あらすじ
都会の怪異、お盆の出来事、幽霊トンネル、釣りの話。日常に潜む、本当にあったことを集めた生の恐怖の世界をお届けします。著者の「体験者の恐怖をできるだけ脚色せずに記録することが目的」という言葉通り、本書に綴られたことはすべて真実です。シリーズもいよいよ第十夜に突入。死者たちの言葉にあなたも耳を傾けてみませんか……?
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Posted by ブクログ
毎年刊行されているシリーズの最新作である。筆者の在地が岩手県ということもあり、今巻にはあの「東日本大震災」前後に起きた不可解な出来事も収録されている。
まだ震災の傷が癒えきらないこの時期にそんな話を出版するのは不謹慎だ。そう主張する方もいるかもしれない。
だが以前にも紹介した、稲川淳二さんが語った戦争に関わる怪談と同様、多くの人々が亡くなった事象に関わる怪談というものは、一般的な怪談のそれとは大きく異なる。
単に読者を怖がらせるものほど、「創り」であることがほとんどだ。本物の戦争や震災に関わる怪談は、恐怖を抱かせるものはほとんどない。むしろ生存した方々、亡くなった方々双方への「鎮魂慰撫」の要素が強い。
だから、時期に関係なく、こういう話を見聞きし、採話するのも、何ら不謹慎なことではないだろう、と私は言いたいのだ。