【感想・ネタバレ】ビルマの竪琴のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年02月25日

児童文学。くもんの推薦図書ではハリーポッターと同レベルのFに並べられています。
文体は優しく、音楽を主軸として、異国での苦境の前線を描いており、短い話で、中学生なら読み通せる子がいてもおかしくないかなぁと思わせます。

作中には青いインコが登場しますが、その描写がいかにもリアルで感心しました。
うち...続きを読むにもインコがおり、今もマラソンを観戦している家族に混じって、テレビと家族に向かってピィピィと楽しげに鳴いています。
南国にいるインコがありありと想像され、また健気さに泣きながら読み終えました。

今起こっている戦争とは、状況や価値観が違うものと思いますが、だからこそ1番根っこの大事なものについて思いを確かにすることができる書籍です。

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Posted by ブクログ 2023年04月06日

この物語が空想で書かれたということに驚いた。しかし著者が生きていた時代、教え子たちが実際に南方で死に、彼らを常に悼み、弔っていたのは、まさに水島上等兵さながらであり、その実感がこの物語のリアリティを高めている。

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Posted by ブクログ 2022年11月20日

兵も指揮官も一律に断罪する軽薄な戦後の空気にあって、国のために殉じた人々を弔うという、至極当たり前の描写をなし得た本稿から、やはり故人のために「先祖の話」を書かずにはいられなかった柳田国男と同じ温と剛を感じた。

