中里京子の作品一覧
「中里京子」の「医者が教える最強の不老術」「遺伝子は、変えられる。」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
頻繁に本書で「中強度の運動を週に150分」という基準が提唱される。本書上下巻を読み終えた今、この基準を完全に下回っている私の日常を顧みる所存である。
下巻では、どのような運動が有効なのか、また運動が身体や精神にもたらす具体的効用が整理されている。
運動が身体に良いことは、エビデンスを理解しないまでも多くの人がなんとなく認めているだろう。しかし、良いことだと分かっていても、なぜこれほど億劫なのか。それは、進化人類学の観点から、人類は余分な運動を避ける傾向にあるから、その気持ちは間違いじゃないよと本書は認めてくれる。
それでも、運動に自身を駆り立てるにはどうすれば。ここでキーワードは「社会的身体活動」である。一人で運動するのは気分が乗らない、でも他の人と一緒に行うことで一体感や交遊関係などの心理的に満たされる報酬がついてくる。そうなると、運動自体はつらいけど、その活動は楽しいものになる。この主張には説得力がある。
しかしながら、私はもっぱら一人でジムで身体を動かす。他人と関係する強制力がたまに煩わしくなってしまうので、一人で気ままにのんびりウェイトトレーニングやトレッドミルでランニングが性に合っている。
グループ活動は強制力がある反面、個人的には欠席してしまった時自己嫌悪を感じたりと精神面でダメージを受けるリスクもある。
そんな私を救ってくれるのは、60分以上の長尺Podcast番組。好きなPodcastを聴きながらついでに身体も動かすという一石二鳥の方法で、ゆるっと運動を続けることができているのである。これは、運動を楽しくする方法の一つとして本書にも紹介されている。
つまりは、人それぞれの報酬系を与えることが、運動を続けるうえで肝要なのである。
定期的な運動をしなくても健康に人生を全うできる人は確かに存在する。(本書ではドナルド・トランプを引合に出されている。)しかし、運動をすることで成人病の予防にもなるし、セロトニンやエンドルフィンといった神経伝達物質が生成され、精神状態も向上することは事実である。
畳みかけてくる論証によって、読者は運動への興味が高まるだろう。その先自分にとって「必要かつ楽しい」運動の手掛かりも、本書に散りばめれている。
Posted by ブクログ
『運動の神話』というタイトルだったものが文庫化。
Podcast「ブックカタリスト」で取り上げられ、スロージョギングの効能をごりゅごさんが熱弁していたことが記憶に残っている。その他メディアでも取り挙げられていて結構話題になっていたという認識。
上巻はまず、身体に関する一般常識を懇切丁寧に取り扱う。間違っているところは指摘をし、許容できるところは認めるという真摯な態度が好印象である。
特に、「睡眠」パートは個人的新発見だ。
8時間という指標が子どものころから沁みついてたしどこか信奉しているところがあった。
しかし、統計的にはそこまで必要なく7時間程度が最適であるというのが本書の主張だ。これはその他哺乳類に比べ短いが、進化人類学的に人類が社交を重んじるよう進化を遂げたからという。
夜の自由時間や交遊が楽しくてどうしても夜更かししちゃう習慣が私にはあるが、これは人類史的には不自然でないのだ。次の日疲労や二日酔いでグダグダな私に自暴自棄になることも多かったが、そんな私は人類の進化過程で正しいふるまいをしているのだと言い聞かせ、ポジティブに受け入れよう。
昨今のトレーニングやダイエットの多様化・商業化にみられる「理想の自分」信仰は、そもそも人間の本能と相必ずしも一致しない。
本書はこの主張を軸に、具体的なトピックに分割し様々な角度から検証していく。ストイックになれない自分を自己非難しがちな人には、まず本書を手に取り自分を学問の知見を後ろ盾に許すところから始めてもいいかもしれない。
Posted by ブクログ
著者はハーバード大学人類進化生物学の教授。「走る能力」の専門家。この本もそうだが、同著者による『人体600万年史』のテーマも走ることだった。訳者あとがきによれば、ボストンマラソン10回完走し、ベストタイムは3時間20分程となかなかのランナーでもある。
帯に「毎日1時間のウォーキングで死亡率が20%軽減する」と刺激的な文章に惹かれ手に取った。
上、下巻各300ページもある大著であるものの、内容が面白く、するするとアッという間に読み終えた。
