竹山道雄の作品一覧
「竹山道雄」の「戦後70年 特別コミカライズシリーズ」「ビルマの竪琴」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
何だこの……、ああー……、言葉が上手く出ないけどすげーよかった。
いつまでも心に残る作品。
『編者より読者へ』という部分はあとがきかと思いきや、ド本編でしたね。読み飛ばしてはなるまいね。
その『編者より〜』のところの怒涛の……よさ!
ウェルテルは憂鬱から解放されて、不思議なほどに希望で艶めいていた。この作品はメリーバッドエンドの金字塔だ。
ロッテ側からの心理描写が入るのが最高だ。ズルい女よ! でも好きだ! ロッテが埃を拭いた銃でなら自害するのも悪くないかも……いやいや。そんなことはない。
『編者より〜』の前まではウェルテルからの手紙という形だったのが、このパートから第三者目線になるのがまたいいね! ああ〜ウェルテルは狂っちゃったんだ、読者がついていけないところまでいってしまったんだ! じわじわ、丁寧に、シんでいくのがたまらない。
鬱(うつ)くしい本だ。これを私は今まで読んでいなかったのか、と思った。
ウェルテルのさいごは私の中に深い印象を残した。彼はだいぶアカン感じになって、手の施しようがないと言われているのに、肺はまだ少し動いて鳴っていたり、呼吸はまだ続いてたりするところがいい……。「ウェルテルは本当は生きようとしているんだ」って気がしたんだ……私は……。少なくとも彼の体は生きようとしていた。
ウェルテルの問題は、やっぱり依存先が少ないことだったんだろうかな。ロッテ、ロッテとしか言えなくなっちゃって、絵のことも全然言わなくなっちゃうし。ロッテと結ばれることがすべてになっちゃった。
ロッテもウェルテルに固執しちゃってたし。ロッテも依存先が少なかったのかなぁ。
余談。
「むかしは吸取紙の代わりに砂を使った」と訳注にはあったが。吸い取り紙とは、便箋についた余分なインクを吸い取る用の紙らしいですね。この訳が出た当初は、吸い取り紙はごく一般的なものだったんでしょうか。興味深い。
七月二十六日の、「これからは私にくださる手紙には、吸取り用の砂を撒かないでください。今日はいそいで唇にあてたところが、歯がじゃりじゃりといたしました」が好きでした。「じゃりじゃりといたす」って文がラフなんだか丁寧なんだか分からなくて、そこもよかった。