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Posted by ブクログ 2021年08月31日

これは、児童向けの童話として書かれたものですが、現代においては、むしろ大人が読むべき一冊となっているように思われます。
それは、相当な年配者が、懐かしく読むのではなく、壮年期の闊達に日々を生きているはずの年代が読むべきだろうと思います。
はたして、「自分たちはどこに生きているのか」「誰と生きているの...続きを読むか」、そもそも「何をしているのか」気付くために。
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現代日本人は、何かにとり憑かれたように、考えることも、確認することもなく、まっしぐらに走っている。
それは、走ることを半ば強要されているからでも有り、そのことに或いは気付きながらも、批判することなく従っている結果のように思えます。
何に向かって走っているのか、その先に何が有るのか、そしてどうなるのか。
立ち止まって、自らの足下を見て、確かめる時ではないでしょうか。
何が正しいとか、如何すべきとか、それは自分が見て・聞いて・考えて決めることであって、周りを見渡して答えらしきものを求めることではないでしょう。
今、起こっていることの果たしてどれくらいが見えているのだろう。
これから起こるであろう事がどれくらい予測できているのだろう。
そして、自分はいったい何を選ぶのだろう。
戦争の時代を生きた人々の姿をここに見た時に、はたして私ならどのように生きたであろうかと問うてみる。
そこに、自分の姿が見えるでしょうか?
この物語の主人公は、自らと仲間達、そして国家が行った過ちを目の当たりにし、多くに気付いたのでしょう。
気付いたから彼はそのための行動を行った。
果たして、私たちは、今現在について、起こっていることを目の当たりに見ているだろうか、気付いているだろうか。
そして、何かに気付いた時、私たちはどうするのだろう?
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本書の著者”竹山道雄”氏の名前を、意外なところで見た。
NHKの製作したドラマ「東京裁判」だった。
戦後の日本が戦勝国によって裁かれた裁判だが、このドラマでは、その裁判の内容と共に、そこに集まった各国を代表する判事たちの姿が描かれていた。
そして、その判事の一人、オランダのレーリック判事と竹山の交流が描かれていた。(ちなみに竹山道雄役は映画監督の塚本晋也さんだった。)
この時は、あまり大きな意味を感じなかった、というより「何故?」っと言う感想だった。(本書を読んでいなかったし、映画も見てなかったから)
この二人の交流の逸話は事実らしい。
そして、竹山はまさしくここに登場するにふさわしい日本人の一人だったといえる。
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竹山が本書『ビルマの竪琴』を書いた理由については、本書の巻末に「ビルマの竪琴ができるまで」「あとがき」に記されている。
自らは、戦地へ行ったことはないものの、多くの教え子を戦地へ送る側としてこの戦争にかかわってきていた。そして送り出した教え子達が戦地に散っていったと言う経験をしている。
戦地の経験もなく、戦後、その戦場の情報も少ない中で、それでも書こうとしたのがこの物語だった。
それにしても、その発表の場所が児童向けの雑誌というのがピンと来ない。
それについて、戦後の雰囲気がそうさせた状況が書かれていた。戦争に負けた日本人は、もう戦争について聴きたくなかったのだろう。そういうことには反発が有った。たとえ、それが戦没者への鎮魂の物語だったとしても、受け入れられなかった。そういう風潮に対して、忘れてはいけない出来事を記すようにこの小説が書かれ、それは曇りのない心で手に取って読まれる児童書と言うことになったのだろう。
今、この小説について、「大人向けの小説として書かれていれば」と残念に思うものも多く有るだろうけど、そこは著者も含め、その時代の成せるわざという事になる。これは、児童書で完結して良かったのだと思う。
一方で、後に市川崑監督によって映画化されたそれは、大人をも感動させる大作となっているのだから、物語の面白さは奥が深い。
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東京裁判の判事と竹山の交流の意味は、竹山の社会に対する姿勢に有ったのだと思う。
本書の巻末の解説に、戦前の竹山の発言について有る。
昭和十五年四月の雑誌『思想』に「独逸、新しき中世?」と題した文章を書いていて、これはナチズムと全体主義をはっきりと批難したものであったという。
戦前の日本において、公然とナチスを批難するというのも、欧州への留学経験や、そこで得た見聞・知見、それらを元にした世の中の見方が成せることだろう。
一方で、戦後、負けてしまった日本について、既にそれらを認めることはもちろん、その戦没者達を思う気持ちすら失ってしまった頃、本作を発表することで死んでいった者たちを弔うという、極々まっとうな姿勢を示したのも著者の冷静で揺るぎの無い視点なればこそと思う。
そんな著者であればこそ、東京裁判において、「人は戦争を裁けるのか」という大命題と向き合っていた判事と交流できたのだろう。
広い視点に立ち、今、自分が目の前にしているものとどう向き合うのかを考え続けた竹山道雄という人の大きさを感じる逸話だったと思う。
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印象的な一節
ビルマ人と日本人の違いを話しあっている場面でした。
ビルマでは、一生に一度僧侶になって修業をします。
一方の日本人(ここに居るのは出征してきた軍人達)は、軍服を着て教練を受けています。
その違いを見て、どうなのだろうという議論です。
ーーー
「一生に1度かならず軍服をつけるのと、袈裟をきるのと、どちらの方がいいのか?どちらがすすんでいるのか?国民として、人間として、どちらが上なのか?
・・・
まず、この両者のちがいは次のようなことだと思われました。
若いころに軍服をきてくらすような国では、その国民はよく働いて能率が上る人間になるでしょう。はたらくためにはこちらでなくてはだめです。
袈裟はしずかにお祈りをしてくらしているためのもので、これでは戦争はもとより、すべて勢いよく仕事をすることはできません。若いころに袈裟をきてくらせば、その人は自然はとも人間ともとけあって生きるようなおだやかな心となり、いかなる生涯をも自分の力できりひらいて戦っていこうという気はなくなるのでしょう。
・・・
人間の生きていき方がちがうのだ、ということになりました。
一方は、人間がどこまでも自力をたのんで、すべてを支配していこうとするのです。一方は、人間が我をすてて、人間以上のひろいふかい天地の中にとけこうもうとするのです。」
ーーー
児童書の中の一場面で、こんな会話がサラッと登場してくる。
これを読みきることが出来る子供たちって…
とにかく、こんなにも深い物語を子供だけに読ませておくのはもったいない(笑)。
読みごたえの有る良い本でした。

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Posted by ブクログ 2020年11月21日

戦争に命を奪われ、生きた証を残すことの叶わなかった人たちがいる。

骨となり異国に戻ることのできない人たちがいる。

レクイエムは、生きていくものたちのための救いでもある。

発表当時は「児童向け」として書かれた作品ですが、小学校高学年でもこのままは読みづらいかもしれません。中学生におすすめ。

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Posted by ブクログ 2020年08月31日

南方から帰ってきた傷痍軍人で溢れ、焼け野原が残るーそんな時代にこの本は書かれた。
当時の日本は、復興という明るい使命感に燃えるものの、戦中から一転、戦争を絶対悪と見なし、戦争に対して、また戦争に関わったものたちに対して、冷静な分析をするものがいなかった。亡き者たちを英霊などと言って語っては、戦争賛美...続きを読むになってしまう。多くの人が死にすぎたからこそ、戦争の惨状を過去の遺物として、なきものとして、葬ることを選んだーーー
しかしそんな中、竹山氏は「鎮魂」というテーマで、あえて児童書という形を取って書き上げた。おそらく、この本に救われた元軍人や残された家族は多かったのではないだろうか。遺骨も見ることなく、遠い異国で家族や友人は死んだと言われた人々の悲痛な叫びは、水島一等兵が語ってくれている。

