阿吽社の作品一覧
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少年・青年マンガ
Posted by ブクログ
仕事も恋愛も頑張るキャリアウーマンをヒロインに据えた漫画『サプリ』がドラマ化された事で一躍知名度が上がった漫画家、というのがおかざき真理さんのよく知られている肩書きだろう。但し、そのイメージで本書を読むと、かなり驚くことは間違いない。表紙を見てわかる通り、画風も少し変わっているし、人死にのシーンも多く登場する。また、連載第一回の一ページ目が、空海の文言『生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く 死に死に死に死んで死の終りに冥し』を、黒地をバックに白抜きの文字で書いたものだ。まず、このような始まりは少女漫画ではありえない。また、宗教家を主人公、仏教をテーマに、というのもなかなかチャレンジングだ。諏訪緑さんの『玄奘西域記』という作品があるが、こちらは青年・玄奘の成長も絡めた話になっていたため、辛うじて少女漫画誌に留まれた。ちなみに、今回の掲載誌は青年誌だ。だから題材も画法も今まで出来なかったことができる、というわけだ。
冒頭は、比叡山延暦寺を焼き打ちする織田信長。時代劇で信長が扱われる時、必ず登場する有名なシーンだ。ただし漫画はここから平安に遡るため、有名人の彼でもワンシーンのみの登場。「大きくなりすぎたのだ…」とつぶやく信長が見つめる先にあるのは延暦寺の炎。その炎が山の上からの光に切り替わり、その光を見つめている先に、「大きくなりすぎた」延暦寺を建てた天台宗の開祖、最澄の幼き姿が見えてくる。映画を見ているような切り返しの連続で主人公の登場に繋げる。幼名を広野という彼は、感受性が強くすぐ涙が出るため、身近な人のたもとの匂いを嗅ぐと安心する。手っ取り早い出世の手段として母親に寺に送られた最澄は、仏教界の腐敗に落胆し、一人で山に籠る。
翻って一方の主人公、幼名を真魚という空海は、自らの足を刺して死ぬのか試したり崖から落ちても一人で帰って来たりとなかなか豪胆だ。夜な夜な野山を駆け、自らを食い破るような知識欲を持てあまし、仏教に辿りつく。既に人を救う教えとして仏教を求める最澄に比べ、仏教の新しい知識を得られる喜びに純粋に浸っている真魚には、まだ深き苦悩は見られない。そして、真魚が座禅を組む最澄を見て「美しい」と感動するシーンで終わる一巻では、求めるものは違うが、二人が衝突するような気配はみじんも感じられない。しかしその萌芽は既に現れており、二人は阿吽の仲には決してなれないのだ。
平安という時代、その時代における仏教、政治との動き、仏教観の違う二人の成長、教義、おかざき真理さんが少女誌という枠の中では全く書いてこなかったジャンルを、これからどう捉え、どう見せてくれるのか、そして読者層はどう動いていくのか、ということもあわせて楽しみである。
Posted by ブクログ
終わってしまった……末法の世で、ふたりは今も祈り続けているんだという終わり方で良かったです。
空海さまは亡くなってなくて、今も高野山の奥之院にいらっしゃるので……街を見下ろしてるラストカットしびれた。
死の前日に悲願達成するのって。
朝廷は「正しすぎる光は毒になる」といって最澄を退けてたけど、上手くやれる空海は重用してた。
上手くやってても、「人は金剛じゃない」って弱音吐いてたりしてたんだな。遍照金剛なのに。
母の旧姓が横大路で千年家(横大路家住宅のほう)が本家なので、圧倒されつつ楽しく読み進めてきました(母の実家は新宮ですらないので分家も分家の端の方)。
伝承だけど、こういう伝承は信じるほうが良い人生おくれます。最澄さまありがとうございます✨