作品一覧

  • 消失

    消失

    小説・文芸

    4.4
    1巻2,970円 (税込)
    セロニアス・エリスン(通称モンク)はアフリカ系アメリカ人で、大学で教鞭をとりながら小説家として文学的な作品を書いている。彼の目からみると黒人を売りにしたレベルの低い作品が世間ではベストセラーとなっていた。モンクは三年ぶりにロサンゼルスから実家のワシントンに帰り、医師の姉や高齢の母に会う。姉からは母は物忘れが目立つようになり、金銭的にも困りそうだと告げられる。ロサンゼルスに戻ったモンクは教授昇進が決まったことを知るが、小説は十七社から出版を断られていた。エージェントからは「黒人らしさが足りない」などと言われる。  その後、姉が事件に巻き込まれて再度ワシントンに飛んだモンクは、兄が離婚して多額の借金を抱えていることを知った。モンクは母と家政婦が住む家に引っ越して休職する。エージェントに電話をすると、小説はさらに三人の編集者から断られていた。  モンクは亡き父の書斎に入り、父が使っていた古いタイプライターで小説を書き始める。一気に書き上げたその中編小説は、モンクにとって到底発表できないような低俗極まりない作品だった。しかし、別名スタッグ・リーで書いたその原稿をエージェントが大手出版社に送ったところ絶賛され、多額の契約金で出版されることに。モンクは、やりとりは基本的にエージェント経由とし、決してばれないようにスタッグ・R・リーを演じようと考えるが、作品は非常に大きな注目を集めていき・・・・・・。  2024年アカデミー賞脚色賞を受賞した映画『アメリカン・フィクション』原作小説。 (ERASURE by Percival Everett) 【著者略歴】 パーシヴァル・エヴェレット Percival Everett 1956年米国ジョージア州生まれ。アフリカ系アメリカ人作家。南カリフォルニア大学卓越教授。『ジェイムズ』(木原善彦訳、河出書房新社)で2024年全米図書賞、2025年ピューリッツァー賞などを受賞。著書にブッカー賞最終候補作『赤く染まる木々』(上野元美訳、早川書房)、ピューリッツァー賞最終候補作『Telephone』ほか。本書を原作とした映画『アメリカン・フィクション』が2023年に公開され、アカデミー賞脚色賞を受賞。 【訳者略歴】 雨海弘美(あまがい・ひろみ) 翻訳者。訳書にミシェル・ザウナー『Hマートで泣きながら』(集英社クリエイティブ)、クレア・ノース『ハリー・オーガスト、15回目の人生』(角川文庫)などがある。
  • 天才たちのしくじり

    天才たちのしくじり

    ビジネス・実用

    -
    1巻2,200円 (税込)
    偉業を成し遂げたければ、非常識になれ! 歴史に名を刻みながらも、 あらゆる失敗を重ねてきた天才たちによる、 滑稽で、まったくもって不可解な、 あまり知られていないほうの「功績」の数々 ――おばけ直通電話をつくろうとした(発明王エジソン) ――ロケット内にトイレを作り忘れる(NASA) ――史上最悪のKGBエージェント(ヘミングウェイ) ――数学のために下着で決闘(エミリ・デュ・シャトレ) ヤバいから天才なのか、天才だからヤバいのか? 驚異で、狂気な30人の天才たちの日常を描く意欲作!
  • Hマートで泣きながら

    Hマートで泣きながら

    小説・文芸

    4.7
    1巻1,980円 (税込)
    「Hマート」は、アジアの食材を専門に扱うアメリカのスーパーマーケット。人々が「故郷のかけら」や「自分のかけら」を探しにくるところ。韓国人の母とアメリカ人の父のあいだに生まれたザウナーは、アイデンティティに揺れる十代のときに音楽活動にのめりこみ、猛反対する母親とは険悪な関係に。それから十年、やっとわだかまりがとけかかったころ、母親の病気が発覚。辛い闘病生活の末に母は亡くなってしまう。喪失感から立ち直れず、途方にくれていた彼女を癒してくれたのは、セラピーでも旅行でもなく――韓国料理だった。ミュージシャンとしても活躍するミシェル・ザウナー(ジャパニーズ・ブレックファスト)のメモワール。
  • トゥクパを たべよう インドの ごちそう スープ