この本の舞台、ビルマ(現ミャンマー)側からの戦争の追憶も読まねばならないとも思う。戦争に巻き込まれ、多くの犠牲を出した国は日本だけではない。インパール作戦で巻き込まれた人々の数は知れない...

戦争の追憶を忘れずに、霊に敬意を払う。それは新たな戦争のためではなく、今後こんな悲惨なことがないように祈るため。文学人であり、批評家でもあり、また戦後各方面の人間(東京裁判のレーリング判事なども!)との交流のあった竹山氏の書を読んで、改めてそう思わされた。

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Posted by ブクログ 2017年11月05日

子ども向けに書かれた小説、とのことで、やさしい言葉で書かれているが内容はとても深く難しい。若いときに一度は軍に入隊しなくてはならない当時の日本と、僧として修行しなくてはならないビルマ(ミャンマー)。どちらがすぐれているか。どちらが良いのか。どちらが豊かか。幸せとは、豊かさとは何か、深く深く
考えさせ...続きを読むられる。

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Posted by ブクログ 2016年04月30日

初めて読んだのは、中学の頃。以来、何度か読み返して、手元にあるのは2冊目。
何度読んでも、涙が出そうになる。水島は、どうして日本へ帰らなかったのか。

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Posted by ブクログ 2015年09月08日

現地に行った。赤土を踏んだ。慰霊法要をした。視界がぼやけた。

昨年11月のインド・ミャンマー行きから帰ったら必ず『ビルマの竪琴』を読むと決めていて今回映画('56年版)も鑑賞した。
文章やワンシーンの端々に見られるビルマの景色や人々。ついこないだ行ってたもんやからイメージしやすい。�...続きを読む39;56年版は半分くらいしか現地での撮影が出来なかったらしいけど私達が行った時とさほど変わっていなかったのが驚きだった。

作中の竪琴と現地で聴いた箏の音色が何度も重なる。両楽器で演奏された「埴生の宿」が頭から離れない。その時の静寂もまるで同じ。

慰霊法要の時みたく、また何かが押し寄せて視界がぼやけた。

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Posted by ブクログ 2014年12月29日

「文学作品」として有名なこの話。
実は「児童文学」だったんです・・・!

時代は日本が敗戦に向かって、一直線だったころ、ビルマの密林の中を逃げまどう1小隊がいた。
その中にいた、竪琴を弾くのがとても上手な水島上等兵が、ある任務中に姿を消し、消息がわからなくなってしまう。
やがて、日本は負け、...続きを読むこの小隊の隊員たちは、捕虜兵として、収容所で労役に服すことになるが、そこに、水島そっくりなビルマ僧が現れる。
しかし、僧は隊員たちが話しかけても、何の反応も示さない。この僧は本当に水島なのか。それとも・・・。

3部構成になっており、最後にすべての謎が明かされる、ちょっとしたミステリーになっている。

この作品のすばらしいところは、まず、書かれている日本語がすごく美しいことだと思う。

対象が「児童」のせいもあると思うが、本当に昭和21年に書かれたのか、と疑いたくなるほどよみやすくきれいな日本語で書いてある。

久しぶりに日本語を「堪能」した気分になった。

また、水島を心配する隊員と、その心配を十分にわかっていて、それに応えたいと思いつつも、あえて自分の信念を貫き通す水島との友情も、心をうつ。

実は、この本、15年ほど前に母親から「おもしろいから読んでごらん」と言われていた本だった。その時は「あんな貧乏くさそうな本、誰が読むかい」などと思っていたが、今思えば大バカでした。読んどきゃよかったな~。

