あらすじ
わたしたちが王子の身辺調査をするの!?――戦後ロンドンで結婚相談所を営むアイリスとグウェンに、英国王妃に仕えるグウェンのいとこから驚愕の依頼が持ちこまれる。エリザベス王女が想いを寄せるギリシャのフィリップ王子について、その母親のスキャンダルをほのめかす脅迫状が届いたのだという。英国王室の危機を救うため、ふたりは極秘で、王子の家族と脅迫者を調べることに。元情報部員でスパイ活動のスキルを持つアイリスと、人の内面を見抜く優れた目と貴族社会での人脈を持つグウェン。対照的な女性コンビの活躍を描くシリーズ第2弾!/解説=大矢博子
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
この本がイギリスで出版されたとき、まだ存命だったエリザベス女王とその配偶者の結婚をめぐるミステリが発売できたということに、イギリス社会の熟成と王室への愛を感じられました。
もちろんこの話はフィクションですが、周辺事項はほぼ事実のようです。
だから驚きましたよ。
エジンバラ公としか知らなかった彼が、ギリシャ王室の王子であり、イギリスのヴィクトリア女王のひ孫であり、あといくつかの国の王室とも血縁であったこと、全然知りませんでした。
というか、このシリーズのヒロインのひとり貴族のグウェンですら、生まれたときの王位継承権が何番目であるか決まっているの。
何があっても王様不在になることがないように。
彼女は170番台だったかな。
そして、ギリシャの王位継承権が男子にしかないことを「それで文明国家のつもりだなんて」と軽蔑できるプライド。
さすがイギリス貴族。
グウェンのいとこから極秘で依頼された、フィリップ王子の母親のスキャンダルの事実確認。
本来それは結婚相談所の仕事ではないけれど、エリザベス王女の初恋が実るかどうかということもあり、それが国家に大きな影響を与えることも容易に想像できるため、特別に引き受けたのだけれど。
元スパイで情報収集力に優れ、護身術(必要によってはそれ以上の術)にも長けたアイリスと、貴族社会という閉鎖的な場所に入っていく資格を持ち、洞察力に優れているグウェンは、絶妙なコンビネーションで、事件を解決する。
国家やら、対立組織やらを相手にとって、たった二人の民間人女性が、自分たちの力とつてで事件を解決するのはとても爽快。
読むと元気になれるシリーズ。
Posted by ブクログ
アリスン・モントクレアの結婚相談所シリーズ第2弾。
グウェンのいとこであるエリザベス王女付きの秘書から、婚約者候補フィリップ王子の身辺調査を依頼される。どうやらフィリップ王子の母、アリス王女の醜聞について脅迫状が届いていることがわかり。。。
今回も軽妙な会話主体のストーリーで、ページ数の割にはすいすいと読める。ただ、王室の調査ということもあり、ミステリ的な要素が薄め。事件らしい事件が起こるのも中盤以降で、前作よりは間延びした感じ。
事件の真相には驚く点があるにはあるのだが、そもそも伏線が貼られてたっけ?というレベル。まぁこれについては、イギリスでは常識なのかもしれないが。。。
アイリスも後半のアクションシーンでは目立っていたが、王子関係の事件ということで今作はグウェンの活躍が目立つ。
コージーミステリな面が強かったので、次作に期待。
Posted by ブクログ
ロンドン謎解き結婚相談所第二弾。
いくらロンドンが舞台だからと言って、
シリーズ二作目で王族、しかもエリザベス王妃の話になってしまうとは。
しかも、結婚相談所としてではなく調査活動の相談所になってしまうとは、
個人的には不本意な展開。
エリザベス王妃にプロポーズ目前のフィリップ王子に関わる脅迫状の
真偽を確かめる依頼で、
今回はROYALのお話ということで、貴族階級のグゥエンがかなり活躍。
人脈を生かして人探しをしたり、貴族年鑑を調べてもらったり。
しかも、アイリスと違って嘘が上手くないということで、
敵との情報交換のためしゃべってもらうとか。
ギリシャの元国王とグゥエンのダンスシーンも良かったし、
凄腕の代書屋が見抜けなかった偽物は本人が作成したから、
という謎解きも面白かった。
グウェンの息子と代書屋がイッカク好きのエピソードが、
まだ出て来たところも。
最後のどんでん返しは、前回に引き続きお見事。
情報部の狙いが宮殿内部のスパイのあぶり出しだった、の例えが、
鮫がうようよしている海に投げ込んだ「赤身肉」だったのは、意外。
そこは血が滴るようなステーキ肉なのでは?
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。
王位継承者3桁くらいに連なる女性貴族と元スパイの女性、二人の女性ヒロインコンビの探偵物語。
エリザベス王女(のちの女王)の婚約候補者は、ギリシャ王族の血筋でイギリス王族の血筋でもあるが、その婚約候補者の身元調査が、王宮から依頼される。
そこからおおよそ3すくみの争いが行われる。
・イギリス軍の機密部隊。イギリスに入り込んでいる他国のスパイをあぶり出すためにガセネタを流す。
・ギリシャ左翼派。今の政権を転覆させたいために、ギリシャ王族のスキャンダルを狙う。おそらくソ連の支援を受けている
・ただの金狙い。王宮に勤めている職員が、上記のイベントが起こっていることを知り、動いている金を横取りしようとする
ヒロイン二人は捜査していくなかで、自身が持っているコネ人脈も使い、核心に迫っていく。ヒロイン二人は最終的にこの3すくみの競り合いを俯瞰する形で決着させる。
最後の最後にエリザベス本人も登場。
ヒロイン二人の恋の行方も少しだけ進展。前作で恋仲になった裏社会の主も、金に揺らぎながらも最後は元スパイのヒロインの価値を認識する。