    トゥクパを たべよう インドの ごちそう スープ

    小説・文芸

    4.0
    1巻1,650円 (税込)
    目の不自由な男の子ツェリンは、おばあさんと二人でチベットの山岳地方に住んでいます。大好物のごちそうスープが晩ごはんに出る日、ツェリンはうれしくて、帰る道々に出会う人々をごはんに誘いますが……。音やにおい、手触りでツェリンが味わう世界をいっしょに楽しめる絵本です。
  • 別れを癒す、365日のことば

    別れを癒す、365日のことば

    ビジネス・実用

    -
    1巻1,870円 (税込)
    娘を失って数か月の間に、私は四冊のノートを書きつぶした。一日一度の日があると思えば、何度もノートに向かう日もあった。何日も書かずに過ごしたこともあった。自分の感情やその日あった出来事、思い出や悲しみ、希望を書き連ねた。執筆は悲しみを動かして、別の場所に移し、流し去るための手立てだった。親しい人を喪う悲しさと苦痛には限りがない。シェイクスピア、エミリー・ディキンソン、セネカ、ゴッホ、C・S・ルイ ス、ヘレン・ケラー--文豪や芸術家、アメリカ先住民、ケルトの言い伝え。16歳の愛娘を亡くした著者が、死別の苦しみを見つめるなかで出会った、数々のことば。1年365日、亡き人の魂に寄り添うことばを集め、全米で多くの共感を得た一冊、待望の復刊!
  • サンド

    サンド

    小説・文芸

    4.4
    1巻1,232円 (税込)
    砂丘に囲まれた街、導く者のいない社会は紛争や爆撃など頻発する暴力に晒されるコミュニティー。その街に、一家の主を失い、壊れかかったある家族がいた。母ローズは街の男たちを相手に売春宿を営み、長女ビクトリアは「サンドダイバー」として優れたスキルに恵まれながら盗賊のような男たちと関わり、家に寄りつかない生活をしていた。長男パーマーは父や姉と同じダイバーの道を選びながら怪しげな雇われ仕事に手を出し、まだ18のコナーは見習いダイバーにもなれず、11歳の末弟ロブは才能の片鱗を伺わせるものの、まだまだ頼りない子供だった。父の失踪でばらばらになった家族だが、父の娘を名乗る少女が現れ、街が消滅の危機に直面するなかで、互いの生存のために心を寄せ合い、やがて絆を取り戻していく。自分たちよりも大きなものに立ち向かう現実を受け入れるために……。砂漠化した米国コロラド州を想起させる未来の街を舞台に、砂に閉ざされた共同体の脆さとある家族の痛み、悲しみ、再生と希望を描いたSFファンタジー小説の秀作。