でも、あの頃読んだんじゃ、今と感想も違ってたかもしれないけど。

しかし。昔の子はすごいね~。
こういう本を「児童」が読んでたんだから。

改めて、現代の子ども達が触れている本との程度の格差を感じてしまった。もっとも、本に触れてすらいない子が大半だとは思うけど。

こういう本をたくさん読んで育った子だから、今の日本を作ることができたんだなあ。

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Posted by ブクログ 2024年04月26日

戦争の記憶や残像が生々しい戦後の混乱・混沌の真っ只中、子供向けの童話として世の中に出た「ビルマの竪琴」。作者は何を子供に伝えたかったのか。まず1つ目は天命、いわゆる天がその人に与えた使命についてである。人がその天命に気づいて覚悟を持って行動に移せるか否か。周囲や世相の動きに流されることなく、自分の意...続きを読む思を貫くことができるかどうかということ。2つ目は芸術ーこの本では竪琴ーが人に与える影響力について考えることができるかということ。3つ目は思索について。自分のあり方や人生についてまた他者への思いについて深く広く考え、思いにふけることの意義。少なくともこの3つが私に強く伝わってきた。子供向けの雑誌に連載されたが、戦後80年近く経った現代でも世代を問わず名作として愛されている一冊であることは間違いないと思う。

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Posted by ブクログ 2024年02月08日

歌う軍隊の竪琴弾き、水島上等兵が隊を離れ、屍となった日本兵を見て見ぬふりできず、ビルマの僧となり、日本には帰らず祈り続けることを決断する話
戦後の児童文学っていう感じ
現代を生きる人にとっても、便利ばかりを追求する価値観で良いのかを考えさせられる哲学的な内容でした

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Posted by ブクログ 2023年03月15日

手のひらサイズの骨の玉って何?何の骨?そしてそれを耳に『被せている』????改めて問う、手のひらサイズの骨の玉って何?!???玉って事はその骨は球体なんだよね????

・・・それが気になって気になって仕方がなかった(本編は非常に良い作品です)
『仰げば尊し』が卒業式以外の場面でこんなにも染み入る演...続きを読む出をしてくるとは・・・。映画も観たのですが、やはりあの『埴生の宿』『仰げば尊し』のシーンは素晴らしかった。

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Posted by ブクログ 2021年08月31日

最新鋭の武器を持って侵略戦争に挑んだ我々と、ただただ仏に祈り、救いだけを求める彼らのどちらが人間らしいのか

これが児童書として書かれたことに深い意味を感じる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年02月21日

水島の決意と彼からの手紙を読んだ部隊の人たちの覚悟で締めくくるくだりが素晴らしい。
優しい文体で最後まですらすらと読める。作者は児童向けに書いたようだけど、大人にも読んでほしい作品です。

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Posted by ブクログ 2017年10月31日

軍人と僧侶、文明国日本と未開のビルマ。この対比により、人間としてどうなることが幸せなのか、何が世の中を幸せに導くのかを、ビルマで終戦を迎えた日本兵が考える。
ビルマが未開か、(戦争をしている)日本が野蛮か。
文明の利器を持っていても、肝心のそれを使う人間の心が野蛮ではないのか。

あとがきに、戦中の...続きを読む葬儀の話が書かれているが、この頃、南方で亡くなった隊員の葬儀には遺骨も遺髪も何もないこともあったようだ。こういった事実を読むと、水島が僧となり、日本にも帰れず、供養もされず異国の地に埋まっている日本兵を供養してまわらなければと決心したこともうなづける気がする。



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Posted by ブクログ 2017年05月31日

「おーい、水島。一しょにかえろう!」

終戦後のビルマを舞台にした児童文学。戦闘態勢だった英国人と、歌を通して和解し、ともに合唱する場面がとても感慨深かった。ビルマの山奥で、極限状態のなか、敵陣地から耳慣れた曲が聞こえてきたときの心情とはどうゆうものなのだろう。読み終わってすぐ「はにゅうの宿(Hom...続きを読むe sweet home)」「庭の千草(The last rose of summer)」を聞いたが、素敵な曲だった。また本作は作者の想像で書かれたものだというのも驚きだった。作者いわく、戦争食後は戦時中の情報を得ることは厳しく、内情を知る手掛かりは人づてに聞くしかなかったそうだ。史実と異なる場所もあるかもしれないが、かつて映画化もされた作品で、心温まる作品であると思う。

