【感想・ネタバレ】[新版]企業戦略論【上】基本編―――戦略経営と競争優位のレビュー

あらすじ

戦略の本質は何か。競争優位とは何か。企業の成功をいかに持続させるか。競争戦略を超えた戦略論の金字塔。欧米MBA校の人気テキスト。従来の競争戦略を中心とした戦略論に、リソース・ベースト・ビュー(経営資源に基づく戦略論)の概念を統合。企業の目的から戦略の本質を明確に定義づけ、成功するめの戦略を解説する。

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Posted by ブクログ

【メモ】
・企業の戦略=競争に成功するためのセオリー
→業界の構造として重要な部分はどこで、競争優位を獲得するにはその業界構造をどのように活用すべきか

・競争優位=その企業の行動が経済価値を生成しており、かつ同様の行動を取っている競合企業がほとんど存在しない場合に成立する

・創発戦略=企業がある業界や市場で事業運営している最中に時間の経過ともに「現れ出る」戦略のこと

・企業のパフォーマンス=実際に創出された利益と期待された利益を比較することによって定義される

・SWOT分析
→脅威に着目したのがポーターの5つの競争要因
①新規参入の脅威②競合の脅威③代替品の脅威④供給者の脅威⑤購入者の脅威

・参入障壁=規模の経済、製品差別化、意図的抑止、政府による参入規制

・戦略グループ:同一業界内において、他の企業とは異なる、ある共通の脅威と機会に直面している企業群

・SCPモデルの限界
①企業利益と業界参入に関する前提
②非効率な企業戦略の役割
③限定された企業異質性の前提

・企業はそれぞれ違った経営資源とケイパビリティを持っており、その違いは長期間にわたって持続的に存在する

・VRIOフレームワーク
①経済価値
②希少性
③模倣困難性
④組織

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

上巻ではファイブフォース分析による外部環境分析とVRIO分析による内部分析を扱っている。業界内における持続的競争優位を確立する上で基本的になる考え方である。企業経営の文脈ではもちろん、個人の人生の戦略としても活用できるのではないだろうか。企業の目標は使命の実現などあるだろうが利益により測定される。では個人の目標はと考えると、幸福の実現でありそのために一定の収入(利益)が必要であり、その構造は企業と大きくは変わらない。今生きるこの世界、社会を分析したうえで自らが持つ競争優位を認識してそれを活かした活動を行うことでより幸福に近づくことができるといえるのではないだろうか。価値のある希少で模倣不可能な競争優位という考え方や、本書で挙げられているサウスウエスト航空の事例のように特定の競争優位を持っている者が、他者の競争優位を模倣することの困難性があるという事例は私達一人ひとりの競争優位を考えても皆がそれぞれ異なる強みを活かすことの重要性と重なるのではないか。強みとは、言われなくても気づいたらやってしまうことである、という言葉があるが、これは本書でいう歴史的条件や社会的複雑性をもり模倣可能性が低いものであると言えるのではないか。個人の例で言えば収入を得るための競争優位もあれば、幸福を感じるための競争優位もあるだろう。今生きている社会環境の中で、自らの持つ資源を活かして幸福を感じることは人生において重要な活動であるが、自らの資源を認識し、自らの幸福を感じるパターンを認識することで効果的な活動ができるだろう。そういう考え方もできるという意味で、企業経営者だけではなく個人の人生を良くしたいと思う方も読んでも面白いのではないだろうか。そのくらい普遍的で強力な理論を扱っている。

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2025年01月20日

Posted by ブクログ

(上中下巻あわせての感想)

これまで読んだ経営戦略の分野では、バーニーの「企業戦略論」が一番好きで、私が、いろいろ経営戦略系のことを考えるときの基盤になっているように思う。

私は、「なんて明確に論理立てて説明してくれる本なんだろう!」と思っていて、経済学の基礎知識がある人は、賛同してくれるのだが、そうでない方には、どうも「難しい」らしい。

そんな「企業戦略論」の新版。

「いや〜、もうロジック系、戦略系は十分です。卒業しました」と思いつつ、一応、確認のため読み始めたら、これがやはりすごくて、一気に読んでしまった。もやもやがスッキリと晴れわたる感じです。

前の日本語ヴァージョンの原著は、第2版で2002年の出版。今回のは、第6版で2020年のもの。出てくる事例はその分アップデートされ、その間の議論が取り入れられているというのは当然として、この新版はもっと広い人たちが読み進めることができるレベルにわかりやすくなっている。

