吃音が登場する作品を見たり、当事者に出会ったりしてもっと知りたい!と思った方にはぜひとも薦めたいです。
当事者の気持ちを知りたい方には専門書よりこちらの方が良いと思うからです。
自分は当事者ですが、吃音って何?と聞かれて詳しく答えることはできません。
それは本書にある通り吃音が極めて曖昧なものである
...続きを読むから、なのです。著者の近藤さんは相当な配慮をして文を書いていると思います。症状の軽さから悩みを軽んじられてきたのでそうではないんだよということがきちんと書いてあるのはありがたい限りです。
運が良かったことと続く秒数の少ない吃音であることからあまりこの本に出てくる彼らのような体験はありません。親の教育方針と言語教室のおかげで隠したいという気持ちはなく、吃音を気にすることなく話ができます。言い換えは時たまします。
それでも「普通になれない」葛藤があります。周りは私の症状を軽い、軽いと簡単に言います。でもいじめにも遭い、バイトの圧迫面接を受け、挨拶ができないことはザラにあります。酷いときには名前が1分以上言えないなんてこともありました。症状が軽いのは「無い」ことじゃないんです。
擬態して生きるように社会から強制されている部分もあり必死です。
この本の中に出てくる人は重い吃音の人(or吃音を隠して生き常に吃音に支配されて生きる人)が多いということを踏まえて読んでほしいです。