ドリアン助川 - ポプラ社作品一覧

  • 新宿の猫
    4.1
    構成作家の卵である「ボク」は明日の見えない闇の中でもがいていた。そんなある夜、ぶらりと入った新宿の小さな居酒屋で、野良猫をかわいがる「夢ちゃん」という女性店員に出会う。客には不愛想だが不思議な優しさを秘めた夢ちゃんに「ボク」はしだいに惹かれていく。ふたりは猫についての秘密を分け合い、大切な約束をするのだが――。生きづらさを抱えた命が伝え合う、名もなき星のような物語。
  • あん
    4.3
    1巻1,650円 (税込)
    誰にも生まれてきた意味がある。 どら焼き店の軒先から始まる、限りなく優しい魂の物語 線路沿いから一本路地を抜けたところにある小さなどら焼き店。 千太郎が日がな一日鉄板に向かう店先に、バイトの求人をみてやってきたのは70歳を過ぎた手の不自由な女性・吉井徳江だった。 徳江のつくる「あん」の旨さに舌をまく千太郎は、彼女を雇い、店は繁盛しはじめるのだが……。 偏見のなかに人生を閉じ込められた徳江、生きる気力を失いかけていた千太郎、ふたりはそれぞれに新しい人生に向かって歩き始める――。 生命の不思議な美しさに息をのむラストシーン、いつまでも胸を去らない魂の物語。
  • 新宿の猫
    3.3
    何をやってもうまくいかない「ボク」は、明日が見えない闇のなかでもがいていた。そんなある夜、ぶらりと立ち寄った小さな飲食店で、さまざまな猫の特徴がしるされた一枚の紙に心をうばわれる。それは店で料理をつくる夢ちゃんが描いた「猫の家族図」だった。行き場を失った猫に寄りそう彼女は、「ボク」に猫と自分の秘密を打ち明け、ふたりは大切な約束をする――。夜の底からあふれだす優しさ、胸に灯る温かないのちの物語。
  • 太陽を掘り起こせ
    4.0
    ある日、世界から太陽が消えた。芳枝は一人息子の健太郎を失い、暗い家に閉じこもっていた。だが、その扉を叩く見知らぬ男の子があらわれる。その子は太陽を探しに行くのだという――。「あなたは、だれなの?」闇の中で子どもが大人を導いていく。物語の本源に迫る重層的な語りの構造が、闇の底に驚くべき結末を準備する。代表作『あん』が23言語で翻訳され、世界のリテラシーエージェントが注目するドリアン助川の希望の書。
  • 多摩川物語
    4.1
    映画撮影所の小道具係を辞めようかと悩む隆之さん、客の少ない食堂で奮闘する継治さん、月明かりのアパートで母をしのぶ良美さん……。 多摩川の岸辺の街を舞台に繰り広げられる心温まる人生のドラマ。 収録作品は「黒猫のミーコ」「三姉妹」「明滅」「本番スタート!」「台風のあとで」「花丼」「越冬」「月明かりの夜に」の全8篇。 名もなき人びとの輝ける瞬間が胸を打つ、珠玉の連作短篇集。
  • ピンザの島
    3.4
    斡旋屋に島の水道工事のアルバイトとして送り込まれた若者が、島のヤギから搾乳しチーズを作るという、無謀な夢にとりつかれる。 湿気の多い南国でチーズを熟成させることの難しさ、島の複雑な人間関係と恐るべきタブー…… すべてを乗り越え「至高のチーズ」はできるのか? ミステリアスに鼓動する小さな島を舞台に、生きることの圧倒的な奥行きが浮かび上がらせる傑作長編小説!
  • 夕焼けポスト
    3.8
    1巻1,540円 (税込)
    日没寸前の川沿いに、不思議なポストがあらわれる。それはあらゆる人間の願いや苦しみを受け止めるポストだった――。ポストの管理人である「私」は悩みを寄せる人々に返事の手紙を書き続ける、まるでなにかの贖罪のように。励ます側である「私」こそ、じつは出口のない苦悩にあえぐ傷だらけの人間だったのだ――。ぎりぎりからの反転、呆然とする耀き。様々な境遇にいる人たちの手紙によって織りなされるこの物語は、世界12言語に翻訳され感動を呼んだ『あん』の著者のもうひとつの原点である。

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