それは、この間に、この本の位置付けが、経営学大学院生向けのテキストから、経営学の学部生やMBAの学生むけのものになっているというのがある。

そのため、細かい専門的な議論は、省略されたり、コラムに移されている。内容がわかりやすくなることに伴い、重要度のランキングみたいなのが見えやすくなって、議論の全体像が見えやすくなっている。

さらに、ポジショニング派とリソース・ベースト・ビュー派とが完全に統合されたものになっている。(前のヴァージョンも統合されていると思っているけど、さらに統合が進んだ印象)

また、「企業倫理と戦略」というコラムが各所に設けられていて、近年の企業の社会的責任の議論との関係での論点が提示されている。

分量も以前のものに比べるとやや薄くなったので、経営戦略の入門図書を読まれた方は、2〜3冊目の中級のテキストとして、読むといいと思う。

もちろん、この本に書いてあることが全てではなく、この本は、基本、経済学をベースとした戦略論のテキスト。最近は、より心理学などをベースとした議論が増えているので、そういうところは、別の本を参照する必要がある。

あと、細かいところでの感想をいくつか?

ポーターの3つの基本戦略のうち「集中戦略」については、前著でもなにをもって「集中」とするかは相対的ではないかという指摘があったように思うが、今回は、はっきりとポーターの基本戦略は、「コストリーダーシップ」と「差別化」の2つとすっきりと整理していて、3つ目の戦略概念として、「柔軟戦略」を位置付けているのも、かなりスッキリした。

ポーター関係では、「戦略グループ」の議論が、今回は言及されていない。結局のところ、この話しも市場をどういう単位でみるかという話しで、「集中戦略」がなくなると同時に、「戦略グループ」の概念もあまり有効性がなくなったんだな〜。(わたしも実務的にあまり現実的な議論には思えていなかった)

あと、全社戦略で、PPMの言及がないというのも、あらためてすごいな。これはどんな入門書にもでているはずだが、経営学的には、ほぼ意味のない議論なんだな、と、あらためて思った。

ついでに、アンゾフのマトリックスもない。それと同様の概念は書かれているわけだが、ツールとしては明示的にはでてこない。これも、思考ツールの一つであって、学術的な意義はそこまで大きくないのかもしれない。

こんな感じで、なにが書いてあるかということに加え、なにが書かれていないかというのも、この本をよむときには面白い視点。

ややマニアックだけど、テキストが学部性向きになることで、前のヴァージョンにはあって、この本には書いていない専門的な議論で、今でも有効な概念もあるので、もともとのヴァージョンも持っておくとよいかも?

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2022年01月30日

Posted by ブクログ

企業の競争優位性の源泉が各企業の保有するリソースやケイパビリティにあるとするResource Based Viewの考え方の基本的な内容が理解できた。競争優位性に繋がるリソースを分析するVRIOフレームワークに関連する一番の学びは、人的資本や人的ネットワークなどのリソースが持続的な競争優位を獲得するために最も重要であるということ。また、そうしたリソースをケイパビリティたらしめるのは従業員一人一人の責務であるため、普段からどのように業務の目的や影響範囲を認識できているかが強い組織の構築に繋がること。

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2025年04月15日

Posted by ブクログ

言わずと知れたJ・B・バーニーによる企業戦略論の上巻。ここまでわかりやすいのかというのが衝撃だった。引っかかりもなく(それが悪い可能性もあるのだが)スルスルと読めてしまった。
バーニーになってポジショニングだけではなく企業の内部環境に注目すべきという理論が生まれたわけだけど、その白眉がリソース・ベースド・ビュー、VRIOになる。企業が競争優位性をどこで獲得するのか要はそれが競争に勝ち抜くためには重要でその分析をすべきなんだということなんだと思う。
実際に戦略を立てる際にはもう一歩踏み込んだ分析が必要で、その方法論は中巻以降で語られるのだろうか。楽しみである。
どこかにあるのかも知れないけれど、課題の解答例があるとありがたかったなと思うけど、教科書だから授業で検討してくれということなんだろうな。

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2022年04月08日

Posted by ブクログ

過去に経営戦略的なやつやMBA系を学んだ人には概要は分かっているのであまり興奮しないかも。そういった書籍よりより具体的事例を交えながら解説はしていてくれている。が、ポーターとかのフレームワークと合わせて学べるやつの方が有意義と思う。

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2025年05月08日

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