチンが森喜朗がお気に入りなのか謎だったのだけれど、
森喜朗のお父様が日本とロシアの友好に尽力し、ロシアに分骨され
ているとのエピソードが閣下のお気に召したらしい。一緒にお墓参りを
している写真が本書にも掲載されていた。
森喜朗は好きではないが、プーチンに率直にものを言えるところは見直し
たわ。そういえば、以前、サンクトペテルブルクにアイスホッケーの世界
選手権を見に行った時、VIP席にプーチンと並んで森喜朗が座っていた。
「こら~、森~。その席、私と替われ」と叫んでいたことは内緒である。
Posted by ブクログ
KGB、サンクトペテルブルク副市長を経て、その後一気に権力の階段を駆け上り、2000年から現在に至るまでロシアのトップに君臨し続ける、プーチンの人間像(原体験、人柄、交渉術、思考等々)を明らかにする。
プーチンに対して肯定的であるか否定的であるかを問わず、プーチンを直接知る人物らの証言がベースとなっており、全体としてバランスの取れた内容になっている。
プーチン自身が非凡な頭脳を持っていることに疑いはないだろう。
しかし、プーチン長期政権の下で、ロシア政治の権威主義化が進み、「制度化されていない専制国家」に立ち至っているという現状は、かなり危ういものがあると感じられた。
最終部から先は、近時の対日・対中関係について触れられているが、いずれにしても先行きは不透明という印象が強い。
2016年12月、プーチン来日がようやく実現したが、依然として光明は見えないように思われる。
ロシアのみならず、世界情勢を理解する上でも有用な一冊。
Posted by ブクログ
不思議な国ロシアと独裁者プーチン。プーチン政権下で行われるメディアの統制、反体制派の粛清、子供の連れ去りなどの蛮行の数々を知ることができた。ロシアの国民性についても、著者の熱心な取材によって感じることができた。
プーチンの独自の理論には辟易した。ウクライナは大祖国戦争時にドイツに協力したからネオナチである、とか、ウクライナは元来ロシアである、などだ。直近の米露首脳会談でも、プーチンはトランプ大統領を前にこの持論を展開している。彼の主張は「大きなロシア」を目指すための添え木に過ぎないようだ。
「かつての大祖国戦争のように、有事には厳格な独裁者が必要であり、今がまさにその時だ」(抜粋ではない)というソビエト時代から続く国民意識には、ロシアという国の底知れぬ深さを感じた。彼らはロシアメディアの影響を受け、ロシアのプロパガンダに扇動され、ロシアという国の歴史の影響を大きく受けている。彼らは根本的に日本人とは考え方が違う。日本の価値観でものを測ることだけは避けなければいけないと考えた。
批判もさせていただきたい。著者は所属する新聞社の影響もあってか、やや左翼的な思想が目立つ。著者は「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」という岸田首相の発言を「他人事だ」として批判し、今日のロシアが明日の日本になる可能性もあると指摘。アジア太平洋戦争の日本の蛮行が再来しない可能性は無いと主張した。これは少しズレた指摘であろう。
話を戻すと、ウクライナ侵攻の現状に関する取材に関しても興味深かった。交戦の舞台となるウクライナと、それとは対照的なサンクトペテルブルク。空襲警報が鳴り響くまちに暮らす、戦争が身近にある人々と、テレビを消せば平和を満喫できる人々。ロシアの広大さが仇となったか、ロシア国民には停戦を求める声が少なく感じられる。
つい先日、NATOトップが「ロシアが今後5年以内にNATO加盟国を攻撃する可能性がある」として、警鐘を鳴らした。SNSなどでも、ロシアのバルト三国への軍事作戦が懸念されている。更なる戦争を阻止するにはどうすればよいのだろうか。
その場しのぎの対策を行ってきた欧米諸国と日本。第二次大戦前の英仏の宥和政策が想起される。理想論ではあるが、両国の間で一刻も早く折り合いをつけられることが願わしい。