エッセイ・紀行 - みすず書房 - 笑える作品一覧
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4.5「他人の言葉に対する寛容は時に、自分が言葉に重きを置かない人の怠慢の証です。怒りを忘れない人は、言葉で戦っている人は、日本に住むあなたの周りにいるでしょうか」「ロンドンの事件の前後にも切れ目なく、イスラエルやイラクからは自爆テロや戦闘による死傷の報道が流れています。昨日もまた、イラクでタンクローリーを使った自爆テロが起き、70人以上が亡くなりました。9・11事件後、世界中を覆い始めた社会の砂漠化が、とうとうロンドンにまで来てしまった。残念ですが、それが実感です」2003年3月、イラク戦争前夜。朝日新聞ヨーロッパ総局長としてロンドンにデスクを構えていた著者から、一通の手紙の形式で原稿が送られてきた。「この手紙が届くのは一カ月後です。瞬時に地球の裏側に電子メールが届くいま、なぜそんな悠長なことを、と思われるかもしれません。ただ私は、そんな時代にこそ一月遅れの手紙が新しい意味をもつような気がします。」以来、2005年7月のロンドン同時多発テロ事件まで55通。歴史や文学作品というフィルターを通しながら、現場の取材と困難な時局の分析を記した本書は、ひとつの時代のかたちを定着させようとする試みでもある。
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3.7「留学体験にくらべれば猫の話はまったく些細な、せいぜい日常生活に気晴らしがひとつ加わるような次元のものだと思われるかもしれない。私自身そう思っていた。偶然の成り行きで野良猫を飼い始めたとき、人生の大きな扉が開いたのだとは思いもしなかった……ところが。アメリカ体験が社会的体験だったとすれば、猫体験は内面にかかわる体験だったといえよう。前者では私の視線は水平に、横へ横へと伸び、後者は垂直に内面に下りていく契機となった」(あとがき)猫たちとの共生から生まれる新しい日常生活。その生き生きとした、思いもかけないドラマ(ドタバタ)を愛猫家ならではの視線で描く三篇。さらに、40年前のアメリカ留学の地=ボストンを再訪して往時の出来事や人びととの交友を追想する貴重な体験記。最後の、ドイツ人女性シーギーの辿った悲劇を語るエッセーは重い読後感を残す短篇のようである。