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Posted by ブクログ 2016年04月23日

戦争を描きつつ、サスペンスの要素もあり、未開の地を訪れるおもしろさもあり、オレンジの衣をまとった僧が肩に青いインコを乗せるという、ビジュアル的なおもしろさもあり。全体を通じて戦争への批判と、平和への願いと、若くして亡くなっていったひとたちへの強い追悼の思いが流れている。いくつもの複合された味わい、け...続きを読むれど分かりやすい、そしてとても後味のやさしい良書。

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Posted by ブクログ 2015年11月30日

敬体で綴られているからか
透明感のある印象を持ちました

第三話では、謎が解明され、
さらにテーマ性がぐんと前に出てきて
読み応えがありました

人食人種のくだりが残念です

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Posted by ブクログ 2015年11月16日

竹山道雄が1948年に発表した児童向け作品。実話ではないですが、作者が一高教官として多くの教え子を戦場に送り出した体験が動機になって書かれています。戦争について語るのがタブー視された終戦直後に、これだけの内容の作品を書き上げ、発表しようと思った作者の気持ちを考えると頭が下がります。作者の想像で書かれ...続きを読むた作品なので、荒唐無稽な部分もありますが、多くの名もなき人たちが日本に帰ることが出来ずに、異国の地で眠っているという事実をあらためて確認できた作品でした。

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Posted by ブクログ 2014年12月11日

本作の重要な部分は最後のほうの第三話にあります。そこで語られる思想をみなが踏まえたうえで、靖国参拝だとかを考えるといいのでしょうね。この作品で語られていることを噛み砕いて、ちゃんと他国に伝えられることが大事なのではないか。ただ、そうすると、賠償金がどうだとかっていう話になるのかな。国際情勢っていうも...続きを読むのも難しいものです。ただ、日本の民衆は、この『ビルマの竪琴』的な思想を胸に抱いていたり、深く考えたことがあったりするのは大事なことですね。

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Posted by ブクログ 2014年08月29日

ギャンブルは引き際が肝心であると言われるが
その見極めは難しい
席を離れたパチンコ台の、次の客が大当たりを出すという現象は
珍しくないもののようである
資金さえ豊富ならば、「勝つまで粘る」戦術も有効であろうが
まあだいたいはカモにされて終わるだろう
あえて戦争とギャンブルを同じに論ずるが
大戦中の日...続きを読む本が掲げた「玉砕」というスローガンなどまさに
「勝つまで粘る」戦法の悪いお手本と言える
すっからかんになっても負けを認めず
自分の命まで賭けてしまうような
ギャンブル中毒ここに極まれりとも言うべきやり方である

…しかし、お金のやり取りにすぎないギャンブルと
ハナっから人命のやり取りをする戦争じゃ
勝負の重みが違いすぎるというのも、また確かなことだ
いやあ負けた、お強うございますなあ旦那とか言って
退散するようじゃ良心がない
死んでいった者の無念に申し訳がたたない
遺族にも顔向けができず、日陰に石を投げられる
だからつまり、このことからわかるように
戦争を継続する意志とは、戦う者の良心なのだ
良心が人を死地に向かわせるのだ
おそろしいことである
もしそれが、キレイゴトを盾に取った同調圧力であるとわかっていても
まったく同じことだ、同調圧力にそむくものは
同調圧力の報復におびえなくてはならないのだから

だから、殺し合いの真っただ中にある人々に
降伏をすすめることは難しい
そもそも自分を殺しにきている人間の言うことが信じられるわけはないし
それに加えて仲間同士に蔓延した、抜け駆けを許さない相互監視の目
同調圧力による束縛があるからだ

まさにそのような状態にある同胞たちを
なんとか説得しようと水島上等兵のとった手段は
一つのギャンブルだった
単なる臆病心で敵に寝返ったのではないと示すために
みずから飛んでくる銃弾の前に立ったのである
結果的に、この方法が成功して
同胞たちは白旗をあげるのだけど
それによって裏切られたものも、確かに存在するだろう
幸か不幸か、水島じしんここで死ねなかったことが
彼のその後の選択に大きく影響しているのではないだろうか

