シナリオ・プランニングの第一人者である西村 行功 さんによる戦略本。
この本の内容を、自社の研究開発戦略策定に活用しました。
そういう意味では、ものすごく「使える」一冊でした。
特にSEPTEmber分析は実際に役立つだけではなく、プレゼン時に「きちんと全体を俯瞰していますよ」というメッセージを発信することができると思います。
また、大前研一さんの問題解決手法に共通する部分ですが、ファクトを集め、フレームワークで整理(情報の構造化)し、アブダクションによる思考のジャンプで解決策を導き出す・・・。
王道ですが、中々身につけれられるものではないです。
本書は、実例も交えながらその手法について解説してあります。
一読しただけで使いこなせる人は、普段からこういった戦略を使い慣れている人だけだと思います。
実際に、本書を何度も読み返すことで、少しづつスキルが見についていくような気がします。使いこなすための一冊だと思いました。
【以下、引用です】
自分がどう考えているのかを知る力「メタ思考力」を養え
メタ思考力を養うためには、思考法にはどのようなパターンや種類があるかを知っておくことが必要
◆思考の4つのOS
・因果関係を考える
・全体から個を考える(演繹的推論)
・個から全体を考える(帰納的推論)
・定量的に考える
◆思考のアプリケーションソフト
・ロジカル・シンキング
・システム・シンキング
・シナリオ・シンキング
◆ロジカル・シンキングのキーワード
・ロジック・ツリー
・モレなく、ダブリなく(MECE)
・仮説思考
・肌感覚
要素間に因果関係があるときには、ロジカル・シンキングは使いにくい
(例えば、歯磨き粉の単価と年間購入本数など、トレードオフの関係がある場合)
時間の変化を考えるときも、ロジカル・シンキングは使いにくい
(例えば、薄型テレビの場合。はじめは数量が伸びるがそのうち市場は成熟し頭打ちになる)
システム・シンキングとは、「絡み合った要素の全体を構造として見る」考え方。
◆システム・シンキングを理解するキーワード
・因果関係のリンク
・相互依存とフィードバック
・時間的遅れ
・時系列グラフ
【拡張フィードバック・ループ】売上→インターネットの口コミ→売上
【バランス・フィードバック・ループ】売上→品薄→品切れ→-インターネットの口コミ
値下げキャンペーンは確かに一時的に購入を促すでしょうが、使われる量が増えない限り、一時的な効果として終わってしまうだろうということが構造的にわかります。
課題設定を間違うと、いかにモレなくダブリなく論理的に考えても、正しい答は出てこない
短期的な即効索は思わぬ中長期的な副作用を生みがち
シナリオとは起こりうる未来ストーリー
外部環境の変化をとらえるといっても、未来予測ができるようになろうと言っているわけではありません。
予測ではなく、未来に向かって動いている様々な変化の中に「今後大きな変化になりそうな兆し」を見つけ、「それが大きな影響を持つようになったらどうなるのか」をできるだけ客観的に考えてみようと言っているのです。
(中略)つまり「タラレバ」を真面目に考えてみようという思考法です。
チャンスは準備できているものだけに訪れる(パスツール)
未来が起こる前に、様々な可能性(シナリオ)について考えてみる必要がある