そもそも我々は運動するように進化してきたわけではない。狩猟採集や農耕に勤しんでいた祖先は、健康のために走ったり歩いたりするものはいなかった。「健康のために運動する」という概念は現代のものである。という考えがプロローグで示され、「運動することは良いことだ」という神話について、第1章から第12章まで神話の個別テーマについて、興味深く掘り下げる。
例えば、神話その1 私たちは運動するように進化してきた。(人は休むようにできているのか、それとも走るようにできているのか)。
神話その2 怠惰に過ごすのは不自然だ。(身体的に不活発な状態-怠けることの大切さ) 等々
そして最終章 第13章は運動と病気というタイトルで、運動と肥満、がん、2型糖尿病、認知症、うつ病との関連性についても述べる。正直、この章は普段あまり運動していない50歳代以上の人にとっては、正直、読み進めるのが怖いんじゃないかなと思う。少なくとも、僕はそう思った。
リーバーマン先生、とても勉強になる本を提供していただき厚く御礼申し上げます。
Posted by ブクログ
1章:消化するパイプ
「腸間膜」
2017 臓器として認められた。
腸への血液供給を担っている。
「唾液」
過酸化水素水を少量含む。悪玉菌を殺す。
また、処方できる薬より強い鎮痛成分が含まれている。喉が痛い時など、唾液分泌を促す食べ物は症状を和らげるかも。
尿素も含まれており、口腔内のpHを整え歯を守る。
胃酸(塩酸を含む)からの防護壁が粘液。
「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」(イブプロフェン)
痛みのシグナル因子のプロスタグランジンの生成を抑える。(シクロオキシゲナーゼという酵素を阻害する)
プロスタグランジンは 胃酸を減らし粘液の分泌を増やして胃の粘膜を調整しているため、潰瘍が形成される危険性が高まる。
胃には味覚受容体がある。例えば 甘い食べ物を目にすると 胃の味覚受容体が刺激され、食欲増進ホルモンのグレリンが分泌される。
「哺乳潜水反射」の活用(冷たい水に顔をつけると、不安とストレスがおさまる)
顔が水中に漬かり、鼻の穴が水で満たされると、その情報は三叉神経によって脳に伝えられ、迷走神経が刺激され、徐脈が誘発される。血管が狭くなり、心臓、脳、肺への血流を確保するため、手足の血流が制限される。
これらの生理機能が組み合わされると、不安とストレスが軽減される。
呼吸をする最大の理由は、溜まりすぎると血液を酸性に傾かせる二酸化炭素を体が嫌うから。
肛門呼吸 豚とねずみは肛門から酸素を吸収し、肺呼吸なしでも生きていけることがわかった。
人間は基本的に盲目。世界の98.9965%が見えていない。電磁波スペクトラルという放射線のほとんどを見ることができない。人間の目に届くのは可視光線と呼ばれる0.0035%
網膜は、脳の一部。
鼻周期 1日の大半において 片方の鼻腔から呼吸をしており、片方は詰まっている。(血液で膨張させている)
詰まることにより、水分保持 加湿 内壁保護に役立っている。
鼻の穴は4つある(喉のそばに2つ)
味の80%は嗅覚。
水分補給のチェックに 指の関節の皮膚をつまむといい。(ツイゴール反応)弾力性チェック。すみやかに元の形に戻るか。
味蕾の受容細胞は、食物の化学物質が唾液によって溶解されていないと結合することができず 味を知覚できない。
スペンス博士の研究
音が味を左右する。(プリングルス実験)
いちごケーキは、白い容器で食べた方が、黒い容器より甘く感じる。
コーヒーは透明マグより 白いマグの方が甘さを感じにくい。
海の音で風味を高める
脳は色と味を関連づけている。
緑→苦味 黄色→酸味 茶色→塩味 赤→甘味
赤いマグカップを使うと、砂糖少なめでも甘く感じる。
青い食器のスープは、塩味を強く感じる。
バニラの香りは、甘みを連想させるので、砂糖を控えられる。
塩は苦味を無視させ、苦味以外を増幅する。
一日の元気なスタートのために
一杯の水、果物(グルコースの補充)をまずとる
ウォーキングやダイナミックスストレッチ
睡眠薬やアルコールを控える
(睡眠薬はGABAと呼ばれる神経伝達物質の産生を促進することによって作用する。GABAが産生されると脳のニューロンの活動が静まるのだ。アルコールも似た作用がある。どちらも鎮静剤であることが問題であり、睡眠を促す作用はあるが、睡眠からの回復で見られる深い脳波を抑制してしまう。翌朝目覚めた時にだるさを感じる。特にアルコールはレム睡眠を阻害する。健康リスクがある)