ユーザーレビュー

  • 消失

    Posted by ブクログ

    文句なしで面白かった。
    私は作中の「My Pafology」が書評家のお墨付きで出版されていたら、喜んで、すごい小説だと享受してしまうと思う。

    0
    2026年08月19日
  • 消失

    Posted by ブクログ

     モンクとその家族を通して、人種をめぐる社会や世間の不条理さが語られているのだが、その語り口に悲嘆や諦念はあまりなく、むしろ風刺の効いた展開がユーモラスだった。
     とりわけ印象的なのは、モンクが作家として熱心に取り組んだギリシア悲劇の研究が受け入れられず、書店では黒人作家というだけでアフリカ系アメリカ人研究の棚に置かれてしまう一方、貧困、暴力、性を前面に押し出した、いかにも「黒人らしい」と期待される小説が大金を生み、大きな賞まで得てしまうところだ。ここに、この作品の最大の皮肉がある。
     人種差別というと、私はこれまで、James のように肌の色によって露骨に蔑み、区別するものをまず思い浮かべていた。けれどこの作品で描かれるのは、「あなたはこうあるべきだ」というアイデンティティの押しつけであり、それはむしろもっと厄介で根深いものに思えた。そうした息苦しさを、説教ではなく風刺として描くところに、この作品の機知がある。
     それにしても、巻末の著者紹介で パーシヴァル・エヴェレット をまず「アフリカ系アメリカ人作家」と紹介してしまうのは、なんとも皮肉である。

    0
    2026年05月03日
  • 消失

    Posted by ブクログ

    【原題】Erasure

    大学で教えながら高尚な小説を書いているアフリカ系アメリカ人のセロニアス・エリスン(通称:モンク)。自身の新作の小説は「黒人らしさが足りない」と言われて出版を断られているのに、低俗な黒人小説が売れていることに腹を立てている。独身で西海岸に住んでいる彼の実家はワシントンにあり、母は認知症、貧しい人のための中絶を行っていた医師の姉は反対派の人間に撃たれ、ゲイの兄はカミングアウトして離婚、金銭的に苦しくなったモンクは、別名(スタッグ・リー)で低俗で世間受けしそうな黒人小説を書き、これが売れてしまう…。

    本書は2001年の出版で、時代設定は1990年代。「ジェイムズ」よりも20年以上前の作品だが、同様の視点の作品と感じた。

    人種差別は不公正なことであるという考えは広く認知されているが、「黒人はこういうもの」というステレオタイプな見方は消えていない。黒人は知的に劣っているという先入観は表立っては出てこないが抜けがたく存在している。だからこそ知的なモンクの作品は評価されず、スタッグ・リーの低俗な作品が「真に迫っている」として高い評価を受ける。
    この隠れた抜きがたい偏見を主題としながら、親の介護や兄弟の確執など普遍的かつ現代的な問題も取り入れた作品で、ストーリーも面白い。

    「消失」が書かれた25年前は、建前としては、差別は悪いこと、歴史的な過ちは正すべきこと、という見方が大勢であったように思う。今は、逆に「ポリティカルコレクトネス」が嫌われ、おおっぴらに人種差別発言が通っているのではないか。

    0
    2026年03月22日
  • 消失

    Posted by ブクログ

    『ジェイムズ』のパーシヴァル・エヴェレットの新作と聞いて飛びついたが、2001年の作品だった!
    それも話題になったあの ニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ『21世紀のベスト・ブック100冊』でなんと20位という素晴らしい評価!

    面白かった。
    作家が白人なのか黒人なのか、もうそんなのどっちでもよくない?黒人はアフリカ系アメリカ人と名乗らせるのに白人はアメリカ人…?フランス系かアイルランド系かもしれないっていうのに?

    芸術にいちいちそんな言い方必要なのか…
    2001年から20年以上経った今も新鮮に読めてしまうことを翻訳者の雨海さんもあとがきで なげいています。

    先日読書会で読んだクッツェーの『鉄の時代』で、浮浪者ファーカイルという重要な登場人物が白人なのか黒人なのかで意見が別れました。
    文学なんてそれぞれのイメージで読めばいいのだと思うけれど、ステレオタイプなイメージとういうのがいつまでもある… そういう物語でした!