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Posted by ブクログ 2014年08月22日

ミャンマーの船旅に

作者はミャンマーに行ったことはないようですが風景の描写などでこれまでの道中を彷彿させるものがあり、不思議と違和感は感じませんでした。

日本人戦没者の墓参りもでき、今昔に思いをはせる良い旅になりました。

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Posted by ブクログ 2015年07月14日

青インコを乗せるビルマ僧。
この前ラオスにいったので、情景が浮かんでしょうがなかった。

ビルマ。
遠くにビルマのパゴタが見える。
日本の兵隊さんは死んで腐乱して川にいくつも浮かんでいる。
大仏はそれをねっころがりながら見ている。
いつまでも。

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Posted by ブクログ 2023年05月28日

久しぶりに再読しましたが、記憶していたよりも、文章もストーリーも優しく感じました。今更ながら、童話雑誌掲載の子供にも読める作品だと思いました。
日本軍の戦況は、悪化し、苦戦を強いられていた。ビルマの一小隊では、音楽学校出身の隊長が、隊員に合唱を教えていた。苦しい時、団結する時、彼らは歌う。今読めば、...続きを読むそんな事はなかったでしょうとは思うけど、こんな小隊もあったかもしれないと思わせてくれる。
その隊の一人、水島は、楽才に優れて竪琴も自作していた。敗戦となり、小隊は捕虜となるが、水島は、ある任務をきっかけにビルマの戦死者の霊を弔うため、出家しその地に止まる決意をした。
日本に帰る仲間は、生きて帰り日本の復帰を目指す。
戦争の理不尽さ、戦闘への反省そして敗戦後の生き方を当時の子供達に伝える作品です。
最後に作中で使われた楽曲の歌詞と楽譜が掲載されています。一高寮歌「嗚呼玉杯に花うけて」は、活字で読むとそれだけで、苦しくなりました。
“剣と筆とを取り持ちて”

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年02月26日

戦争という陰惨なテーマでありながら、主人公水島が、生きる上で本当に大切なことは何なのか、苦悩し考える。
生死が分からなくなった水島が一体何をしていたのかは、最後の手紙でしか知らされないが、死に近づいた生活をしていたからこそ感じることが出来る何かがあるに違いない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月05日

小学生の頃に何度も読んだ記憶がある。
戦地で命を絶つ人を馬鹿にする風潮があった中でこれを書くのはとっても格好良い。水島のこれが日本人らしさなのかもなあって思う。厭世的な雰囲気等、とってもミャンマーに興味を持って行ってみたくなる。戦争の恐ろしさとかよりも、人間の崇高な部分に惹かれ、特に外国人が戦死した...続きを読む日本人を弔うのが好き。児童書だからだろうけど嫌な人が出てこなくて、小さい頃はこんな人になりたいって何度も読んだのだったと思う。

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Posted by ブクログ 2021年02月04日

子供の頃に「水島、一緒に日本に帰ろう」と叫ぶシーンをテレビで観たことはあったが、なぜ水島がビルマに残る決意をしたのかは、恥ずかしながら今回初めて知った。

今も世界のどこかで水島のような運命を背負う青年がいるのだろう。

本はとてもシンプル。

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Posted by ブクログ 2015年03月08日

水島は、何故日本に帰らずビルマの僧となったのか。一生に一度は軍服を着る日本と、一度は僧の修行をするビルマ。どちらが良い国なのだろうと議論する日本兵たち。精神的豊かさについて考えさせられる。何ができるかではなく、世界に対して人生に対して、どこまで深い態度をとって生きているか。「はにゅうの宿」という曲を...続きを読む知らなかったので、パソコンで聞きながら読みました。それにしても、ビルマの強盗が、「おまえのルーンジ(服)とバナナの葉をとりかえてくれ」だなんて、なんとものんびりしている。

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Posted by ブクログ 2014年12月11日

ビルマの竪琴(1)」 竹山道雄 仲村トオル 仲村トオルさんの朗読と、大島ミチルさんの音楽とで、戦争への反省と平和の希求を。第二次大戦のビルマの戦場で、水島上等兵は伝令の役を買ってでかけたまま、部隊に戻らない・・・。

「ビルマの竪琴(2)」 竹山道雄 仲村トオル 仲村トオルさんの朗読で。太平洋戦争...続きを読むの一つの激戦地にまつわる悲しい物語を。僧侶となった水島上等兵は祖国に帰らず、戦死した同胞を弔うことにする。

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