Posted by ブクログ
非常に勉強になる良書なので、一読を推奨する
1) 全体要約(本文)
本書は、進化適応的な「サバイバル・スイッチ(脂肪スイッチ)」が現代の食環境で慢性的に作動し、肥満・脂肪肝・高血圧・2型糖尿病・炎症・認知機能低下などを共通メカニズムで説明できると論じる。中心となるのは、果糖摂取や体内産生果糖が誘発する尿酸上昇とミトコンドリア機能低下、ATP不足感であり、これが空腹・渇き・摂食行動亢進・省エネ代謝・脂肪合成促進を同時に駆動する。対処は、液体糖の遮断、高GI・過度の塩・過剰なうま味の抑制、十分な飲水、ゾーン2中心の運動、コーヒー・緑茶・オメガ3・適量ビタミンC等の組合せを、継続可能な生活設計として実装する方針である。
2) 章立て(本文)
サバイバル・スイッチ仮説の骨子
果糖—尿酸—ミトコンドリア:共通ドライバ
液体糖と塩分・うま味:摂取を加速する環境要因
中枢・行動・神経変性への波及
介入戦略:食事・飲水・運動・補助因子
長期維持と再発予防の設計
3) 各章の詳細(本文)
1. サバイバル・スイッチ仮説の骨子
飢餓対策としての生理スイッチが、現代環境で慢性的にオンになり多疾患を併発させる。
肥満そのものより、背後の共通メカニズムが諸病態を同時に生む点が本質。
レプチン抵抗性の進行で満腹シグナルが鈍化し、摂食行動が長引く。
ATP不足感が倦怠・空腹感を強化し、活動低下と過食のループを作る。
減量後もスイッチが再点火しやすく、維持が難所となる。
2. 果糖—尿酸—ミトコンドリア:共通ドライバ
果糖代謝は急速なATP消費と尿酸産生を伴い、ミトコンドリアの酸化ストレスを高める。
その結果、脂肪合成促進・基礎代謝低下・インスリン抵抗性・血圧上昇が連鎖する。
高GI炭水化物や高塩環境はポリオール経路などを介し体内産生果糖を増やしうる。
人工甘味料の一部や糖アルコールは経路上で果糖様の挙動を示す可能性がある。
液体形態の糖は肝への濃度負荷が大きく、固形糖より影響が強い。
3. 液体糖と塩分・うま味:摂取を加速する環境要因
液体糖は満腹感が弱く、渇き誘発と再摂取を招きやすい。
過度の塩分は体内産生果糖を刺激し、血圧・脂肪肝・糖代謝に不利に働く。
うま味付与は報酬系を介して摂食量の増加に寄与しうる。
清涼飲料・果汁・加糖カフェ飲料は体重・中性脂肪・肝機能に悪影響を与えやすい。
飲水量の増加は発症・進行抑制に資する可能性がある。
4. 中枢・行動・神経変性への波及
果糖は採餌行動を亢進し、衝動性の増大と関連しうる。
代謝異常と気分・注意の問題に共通の基盤があるとの仮説が示される。
脳内のインスリン抵抗性やミトコンドリア機能低下は認知機能の低下と連動する可能性。
糖負荷・高GI・塩・肥満・糖尿病は認知症リスク上昇と関係づけられる。
幼少期の糖常用と行動問題の相関を指摘する知見がある。
5. 介入戦略:食事・飲水・運動・補助因子
追加糖・液体糖の削減と、高GI・過塩・過剰うま味の制御を優先。
十分な飲水を日課化し、濃度負荷を下げる。
ゾーン2中心の有酸素運動でミトコンドリア機能を支える。
コーヒー・緑茶・オメガ3・適量ビタミンCなどを、個人差と安全性に配慮して併用。
短期の「果糖フリー」期間で主観指標と体組成の変化を検証する。
6. 長期維持と再発予防の設計
減量達成より維持設計が重要。トリガー(時間・場所・人・感情)を特定し環境を先に変える。
飲料から固形へ、速吸収から遅吸収へシフトし、肝の濃度負荷を恒常的に低減する。
介入は「続けられる配分」を優先し、例外規則もあらかじめ設計する。
尿酸・中性脂肪・肝機能・血圧などの指標を定期モニタリングする。
家族・職場単位の合意ルールづくりで再発予防を強化する。
4) 各章の要約(本文)
第1章:肥満関連疾患の根は共通の生理スイッチにあり、ATP不足感とレプチン抵抗性が過食・省エネ代謝を同時に駆動する。
第2章:果糖→尿酸→ミトコンドリア機能低下→ATP低下が、脂肪合成・代謝低下・血圧上昇・インスリン抵抗性を一気通貫で説明する。
第3章:液体糖は特に危険。塩・うま味は摂取促進と代謝撹乱を助長し、飲水増量は抑制因子となりうる。
第4章:代謝異常は行動・認知にも波及し、脳のインスリン抵抗性とミト障害が認知機能低下に関与する可能性がある。
第5章:液体糖遮断、高GI・過塩・過剰うま味の制御、飲水・運動・補助因子の併用を、個別性と安全性に応じて実装する。
第6章:維持の鍵は環境設計とモニタリング。濃度負荷の恒常的低減と例外規則の設計で再発を防ぐ。