    主人公はセロニアス・エリスン 通称モンク(いいよね、大好き!)
    「私が暮らす社会に言わせれば、私は黒人であり、黒人が私の人種、ということになる」

    モンクは作家だが、時々大学で教えている。書いているのは知的で難解な文学であり、本は売れない。ギリシャ悲劇の語り直し的作品を書いても、黒人作家に求めていないと批判されるし、書店では残念なことにその素晴らしいギリシャ研究の本はアフリカ系アメリカ人研究の棚に置かれている…
    黒人作家に求められるのは、貧しく、差別を受けながらもアメリカで生きていく…みたいな大衆的で自虐的、涙を誘う(臭い)作品なのだ。

    医者の息子というブルジョワな家にうまれ、末っ子の変わり者、文学的哲学的な資質から、父親に特別視されてきたため、兄姉との関係も微妙。
    母親の住むワシントンに暮らす、父のような正義感の強い医師である姉リサと(彼女は中絶反対派からの嫌がらせを受けている)
    アリゾナで美容外科医をしているゲイの兄(結婚して子どももいたが今は離婚し親権も剥奪されそうな状況)ビルがいる。

    学会に出席するため故郷に帰るところから物語ははじまる。

    母は近ごろ物忘れがひどく、この先の暮らしを姉のリサも悩んでいる。モンクは何か手伝いたいが、自分の本は売れないし、大学の仕事も継続が危うい。
    兄のビルは離婚による金銭的危機にあり、あてにできない。

    しかしある事件がおき、モンクが母親と家政婦のロレインのもとで暮らすことになる。

    父の書斎にあったタイプライターを前にモンクはなぜか大衆的黒人小説『マイ・パフォロジー』または『FUCK』を偽名で書き上げた。これが…(作中作として100ページほど読まされるがムカつくけど面白い)発売前から批評家たちに絶賛されベストセラーになっていく。そのおかげで得た大金で、母とロレインの生活を支えることができるようになるのだ。

    ある日モンクはとある文学賞の審査員の仕事を受ける。しかしまさかそこに、偽名で書いた自分の作品が…!

    ところでここまでアメリカ人とアフリカ系アメリカ人について批判的にかいているのになんと集英社さんカバーの裏にエヴェレットの顔写真とプロフィールにしっかりとアフリカ系アメリカ人と書いているのが矛盾してますね。

    0
    2026年03月12日
  • Hマートで泣きながら

    Posted by ブクログ

    自宅のカウチで泣きながら、読みました。

    アメリカ人の夫を持ち、日米ミックスの子どもたちを持つ自分にとって、とても他人事とは思えない手記。この辛く尊い体験を我々にシェアしてくれてありがとう、と著者に伝えたい。

    著者のオンマのように、自分は日本の食文化を子どもたちに継承することができるだろうか? レシピだけじゃなく、「風邪のときには松の実のおかゆ」「後でお腹がふくれるとわかっていても食べてしまう寒空の下の焼き栗」のような、シチュエーションやエピソードに紐づいた食の文化を? うちの子たちは、アメリカンなごはんばかり食べているので。

    19章に、「母はわたしの守護者(チャンピオン)、わたしの記録保管庫(アーカイブ)だった。」という一文が出てくるけど、母は韓国文化の守護者、記録保管庫でもあったんだなと思う。母がいなくなると、子はその文化にアクセスできなくなる。祖国の言葉も忘れ、祖国に残った家族とのつながりも断たれる。だから自分が死ぬ前に、アーカイブを子どもに移さないといけない。それは親子だけのパーソナルな関係でなく、もっと長期的・社会的に考えなければいけない問題でもある。

    とはいえ、「今は英語で会話している自分も、病にふせったら日本語が中心になり、日本食だけを求めるようになるのかな?」と不安になり、ちゃんと看病してもらえるように夫と子どもに日本語教育しないとな……などと、個人的思惑も十分にかき立てられる。うちの夫なんて、風邪のときはベーコンエッグとか作ってくるもの。

    そんな、社会的にも個人的にも捉えられる壮大な手記でした。

    この物語がアメリカで大ベストセラーになったのも、アジア系としては嬉しい。今度アメリカへ行ったときは原著を入手しよう……もちろん翻訳も素晴らしかったけども。英語の本なのに韓国語の固有名詞が多くて訳すの大変だったろうな。訳してくださり、ありがとうございました。

    0
    2026年02月02日

新規会員限定 70%OFFクーポン 今すぐGET